特集
新学習指導要領で変わる小学生の英語学習~保護者の方の疑問・不安にZ会がお答えします~
2018.3.8
10.7K
政府による「グローバル化に対応した英語教育改革」の実施により、今後、段階的に、小・中・高の英語教育、大学入試がトータルで変わっていきます。小学校においては、2020年度の新学習指導要領施行に向けて、この2018年度からすべての学校において英語教育がこれまでよりも強化されます。保護者は、どのような意識をもって子どもたちの英語学習を見守っていけばよいのでしょうか。今回は、保護者の方から寄せられた疑問や不安に対して、Z会の英語教材開発担当がお答えします。(文 Z会英語教材開発担当)
目次
- Q 移行措置期間の対応は地域や学校によって、マチマチと聞きました。ほかの子と差がついてしまうのではないかと心配です。
- Q 英語って、小学生のうちにどれくらいのレベルまでできるようになればいいのでしょうか?
- Q 学校の授業の予習・復習は必要ですか?
- Q 親のわたしが今ほとんど英語を使っていないので、子どもの家庭学習がちゃんと見られるか不安! そんな保護者はどうしたらいいですか?
- Q 子どもが英語嫌いにならないようにするために大切なことは何ですか?
- Q 新しい大学入試や学習指導要領に対応した、英語の校外学習を検討しています。選択の際、重視すべきポイントは?
2018年度から始まる新学習指導要領の移行措置期間。保護者の方の不安にZ会がお答えします!
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Q
移行措置期間の対応は地域や学校によって、マチマチと聞きました。ほかの子と差がついてしまうのではないかと心配です。
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A
2018年度から、新学習指導要領を先行的に全面実施するところ、移行措置に留め、部分的に実施するところとあり、また授業時間数や使用する教材は地域や学校に任されているため、差はどうしても出てしまうと考えられます。
とくに、この4月から5年生・6年生になるお子さまの場合、中学に進学しても、中学の新学習指導要領が施行される2021年までは移行期が続き、次期学習指導要領を部分的に学ぶことになる学校もあるでしょう。最低限必要な学習内容は「必修」となっているため、その部分をおさえておけば、その後も無理なく学習が進められるだろうとはされていますが、抜けが出る項目については注意が必要です。
不安な場合は、まずは学校の先生に、どのような計画となっているのかを尋ねてみてもよいでしょう。
学校の授業だけでは不十分だと考える場合はZ会の英語教材や校外学習を、お子さまと一緒に検討してみてはいかがでしょうか。
-
Q
英語って、小学生のうちにどれくらいのレベルまでできるようになればいいのでしょうか?
-
A
目標レベルとしては、たとえば
3・4年生では
・アルファベットの識別ができる。
・絵本などの短い話を聞いて、おおよその内容がわかる。5・6年生では
・アルファベットの読み方がわかる。
・身近なテーマの話を聞いて、具体的な情報を聞き取ったり、自分の意見を言ったり質問しあったりできる。といったことが2020年度からの学習指導要領に示されています。
「中学に向けて文法を先取りさせたい」といった声も多く聞かれますが、子どもの発達段階を考えると、小学1年生~4年生では、まずは、小学生のうちだからこそ高められる力を伸ばしてあげることをおすすめします。
とくに英語の音に関しては順応性が高いため、たくさん英語の音声を聞いて、英語の語順の感覚を磨いておくことがその後の英語学習に大いに役立ちます。6年生ごろになり、英語の仕組みに興味をもったお子さまには、もちろん、これまで学んだ表現について文法的な説明を加えていってあげてもよいでしょう。
ところで、最初に示した目標の例や、音声をたくさん聞くことで身につく力というものは、ふだんの学習で可視化することはなかなか難しいものです。
そんなとき、一つ基準となるのはCEFR(セファール)という、「その言語を使って何ができるか」を測る言語能力の国際的な尺度です。日本では、日本の学習者向けにアレンジしたCEFR-Jもあり、より細かな段階で成長を見守ることができます。
なお、Z会の小学生コースでは、2018年度小学生コース専科英語6年生の11月号を受講していただくと、11月に「英語CAN-DOテスト」を受験料無料で特別優待受験することができます。CEFR-Jの基準に沿って「英語で何ができるか」をご自宅で楽しく測ることができますので、ぜひ参考になさってください。
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Q
学校の授業の予習・復習は必要ですか?
親のわたしが今ほとんど英語を使っていないので、子どもの家庭学習がちゃんと見られるか不安! そんな保護者はどうしたらいいですか? -
A
小学生のうちは、特別な予習は必要ありません。小学校の授業では、その単元で扱う表現を無理なく学ぶことができるよう工夫されていますので、予習の段階で、「授業で困らないようにこの単語と文を覚えていこう」と身構える必要はありません。
それよりも、授業中に集中して英語の音を聞いて、たくさん発話するほうがずっと重要です。もし、何か準備をしていかないと不安というお子さまであれば、まずは、学校から配られる教材を眺め、その回はどんなテーマで英語を学ぶのかを確認してみましょう。
学校では、自分のことについて英語で述べる機会が多くあるかと思います。テーマに対する自分の答えを、まずは日本語で準備しておくだけでも心に余裕をもって授業に臨めるはずです(たとえば、Where do you want to go? のような英文がテーマの回であれば、「自分はどの国に行きたいか」程度を考えておく)。
復習については、学校で友だちや先生とやり取りした内容を、家族でもう一度再現したり、スピーチがある回では、家族の前で発表の練習をしたりするとよいでしょう。文字に興味があるお子さまであれば、英語用の4線のノートを用意して、テキストにある英語をノートに書き写してみることもおすすめです。その際、自分で発音してみることも大変重要です。
ところで、「子どもと英語でやり取りする」というと、久しぶりに英語に触れる保護者の方は不安になるかもしれませんが、ぜひ、お子さまと一緒に表現を学び直すつもりで、楽しく挑戦してみてください。
やり取りといっても、たとえば、
What color do you like?
―I like blue.
のようなものです。これを家族皆で質問しあうだけでも、立派な英語学習です。
また、スピーチなどの内容に関しては「この子の書いた英文の文法が正しいかどうかわからない」と不安になるかもしれませんが、小学生の段階では、スピーチといっても、型が教材に示されており、単語などを自分用にアレンジする程度のことが多いものです。
文法の誤りを指摘しなければと思うよりも、お子さまが英語で表現しようとしている内容を受け止めて、ぜひよいところをほめてあげてください。
表現を練習する場として家庭を使い、学校でたくさん使ってみるという流れをつくると、英語の授業がより楽しくなるはずです。
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Q
子どもが英語嫌いにならないようにするために大切なことは何ですか?
-
A
■習得はお子さまのペースで
英語の授業が始まると、英語がすごく話せる子(英会話教室に通っているなどして)がいると、そういう子を見て自分には無理だと萎縮してしまい、「英語の授業嫌だな……」と思うお子さまもいるかもしれません。そんなときは、先の家庭学習に関する部分でも言いましたが、お子さまと、授業で学んだやり取りや表現を一つでもよいので再現し、お子さまが言えたこと、できたことを十分に認め、「よくできているね」などとほめてあげてください。
■子どもに「文法理解」や「書けること」を求めない
また、英語の授業、というと自分たちが中学で学んだ英語学習のイメージ――文字指導から入って読み書き中心のテストに苦労した経験――を思い出す保護者の方も多いと思いますが、まずは保護者の皆さまが、子どもたちが今受けている授業が、自分たちが中学生のころに受けてきたものとはまったく違うものであると認識する必要があります。
親の立場からすると、英語がきちんと身についているかが気になり、ついつい、学校で配られた教材を見て「この英語、読んでごらん」「○○は英語でなんて言うの?」などと子どもにテストをしたり、「am は be 動詞だから……」と、文法的に説明をしたりして、なんとかわからせようとしてしまうかもしれません。
しかし、これらはNGです。
子どもたちはそれぞれ、言葉の習得段階を踏んで成長をしていきます。小学校でも、学齢に合った授業が行われ、「聞く・話す(言う)」→「読む・書く」の順に学習が進みます。また、1回の授業で表現の定着を目ざすのではなく、同じ表現を、時期をあけて復習しつつ繰り返し練習することで、英語を身につけるような仕組みになっています。
そのため、まだ「音」に慣れるだけの時期に、テキストに載っていたからといって「こんなことも言えないの?」と厳しくされると、子どもによっては、英語学習に対する自己評価が低くなってしまう場合もあります。今はインプットの時期だと理解し、辛抱強く、アウトプットの時期に到達するのを待ってほしいのです。
子どもが英語で何かを話したときに、発音や文法が違うよと否定するのではなく、発話したことに対してほめ、子どもの英語に対する積極性につなげられたらよいですね。
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Q
新しい大学入試や学習指導要領に対応した、英語の校外学習を検討しています。選択の際、重視すべきポイントは?
-
A
選ぶ際は、その特性と目標、子どもの性格などを考える必要があります。
英会話教室の場合は、ネイティブの発音に触れられることが最大のポイントとなります。小学校低学年のときはネイティブの英語による授業で、何となくわからない部分があっても受け入れられていたものが、高学年になって知的好奇心が高まってくると、子どもによっては、書くことや英語の仕組みについていつでも質問でき、適切な指導が受けられる日本人講師が合っていると感じる場合もあります。
これからは、小学校で英語が教科になることにともない、英語教育専門ではなく、小学生向けの学習塾で他の教科とともにクラスが開講されるところがさらに増えてくるでしょう。その場合、学校では手薄になりがちな「書く」の部分を補うものが増えてくると考えられます。塾の授業の様子をよく確認し、受講したらイメージしていた授業と違った(もっと音声のやり取り中心の練習をさせたかったのに違った)ということがないようにしたいところです。
また、小学生のうちは、他の教科の学習も含めて、トータルでお子さまの学習状況を見守ってくれる人がいるというのもポイントの一つかもしれません。Z会の通信教育であれば、不安な点は他教科のことと合わせていつでも相談できますし、ご家庭でも学習状況を見守ることが可能です。
大切なのは、他の教科も含めて、お子さまが家庭以外の場で学んだほうが学習効果があるのか、家庭で落ち着いて学習するほうが向いているのかを考えることでしょう。「英語は、英会話教室に行かないと力がつかない」ということは決してありません。
日々の英語学習に加え、地域の国際交流のイベントや英語キャンプ、親子短期留学など、参加する機会があれば、学んだことを実際に使ってみるきっかけができます。英語が使えるようになりたいと思えるかもしれません。
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さぽナビでは、変化する小学生の英語学習について今後もさまざまな視点で取り上げていきます。そこで、小学生のお子さまが学校やご家庭で英語の学習にどの程度取り組まれているのかについて、アンケートを実施いたします。現在、お子さまが何らかの英語学習に取り組まれている方だけでなく、取り組まれていない方も、ぜひアンケートにご協力をよろしくお願いします。
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