特集

どうつきあう? スマホ時代のデジタルメディア (2)

どう防ぐ? SNSのコミュニケーショントラブル

LINEトラブルは中1で急増。小学生時代にSNSルールを学ぶべき

――いわゆる「LINEいじめ」など、SNSならではのトラブルも増えているのではないでしょうか。

LINEのトラブルは、中学1年生に圧倒的に多いですね。中1になると、大体どこの学校でも半分から7、8割のお子さんがLINEでクラスや部活、仲良し同士のグループをつくります。そうしたグループの中で、悪口や仲間外れなどのトラブルに発展するのです。
したがって、中1になる前、小学生のうちにSNSとのつきあい方を学んでおくことも大事です。

――では、中学校に入ってSNSと上手につきあえるようになるために、小学生のうちにご家庭ではどのように教えればいいのでしょうか。具体的にお教えください。

今の小学生の親御さんは、若いころからケータイが身近にあった世代。インターネット上のコミュニケーショントラブルについては、知識や経験もお持ちのはずです。それをいかしていただきたいと思います。
「こみ入った話はLINEやメールでやりとりしないで、会って話そう」「誰かに対して腹が立ったとしても、ネットに書くのはやめようね。書くと残るし、一部分が切り取られてほかの人に間違って伝わることもあるよ」「誰かに訴えて気持ちを落ち着かせたいときは、文字や音に残らない形で聞いてもらおう」など、日ごろから話しておくことが大事ですね。これは、大人も肝に銘じておきたいものです。

――「既読スルー」を気に病んだり、返信に追われて疲れてしまったりするケースもよく耳にします。

これも親御さんにもお伝えしたいことなのですが、基本的に、インターネットを通じたやりとりのペースは人によって差が大きいと理解することが大切です。どうしても返事が必要なのに既読スルーのままだったら、電話をかければいいのです。
また、グループのやりとりのペースについていけないなら、「ズボラなんで、LINEに気づくのが遅くてごめんなさい」などと、ちょっと抜けているキャラをつくってしまうとラクですよ。最初に悪意がない旨断っておくのが得策です。

――SNSというと、フェイクニュース、つまり誤った情報が拡散されるといった問題も生じています。ご家庭ではどう注意すればいいのでしょうか。

インターネット上の情報は信頼できる複数の情報源にあたって確認するのが基本です。しかし、LINEやTwitterを始める高学年くらいでは、深く考えずにデマを信じたり広めたりしてしまうことはありますね。中学校では情報の扱い方を教える授業が持たれていますが、小学校ではまだあまり行われていないので、LINEなどで入った不確かな情報を、そのまま流してしまうのです。
まず、低学年のうちから、「不確かな情報をむやみに話すのはよくない」と教えておきたいものです。保護者の方が、噂話を家の中でしないということは基本ですよ。

――もしSNSに書いたことがもとで、攻撃される立場になったときはどう対処するのがよいのでしょうか?

悪いことを書いた、載せたという場合、きちんと謝罪してから削除させます。最悪なのは逆切れすることです。「何が悪いんだ」のような反応をすると、相手に火をつけて炎上してしまいます。
もしこちらに全く非がなくて人違いや勘違いで攻撃された場合は、その旨を説明すればだいたいは沈静化するものですよ。

SNSもリアルの人づきあいも基本は同じ。家庭での会話で距離のとり方を教える

――これまで注意点を中心にうかがいましたが、SNSなどの双方向性のあるデジタルメディアが身近になったことによるメリットも、たくさんありますよね。


もちろんです。震災などの自然災害で電話が通じなくなったときに、連絡ツールとして重宝した経験のある方も多いでしょう。自治体などが発信するインフラや交通の情報を入手したり、マスメディアが報道しきれない現地の実情を見聞きしたりすることもできます。
小学生にとっては、好きなことを追いかけられることが大きなメリットです。興味のあった事がらをすぐに動画で見ることができるし、マンガが好きな子はマンガ家のツイートを読んで、日ごろどういうことを言っているのか、考えているのか知ることができる。科学が好きな子なら研究者のツイートを読んで、質問だってできるのです。世の中を深く知る上でいいことですね。

――使い方次第ということですね。

そうです。ですから親御さんが便利な使い方をお子さんに示すといいと思いますよ。親子でテレビを見ながら、気になった単語や話題を一緒にネットで調べてみる。たとえばわからない地名が出てきたら一緒に検索するとか、「テレビではこう言っているけれど、ネットではどう書かれているんだろう」とか。

――親御さんがデジタルメディアに詳しくない場合、「何も教えられない」と思ってしまいがちです。家庭でも教えられることは多いのですね。

デジタルメディアは情報をやりとりする手段であり、基本的には相手がいることです。だから要は人とどうかかわるか、です。それをお子さんに教えるという点では、固定電話の時代もスマホの時代も、基本は同じ。人にイヤなことをしていいのか、されたらどう振る舞うのか、安易に噂話を広めていいのか――。人とのかかわり方をできるだけ具体的にイメージし、親御さんご自身が実践し、また親子で会話を繰り返す中で教えたいものです。
あわせて、アイドルでもアニメでもお子さん自身が好きなものを調べることは、SNSとつきあう練習になります。好きなものについては間違った情報を得たくないから、真剣にニュースやサイトを見ます。そんな中で、信頼できる情報かどうか、見極める感覚も育っていきます。親御さんが離れたところで見守りつつ、使わせるといいですね。

プロフィール

藤川大祐(ふじかわ・だいすけ)

千葉大学教育学部教授。専門は教育方法学・授業実践開発。メディアリテラシー教育をはじめ、ディベート教育、キャリア教育など、多様な分野の授業づくりに取り組む一方、いじめや学級経営に関しても研究。1965年、東京生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学後、金城学院大学助教授等を経て、2010年より千葉大学教授。2018年度からは千葉大学教育学部附属中学校長も兼任。『スマホ・パソコン・SNS よく知ってネットを使おう! こどもあんぜん図鑑』(講談社)、『スマホ時代の親たちへ』(大空出版)他、メディアリテラシーに関する著書・監修書多数。

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