小田先生のさんすう力UP教室

数のパズルを楽しもう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)

 こんにちは、冷える足先をなんとかして温める毎日を送っている小田です。足先が冷えると辛いですよね。最近、脚入れヒーターを買いました。筒状の毛布みたいなものに脚をつっこむやつです。以前は温風機を使っていたのですが、顔のほうまで熱風が昇ってくるのが気になっていたので。今のところ、ほどほどに足先は温まっているのですが、運動量は格段に落ちた気はします。体もそこそこ動かさないといけませんね。

 さて、今回は計算のパズルです。やっていく中で気づいていくこともいろいろとあると思いますが、まずは気軽にチャレンジしてみてください。

 それでは早速行ってみましょう。

Stage34:数のパズルを楽しもう

例題

図のような、数字の書かれたパネルがあります。このパネルを点線にそって3つのブロックにわけ、書かれている数字の合計がそれぞれ同じになるようにしてください。

例題の答え

まずは問題の意味の確認ですね。3つのブロックにわける問題ですが、それぞれのブロックのマス目の数が同じにならなくてもいい、というのは確認してあげてください。その他、わけたブロックが四角形にならなくてもいい(曲がっていてもいい)というのも、必要そうであれば伝えてあげましょう。問題の意味がいまいちつかみきれていないようなら、「なんでもいいから適当に3つにわけてごらん」と伝えてあげてください。そのうえで、それぞれのブロックの数を合計してもらいます。そして、「その合計が全部同じになるようにわけてごらん」と伝えればいいでしょう。

お子さんが答えを書いたら、それぞれのブロックの合計を聞いてあげてください。それが全て同じになっていれば正解です。同じになっていなければ、同じになるようにわけるよう伝えましょう。

今回も難しい問題ではあるので、「できたらすごい!」くらいの感じで取り組むのがいいでしょう。

解いてみよう

Level 1

図のような、数字の書かれたパネルがあります。このパネルを点線にそって決められた数のブロックにわけ、書かれている数字の合計がそれぞれ同じになるようにしてください。

Level 2

図のような、数字の書かれたパネルがあります。このパネルを点線にそって決められた数のブロックにわけ、書かれている数字の合計がそれぞれ同じになるようにしてください。

Level 3

図のような、数字の書かれたパネルがあります。このパネルを点線にそって決められた数のブロックにわけ、書かれている数字の合計がそれぞれ同じになるようにしてください。

解答

Level 1

Level 2

Level 3

さんすう力UPのポイント

算数の学習を進めていく上で、もちろん、ある程度の計算練習は必要になってくるでしょう。7月号でもお伝えした通り、計算練習の際には、計算ドリルなどによる反復練習だけでなく、「数や計算といろいろな側面から触れ合って、それらと仲良くなる」ことが大事です。今回の問題も、解いていく中でさまざまな計算と出会いますね。まずは、2つの数の足し算だけでなく、3つ、4つと足していく必要があるでしょう。その中で、和の大小を比較したりする必要も出てきます。「同じ答えになる違う足し算」の発見も、重要な要素ですね。同じ和にしようとして、「あといくつで同じ和になるかな」と考えると、それは引き算を使うことになります。慣れてくると、部分的に足す数を変えることで和を調整する、ということもやり始めるかもしれません。そうやって、決まった道筋を通るのではなく、むしろ、決まったゴールに向かって自分なりの自由なやり方で、数や計算と触れ合う道中を楽しんでほしい、というのが今回の問題の狙いです。

学習にパズルを利用することのメリットのいくつかは、4月号でもお伝えしました。ひとつは、「自分の力で問題を解決する経験を積む」ということでしたね。それに加えて、とくに今回のような計算がからんだパズルであれば、単純に「計算量を増やす」ということも、メリットのひとつとしてあげることができるでしょう。今回の問題では、その点もひとつ、重要な要素となりますね。答えに辿り着くまでには、よほど運がよくない限りは、何度も計算する必要があるでしょう。

子どもたちの様子を見ていると、“数”を学ぶことの難しさを、いつも痛感します。おもしろいことに、素朴な“数”の概念自体は、それこそ言葉を習得する前の時期からでも認識はしているようですね。遊んでいたおもちゃのボールが、5つから3つに減ったりすると、残り2つを探すような仕草が見受けられたりもします。しかし、その“数”の概念を「数字」で認識したり、計算したり、ある程度大きな数を認識したりできるようになるためには、それなりの経験と時間を要するのです。

“計算”の一部は、確かに形式的な操作を習得すれば、できてしまうこともあります。それを学ぶことも大事ではあるのですが、とくに低年齢のうちは、あまりそれを習得することに焦らない、焦らせないであげてほしいと思っています。大人から見れば簡単に見える計算であっても、子どもがまだそれを習得する準備ができていない、というのは、実際によくあることです。算数が得意だった人だけでなく、算数が苦手だった人でも「算数が苦手な自分でもこれくらいはわかる」と思ってしまい、“まだそれができない子ども”を見て「こんなこともできない」と不安になることが多いようです。しかし、“大人”はすでに“子ども”の何倍もの時間を生き、何倍もの時間“数”と触れ合ってきていることを、忘れてはいけません。子どもも、たくさんの時間を“数”と過ごすうちに、少しずつ“数”を学んでいくでしょう。その様子を温かく見守り、その成長をぜひ楽しんでください。

今回の問題も、慣れないうちは難しいです。無理して解かなければいけないかというと、そういうわけではありません。ただ、子どもたちが数を学習していくために必要な、時間や経験の一部になってくれるといいな、と思います。


 いかがでしょうか。

 気がつけば、今年ももう終わりに近づいてきましたね。最近は、毎年のように「いつの間にか今年が終わってしまった」と思っているような気がします。ただまあ、そうやって年の瀬に一年を振り返ってみると、その年その年で「今年もいろいろあったな」と思えていたりはするので、ある意味ではそれなりに充実した一年を送れている、ということなのかもしれません。それは幸せなことですね。来年も、また「今年もいつの間にか終わったけど、振り返るといろいろやったな」と思えるよう、子どもたちとともに成長していきたいと思います。皆さまも、良いお年をお迎えください。

 それではまた来年!

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書

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