【公立中高一貫校受検記】父が見てきた“学びを楽しむ子ども”の育ち方

受検を支えてくれた習いごと

子どもの習いごとは、小学生の保護者にとって大きな関心事の一つかと思います。ほかのご家庭はどんな理由でその習いごとを選んだのか、実際に何が身についたのか、気になっている保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
堤谷家ではどんな習いごとを選び、どんなサポートをされてきたのかをうかがいました。

教育系の記者として、公立中高一貫校への取材経験を多数おもちの著者・堤谷孝人さん。

父として、お子さんの中高一貫校受検をすぐそばで見てきたご経験を綴るエッセイの第4回です。

第3回まではこちら

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受検を予定しているが、通塾はしないという選択をされているご家庭も多いかと思います。わが家も通塾せず、Z会だけで受検に挑むことにしましたが、幼いときから習いごとはしていました。今思えば、習いごとで養った力は、息子の受検をしっかりと支えてくれました。

 

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息子は生後5か月から、妻と一緒に週1で親子スイミングへ通っていました。水泳は今でもさまざまな「子どもの習いごとランキング」で1位、あるいは上位にあがります。わが家でも、泳げないより泳げるほうがよいだろうし、遊ぶにしても勉強をするにしても体力は必要だろうと考えていました。

息子は受検を決める前年の小学校4年生まで水泳を続けました。毎月の「進級テスト」に合格すると、帽子に付ける新級のワッペンをもらえるので、彼にとってはそれがゲームのように思われ、モチベーションになっていたようです。

スイミングをやめ、受検を決めてからは、毎日、Z会や過去問などに取り組み、作文も1日1題書くようにしていました。水泳に限った話ではありませんが、運動系の習いごとで身につけた体力や粘り強さ、集中力は、受検までの長期ロード、そして受検直前の追い込みにつながる気がします。また、体力をつけたことで、受検までの体調維持という点でも効果があったと感じました。

親が手作りした「スイミング頑張ったね」表彰状を、4年生の誕生日に

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二つめの習いごとは、小学1年生から始めたそろばん教室です。幼稚園に入る前から数字に興味を示していた息子は、体験授業でもとても興奮した様子でした。「教室にとても大きなそろばんが飾ってあって、びっくりして感動した」のだそう。

そろばん教室は小学校卒業まで続け、そろばんを弾いて計算する「日本珠算連盟珠算」の初段、そろばんを用いずに頭の中でそろばんを弾くイメージで計算する「日本珠算連盟暗算」の二段取得まで昇級できました。息子は毎回帰りが予定より遅かったのですが、それは教室にあるパソコンで、帰り際に「フラッシュ暗算」をしていたからだそうです。このフラッシュ暗算は、出題スピードや難度を調整できるのですが、息子にとってはゲームのようでおもしろかったらしく、これも段位取得に役立ったのかなと思います。

「そろばんは、決まった時間の中で正しい計算をする練習になった。それが受検で役立った」。受検を終えてから、息子はそのように振り返っていました。

兵庫県小野市にある、オリジナルそろばんを制作できる「そろばんビレッジ」で、念願の自作“虹色”そろばんをゲット

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このほか、4年生で水泳を辞めたあとには、英会話にも通いました。日本人の先生と同学年の友だち3〜4人だけという少人数のクラスだったため、英語に早く馴染むことができたように思います。息子は、先生や友だちをビックリさせたいという思いから、英語のCDを毎日聴いたり、テキストブックで次に習う範囲を何十回も読んだりしていました。意欲的に取り組むと、先生がさらに力を入れて教えてくださるため、努力することが楽しかったようです。

この傾向は、のちに受講するZ会の添削でも見られました。フィードバックがもらえるとうれしくなり、その相手をあっと驚かせるゲームが息子の中で始まるようなのです。

毎週2ページ、好きなことを英語で書くという課題。自分が苦手なこと、書いてみたいこと、知りたいことなどについて書いていた

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そのように長続きした習いごとがある反面、小2で始めたサッカーのようにすぐ辞めてしまったものもあります。息子は、時間に縛られることを好まず、そのとき興味があることを自由にやりたい性分です。そのため、自分には合っていないなと感じた物ごとを続けることはほとんどありませんでした。限られた時間を使うわけですから、親としても息子の考えを尊重し、逆にやりたいことはどんどんできるような雰囲気や環境づくりに努めました。

息子を見ていて驚いたのは、彼が、自分自身を誰とも比べずマイペースに取り組んでいたという点です。習いごとも、そのほかいろいろな学びも、自分の「チャレンジ」や「ゲーム」にしてしまえれば、苦にならないようなのです。

「競争心がないと伸びない、成長しない」とよく言われますが、必ずしもそんなことはなく、過去の自分より成長すること自体が楽しいものなのだと、息子をとおして気づかされました。

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「習いごとの中で一番「やって良かったな」と思っているものは、どれ?」

 

息子「そろばんかな。今も計算は100%「暗算」でやってるよ。そろばんをやってなかったら、どうやって計算のしかたを覚えたんだろう?」

プロフィール

堤谷 孝人 (つつみたに たかひと)

関西在住。2004年から子ども関連(保育・育児・教育)の取材、編集、制作をフリーランスで行う。職業柄、スーパーキッズや学校、教育機関などの取材をする機会多数。2008年、京都市立西京高等学校附属中学校を取材したことをきっかけに公立中高一貫校に強い興味をもつように。その後、長男が関西の公立一貫中学に合格。受検にあたりZ会小学生コース「公立中高一貫校適性検査」「公立中高一貫校作文」を利用した縁で、2023年4月よりこの連載をスタート。

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