特集

「片づけなさい」はもう言わない~頭の整理で片づけ力UP!(2)

学期や年度替わりの節目は片づけ方を見直すチャンス

仕分けは子どもの価値観で 闘うべき相手は限りあるスペース

――次はステップ1の仕分けですね。

これはいる物といらない物に分類する作業ですが、「使う」「使わない」「宝物」「迷っている物」など、4つぐらいのワードでカテゴリー化することをおすすめします。そのワードもお子さんと一緒に決めるといいですね。
このときも、大人の価値観を押しつけないこと。古い小物などを見ると「これはもういらないんじゃない?」などと言いたくなるかもしれませんが、お子さんには大切な物かもしれません。反対に高かったおもちゃや服などは、お子さんが不要だと言っても「とっておいたら?」と言いたくなるもの。でもそれは親御さんの価値観なので、親御さんの「思い出箱」などに移動させましょう。

――子どもの価値観に従って仕分けをすると、物が減らないという事態にならないでしょうか。

物を減らすことが最終目的ならば、「これは捨てなさい」と言ってもいいのですが、お子さんの取捨選択する力をはぐくみたいなら、やはりお子さんに委ねることが大切です。ステップ2で物を配置していく段階で、「入らないね。どうしようか」と声をかけましょう。
「捨てなさい」「イヤだ」と親子で闘うと片づけがイヤになります。闘うべき相手はスペース。「どうしても入らないね。困ったね」と、親御さんはあくまでもお子さんサイドに立って見守ってください。

子どもの身長や腕力に応じて配置し、節目ごとに見直しを

――ではステップ2の配置とは?

お子さんが使いやすいように、棚や引き出しに収めていくことです。ラベリングをしたり、中に入っている物の写真やイラストを貼ったりして、お子さんが見てパッとわかるような仕組みを一緒に考えてみてください。
このときもお子さん自身の使いやすさを考えること。たとえばランドセルを置く場所の高さ。低学年の子にとって、上のほうにかけたり置いたりするのは至難の業です。お子さんの身長や力を考えた場所にするよう、親御さんが注意してください。
また、あまりに物がぎゅうぎゅうに詰まっていると、出しにくく戻しにくいうえ、出した拍子にほかの物も飛び出して余計に散らかってしまうことがあります。余裕をもった収納にすることが大切です。

――子どもが使い勝手の悪い配置にした場合はどうしたらいいでしょう。

そのときも、すぐに注意するのはガマン。明らかに邪魔になる位置に小物を飾ったとしても、落ちては拾うということをお子さんが何度か繰り返したころに、「そのうちなくなっちゃいそう」などと水を向けて、「違う場所のほうがいいかな」と気づかせます。
もちろん、1回で最適な場所が見つけられるわけではないので、使いながら改善していきましょう。

――ステップ3の見直しですね。

はい。しばらく生活してみて、やっぱり片づかないようなら、どこかに改善の余地があるはずです。親御さんが「片づけにくいのかな?」などと声をかけて、見直しを促すといいですね。
学期や年度替わりなどの節目にも見直してみることをすすめます。新しい生活に向け、気持ちも環境も整えられますよ。
また高学年になると、クラブ活動や委員会活動が始まって物が増えます。学校に置いておく物、週に1回持ち帰る物など、サイクルの違う物もより多くなります。お子さんの手に余るような様子が見られたら、親御さんは声をかけて一緒に見直してあげるといいでしょう。

時間と情報の管理法がわかると、 夢を追う力も伸びる

――学校のプリントなども片づかないものです。

情報の片づけ方も教えるといいですね。
情報も収めやすく必要な時に取り出しやすいことが大事。そこで、先生から配られたプリントや返ってきた課題、テスト、Z会の教材など、まずはお子さんの身の回りにある情報を列挙して、分類しましょう。「お母さんに出すもの」「見直したら捨てていいもの」「しばらくとっておくもの」など。分けたらそれぞれ箱を用意します。また学校の宿題のためにインターネットで検索したページなど、デジタルの情報の場合は、フォルダを用意するといった保存の方法を教えるといいでしょう。そして、どのタイミングで見返すのかルールを決め、期日が来たら不要なものを削除します。
同様に時間の管理も教えることができますよ。

――どうすればいいのでしょうか。

物の片づけと基本的に同じで、自分が時間をどう使いたいのか考え、やるべきことややりたいことの優先順位をつけて、1日や1週間の中に収めていきます。
たとえば春休みをどう使うか。お子さんと話して、用事ややりたいことを付箋紙に書き出します。ドリルを〇ページやる、水泳教室に行く……。「春休みはサッカーをがんばるぞ」というなら、「練習を毎日〇時間やる」など。書き終わったら、スケジュール帳などに貼っていくと、「あ、この日はサッカーの練習がもっとできる」「この日は予定がいっぱいだ」とわかるので、調整します。忙しくなる高学年はもちろんですが、低学年でもできるので、お子さんにすすめてみてはいかがでしょうか。

――物でも時間や情報でも、片づけには親子の会話が不可欠ですね。

そうなんです。一緒に話し合うなかで、親御さんはお子さんの価値観を知ることができるし、将来どうなりたいのか、お子さんの夢を聞くこともできる。片づけは自分のしたいことをかなえる手段。そういう意味で、夢を追う力の育成にもなると思います。

⇒次ページに続く お子さまと相談! 新年度に向けて机まわりの片づけを

プロフィール

長代 沙智子(ながよ・さちこ)

一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会認定のライフオーガナイザー、片づけ脳力トレーナー。東京在住。高校生から幼稚園生までの2男2女の子育て中。自身、本来は片づけが苦手で、母親に任せっぱなしの子ども時代を送る。結婚後、家庭内に物があふれる状況に戸惑うなかで、アメリカで生まれた物や時間、情報の整理術である「ライフオーガナイズ」の考え方に出合い、片づけの仕方と意味を知る。現在は東京を中心に、子どもたちに「片づけは楽しい」と知らせる活動を展開中。

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