特集

「わかったつもり」にならない学習習慣(3)

  

テストとは、「わかったつもり」に気づくきっかけ

――子どもの中には、間違っていることを認めたくないという気持ちもあるように思います。極端な場合、テストで100点がとれないと悔しくて泣いてしまったり。

そのようなお子さんは、どこかで「テストは100点じゃなきゃダメだ」と学習してしまっているんですね。保護者の方が「何点だったの?」「100点がとれてすごいね」「95点か、残念だったね」などと、点数にこだわる姿勢を見せていたのかもしれません。テストの中には、入試のように合否を決めるもの、プレッシャーのかかるものももちろんありますが、それ以外は「理解度を確認するためのもの」で、取り返しのつかないようなものではないんです。保護者の方もそれを心に留め、折に触れて「今気がつけてよかったね」と、テストを「わかったつもりに気づくための機会」と捉えられるような働きかけをしていくことがとても大事です。

――とは言っても、100点をとると、やはりほめたくなってしまうと思うのですが。

点数だけを見て過度にほめることは、決していいことではありません。

とくに1・2年生のうちは、早期から一生懸命勉強している子は成績が高いのが一般的で、100点をとれることも多いと思います。が、4年生くらいになると、かけた時間よりも「どれだけ理解できているか」が大きく影響するようになり、早くから塾に通っていたからよい成績がとれる、というわけにはいかなくなってきます。

そうなったときに、子ども自身が「100点じゃないとダメなんだ」という考えをもってしまっていると、間違えたことを隠したりごまかしたりするようになってしまいます。もしお子さまがそういう考えをもってしまっていたら、保護者の方は、点数を見て責めたりせず、中身を見て「この問題ができたのはすごいじゃない。これ難しくなかった?」とほめたり、「どうやって解いたの?」と説明してもらったり、できなかった問題は「何に気をつければよかったかな?」と理由を考えるように促していきながら、「テストはうまく使うものだ」というふうに子どもの意識を変えていくことが必要ですね。

――Z会の添削問題なども、理解度をはかるきっかけとして使っていただけたらいいなと思います。

認知心理学の立場からいうと、「わかったつもり」がないかチェックする意味でちょっとしたテストをしてみて、できなかったところを見つけて取り組むという学習法は、どんな課題でも共通して効率的なやり方だといえます。

問題を解いてみて、苦手なところや理解できていない箇所が見えてきたら、「こんなやり方はどうかな」と試しながら、より効果的な方法を見つけていく。いろいろ試したがるようなタイプの子は、自然にそうした工夫をするようになったりしますね。
逆に、すごくまじめで、小さいときから宿題でも何でも言われたとおり一生懸命やってきた子が、高学年になっていま一つ結果が出なくなってしまうということもよくあります。うまくいかないときに、勉強の量を増やす以外の方法を思いつかなかったら、中学以降、本当にしんどくなってしまいますよね。ですから小学生のうちに、修行みたいにひたすら反復するのではない別の方法を提案するとか、小テストを一緒に作ってみるといった働きかけを保護者の方からしてもらえると、子どもはとても助かると思います。

  

一生続く学びを支え、自分を導く【メタ認知】

――お話をうかがって、小学生という時期は、学習内容そのものだけでなく、「学習方法」に関するスキルを身につけていく大切なスタート地点なのだと思いました。

そうですね。
自分が子どものころには思いもつかなかったような新しい知識や技術がどんどん生まれていることを考えれば、この先、学校で学んだことだけで対応できることはほとんどないと考えたほうがいい。働きながらも自分で自分の知識をアップデートしていかないと、仕事を続けていくこともままならない。すでにそういう時代になっています。

そういう時代において「自分は何ができるか」を考え、「足りないものは何か」「どのような知識を身につければよいか」を判断し、「そのためにはどのような勉強をするとよいか」「時間に限りがあるなかで、できるだけ効率よく勉強する方法は何か」と自分を導いてくれるものが、【メタ認知】なんですね。

私の恩師がよく使っている言葉に、「『学んだ力』と『学ぶ力』」というものがあります。「学んだ力」とは、身につけた知識・技能から得られる力で、「学ぶ力」とは、新しい知識や技能が出てきたときに対応する力のことです。学力というと、前者のほうが注目されがちですが、これからの時代においては、「学ぶ力」がますます重要になります。【メタ認知】は、その「学ぶ力」の一部であり、個人のキャリアを長期に支えるスキルだといえます。

小学生の子どもたちが今している勉強は、将来にわたって必要な「学ぶ力」を獲得していくためのものでもあります。保護者の方には、学習の量や点数だけに注目するのではなくて、お子さんが「よりよい学習の方法を獲得していくこと」を重視したかかわり方をしていただけるといいですね。

――そうですね。ありがとうございました。

まだZ会員ではない方

関連リンク

おすすめ記事

AI時代に必要となる力とは  <br>―期待が寄せられる「STEAM教育」(1)AI時代に必要となる力とは  <br>―期待が寄せられる「STEAM教育」(1)

特集

AI時代に必要となる力とは
―期待が寄せられる「STEAM教育」(1)

小学生の外国語(英語)習得で何が大切か <br>〜海外の事例からわかること~(1)</b小学生の外国語(英語)習得で何が大切か <br>〜海外の事例からわかること~(1)</b

特集

小学生の外国語(英語)習得で何が大切か 
〜海外の事例からわかること~(1)

「ガミガミ」から卒業しよう〜子どもを自立へ導く親の姿勢(1)「ガミガミ」から卒業しよう〜子どもを自立へ導く親の姿勢(1)

特集

「ガミガミ」から卒業しよう〜子どもを自立へ導く親の姿勢(1)


Back to TOP

Back to
TOP