「世界史B」2018年度センター試験分析

投稿日時:2019年9月9日

2018年度センター試験分析速報

■分量と難度の変化(時間/配点:60分/100点) ・大問数は例年同様4題、小問数は2005年度以来36問となっている。 ・正誤問題が中心であり、形式面では取り組みやすい問題が多かったが、紛らわしいダミーが盛り込まれていたり、一部で細かい知識を要する問題があったりしたため、全体の難易度は例年並みといえる。 ■今年度入試の特記事項 ・正誤問題の出題が増え、全体の約8割を占めた。一方、地図問題が2017年度の4問から1問に減少したほか、年表を使った問題が2問から1問に減少し、3つの出来事を並び替える年代整序問題は出題されなかった。 ・2016年度以来出題されているグラフを読み取る問題は、2018年度も1問出題された。 ・文化史からの出題が増加し、人物や作品・事物に関するやや踏み込んだ知識を要する問題も見られた。 ・近・現代史からの出題がやや多いが、全体的に幅広い時代について満遍なく出題された。 ・地域では、中国史からの出題が目立ったが、概ねバランスよく出題された。中央アジアやアフリカなど、対策の及びにくい地域についての出題も見られた。 ■差がつくポイント ・年表問題だけでなく、正誤問題においても年代が判断のポイントとなる問題が多く、大まかな時期の把握や前後関係の理解は不可欠であった。 ・一部の選択肢には細かい知識を要する問題が見られたが、他の選択肢の正誤が容易に判断できるものも多く、消去法を用いた解答方法も有効であった。 ・概ね基本的な知識で対応できる問題であったが、時代・地域とも満遍なく出題されたため、高得点をねらうには教科書の記述を隅々まで押さえておく必要があった。 ■大問別ポイント    第1問    ・世界史上の帝国や王朝の支配をテーマに、前近代史を中心に出題された。 ・問4・問9は文化史からの出題であった。作者・作品名だけでなく、その内容や特徴といった知識も必要とされる問題であった。 ・問7は学習が手薄になりやすい地域にも言及されており、難しく感じた受験生も多かっただろう。教科書の記述をしっかりと押さえられているかで差がついた。    第2問    ・宗教や宗教集団をテーマに、時代・地域・分野とも幅広く出題された。 ・問2の地図問題は、基本的な知識を問うものであり、確実に正解しておきたい問題であった。日頃から地図を用いた学習を行っていたかどうかで出来が分かれただろう。 ・問6はシェークスピアが生きた時期に起こった出来事を選ぶ問題であった。シェークスピアの生没年はリード文中に示されているので、各選択肢の出来事の年代把握がポイントとなる。大まかな時期がわかれば解答可能な標準的な問題であった。 ・問8は基本的な知識で解答できるが、混同しやすい事項が多い範囲のため、迷った受験生もいたかもしれない。 ・問9の2文正誤は現代史からの出題であったが、いずれの文章も歴史上の重要事項に関する基本的な内容を扱っており、平易な出題であった。    第3問    ・世界史上の都市とその建造物をテーマに出題された。対策が及びにくい地域を扱った問題が目立ち、若干難しく感じたかもしれない。 ・歴史的建造物に関する問1は、文化史の分野にも踏み込んで学習できていたかどうかで差がついただろう。 ・問6はやや盲点だったかもしれない。正答となる選択肢について、用語の内容までしっかりと押さえられているかがポイントとなった。 ・問9ではグラフを読み取る問題が出題された。例年と同様、グラフの読み取り自体は平易なもので、出来事の年代把握が鍵となる問題であった。取り上げられている出来事はいずれも、細かい年代まで押さえておいてほしい基本事項である。なお、「第一次世界大戦」の年代は2017年度のグラフ問題でも問われている。    第4問    ・人の移動と戦争との関わりをテーマに、近・現代史を中心に出題された。 ・問4では、ルワンダ内戦の時期を問う年表問題が出題された。年代の間隔が広く、大まかな時期がわかれば解答できるが、対策の及びにくい時代・地域からの出題であり、対策の有無が出来を分けただろう。 ・問5は、年代把握が解答の鍵となる問題であった。 ・問7は、一部の選択肢にやや細かい事項が見られたが、概ね標準的な出題であった。 ・問8は紛らわしい事項の多い範囲であり、正確な知識が要求された。 ・問9は戦後史からの出題であり、学習が手薄になりやすい範囲のため、難しく感じた受験生は多かっただろう。  

高1高2生へのアドバイス

●センター試験・個別試験の両方で世界史が必要な場合 受験生になったら個別試験対策を中心に対策を進めよう。通史の基礎知識は受験生の夏休みまでに一通り網羅しておくことが望ましい。但し、センター試験独特の形式に慣れるために、マーク模試は早期から受けておくこと。 高1高2生は、受験学年に入る前にZ会の通信教育「高校理科地歴コース 世界史」やZ会の映像「高2東大世界史」を利用して一通りの世界史の流れを頭に入れておくと、センター試験での得点力を早期に養成することができる上、個別試験対策にもスムーズに移ることができる。 受験生になったら、個別試験対策がそのままセンター試験対策につながるので、夏休みが終わるまでに、戦後史を含む一通りの通史学習を終えられるような計画を立ててほしい。そのためのペースメーカーとして、Z会の通信教育「東大コース 世界史」「京大コース 世界史」「難関国公立コース 世界史」「早慶コース 世界史」「難関私大コース 世界史」の受講がおすすめである。さらに、Z会の映像の各大学対策講座などを活用して、頻出分野の知識のインプットと志望大学の出題傾向に対応した問題演習を行うのもよいだろう。 受験生の秋以降も、個別試験へ向けた学習ペースを崩さないようにしながら、センター試験独特の形式に慣れるために、Z会の通信教育「センター攻略演習セット」やZ会の映像「センター講座:世界史【標準編】」「センター講座:世界史【完成編】」に取り組もう。 ●センター試験のみで世界史が必要な場合 遅くとも受験生の11月くらいまでには通史学習を終わらせよう。同時進行で問題演習も行うのが理想的である。 世界史は学習量が膨大、かつ様々な時代・地域・分野の内容がランダムに出題されるため、通史学習を終えるだけでなく、センター試験形式の問題演習を十分に積まないと、高得点にはつながらない。Z会の書籍『解決! センター世界史B』や、Z会の映像「センター講座:世界史【標準編】」で、センター試験対策を意識した通史の整理をしつつ、Z会の通信教育「センター攻略演習セット」を利用して、センター試験独特の出題形式に慣れよう。早期にセンター対策を終え、他教科の個別試験対策に効率的に時間を使いたい。

 

▼「センター攻略演習セット」世界史担当者からのメッセージ  ・例年、センター試験の世界史Bは形式や難易度の大きな変化がなく、2018年度も形式ごとの出題数に若干増減が見られたものの、きちんと対策を行っていれば確実に高得点がねらえる問題でした。センター試験の世界史Bは教科書で扱う全時代・地域を対象に、バランスよく出題されますから、通史を最後まで十分に学習しておくことがとても重要です。世界史は学習量が多いため、入試の直前になって詰め込もうとしても限界があります。センター試験本番1~2年前の今のうちから、コツコツと学習を積み重ねていくようにしましょう。センター試験の世界史Bは、対策をした分だけ得点を伸ばすことができる科目ですから、高い目標を持って取り組んでいってほしいと思います。 ・世界史Bの学習においては、用語の暗記だけでなく、空間的な広がりや時代の流れを意識して歴史を捉えることが不可欠です。こうした学びの中で、歴史が単なる“過ぎ去った時代の話”ではなく、現代の世界の諸問題にもつながっていることに気がつくのではないでしょうか。皆さんには、1~2年後の受験を突破するための表面的な学習に終わらせることなく、世界史の学習を通して現代の様々な問題に関心を抱き、それを解決する主体となっていくための素養を身につけていってほしいと願っています。

 

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