Z会では毎年、共通テストの「分析」や「対策」の詳細を公開しています。2021年度〜最新年度2024年度共通テストの入試分析を、ぜひこれからの対策にお役立てください。
各科目の詳細分析記事一覧
Z会の大学受験担当者が、共通テストの試験問題を科目ごとに分析。今年度の出題内容と次年度に向けた攻略のポイントを解説します。
詳細分析、公開中英語リーディング 詳細分析、公開中英語リスニング
詳細分析、公開中数学I・A 詳細分析、公開中数学II・B
詳細分析、公開中国語
詳細分析、公開中物理 詳細分析、公開中化学 詳細分析、公開中生物
詳細分析、公開中日本史B 詳細分析、公開中世界史B 詳細分析、公開中地理B
詳細分析、公開中化学基礎 詳細分析、公開中生物基礎 詳細分析、公開中地学基礎
総括と学習の指針
2024年度の共通テストの総括
共通テストの全体傾向:出題傾向や難易度が安定した出題となり、全体の平均点はやや上昇。
大学入試センター発表の中間集計では、英語リスニングや国語の平均点が上がったことから、英語、数学(数学ⅠA+数学ⅡB)、国語の合計で昨年平均点より約14点上昇しています。
共通テストの導入以降、一昨年の数学の大幅難化や昨年の理科の得点調整(生物の難化)など、出題レベルについてやや不安定な状況が続いていましたが、今年度は大きな変動はなく、安定した出題であったといえるでしょう。
出題内容については、これまで同様に、問題の分量や扱う資料の数が多く、多くの資料から適切に情報を読み取る力や、資料の内容を学習内容と関連付けて考察する力を要する問題が目立ちました。各教科では細かい変化こそ見られるものの、知識の量ではなく、知識の活用力や応用力を問う共通テストの問題作成方針も安定してきたといえるでしょう。
英語:リーディングは難化する一方で、リスニングは平均点アップ。
リーディングについては、読解量(語数)が多く、イラストや表、グラフを含む問題も見られ、短時間で多くの情報を処理する速読即解力を求められるという基本傾向は変わっていません。ただし、昨年度に比べて、さらに語数が増え、やや難化しました。これまで以上に速読即解力がないと高得点は厳しい出題となっています。
リスニングについては、英文の読み上げが1回しかない設問、アメリカ英語以外の英語が使われる設問、表やグラフなどを読み込んで素早く正答を導き出す設問など、出題傾向は変わりませんでしたが、個々の設問ではひねった出題がなく比較的素直で取り組みやすい出題が多かったため、大学入試センターの中間発表では、約6点の平均点アップとなっています。
リーディング・リスニングともに本番の時間設定・出題形式に合わせた演習を事前に積み重ね、多くの英文情報や資料から解答に必要な情報に素早くアクセスできるようにしておくことが大切です。
数学:昨年とほぼ同じ平均点で、出題傾向も昨年踏襲。
昨年同様、各大問(中問)の前半に得点しやすい問題が配置されて、後半から最後の設問に掛けて思考力を要求されるという構成で、平均点としてもほぼ昨年並みとなっています。
出題の特徴として、対話型の問題や、日常生活に関連する題材が見られる点について、今年度もその傾向は踏襲されていますが、対話の分量が少なくなり、日常生活に関する題材もデータ・統計分野以外では、数学ⅠAの電柱の影の問題のみとなるなど、これら特徴的な出題傾向はやや弱まりました。
その一方で、計算力よりも数学的な理解力、思考力を要求するという傾向は強まり、数学ⅡBの微積分など、やや抽象的な論理力、思考力が求められる問題も見られました。
思考力、応用力の求められる後半の問題をどれだけ攻略するかが得点アップのカギとなりますので、問題解法を暗記するような学習ではなく、しっかり考え方を理解して応用できるようにすることが大切です。また、前半の問題の結果や考え方を活用、応用することがカギとなることが多いので、普段から、一つの大問の中での設問の繋がりを意識しながら演習を行うとよいでしょう。
国語:複数文章の比較の負担がやや減った出題で、平均点上昇。
例年通り、複数文章や授業の会話場面・生徒の学習活動を想定した出題が見られましたが、漢文以外は〈複数文章の関連づけ〉がそれほど多くは求められなかったこともあり、平均点は約10点アップしました。昨年までは文章の比較に手間取ったのに対し、今年は読解自体に時間をとることができる出題でした。
とはいえ、平均点が低かった昨年度よりも易化しただけであり、〈複数文章の関連づけ〉は共通テストの大きな特徴ですので、正確な読解や基礎となる知識事項の習得を大前提としつつ、複数の文章や資料の情報を結びつけて考える問題演習をしておきましょう。
理科・地歴公民:理科では平均点の差が縮小。理科、地歴ともに従来の傾向を踏襲。
理科については、探究活動や実験に関する設問が多く見られたり、高校で深く学習しない内容を題材とする問題も出題されるなど、知識や典型問題の定着度ではなく、思考力や活用力を問うという共通テストの傾向に変化はありませんでした。
また、昨年度は生物の平均点が低く得点調整が発生しましたが、今年度は生物の平均点が上昇し、大きな平均点の差がなくなりました。
地歴公民については、昨年度と同様に、多数の資料とともに、さらにそれらの説明文や会話文を含む問題が目立ち、複数の資料や会話文を元に包括的に考える力が求められました。日本史B、世界史Bでは文献資料が昨年より増加し、より一層その傾向が強まりました。世界史Bでは、前の問題の解答に連動して正答が変わる連動型問題が共通テスト本試験で初めて出題されました。
基本的な知識・理解を前提に、資・史料などからの丁寧な読み取りや、設問条件・選択肢の内容を短時間で正確に把握する練習を積んでおくとよいでしょう。
今後の共通テストの学習の指針
1.時間内に多くの資料を読み解く読解力・情報処理の力が不可欠
センター試験と比較して、ほとんどの科目で、読み解くべき文章や資料の分量が増加し、時間的に非常に厳しい試験になっています。短時間で、多くの資料から適切に情報を読み取り、解答に必要な情報に正しくアクセスし、他の資料や教科書の学習内容と結びつけて考察する力が問われます。これが全科目で問われることから、共通テストは、負荷の大きい非常にハードな試験になっています。「読解力の養成」「知識を深く理解して応用する」「未知の設定でも知識を正しく活用して論理的に考察する」という姿勢を常に意識した学習の積み上げが求められます。
2.基礎知識の習得も確実に!
「読解力」という側面にばかり気を取られて、基礎知識の習得がおろそかになることも、要注意です。今年度の出題でも、基礎知識の正確な理解がなければ解けないタイプの出題は多くあり、またそうした問題で差がつきやすい傾向もありました。知識の正確な理解と定着は、これからも変わらず重要です。
3.早期から「入試を見据えた学習」を!
科目数も多い共通テスト対策を着実に進めるためには、高1高2の段階から、計画的に学習を進めることが大事です。また、全科目で求められる文章の読解力や、共通テストになって大きく配点の比重が上がった英語のリスニングなどは、短期間での対策が難しいです。「受験生になってから」ではなく、早期から対策に着手しましょう。学校の授業だけでなく、入試を見据えた学習にも少しずつでも取り組んでおくことが、必須です。
これからの共通テスト対策として必要なことは
- 土台となる読解力の養成や、正確な知識の習得に、早い時期から力を注ぎ
- 出題が想定されるタイプの問題には、幅広く取り組んでおき
- 試験本番の分量感をふまえ、時間配分も意識した実戦形式の演習にもしっかりと取り組んで
- 個別試験対策との時間配分のバランスにも注意して、全科目まんべんなく対策を進めること
です。
Z会の通信教育の「[専科]共通テスト攻略演習」は、毎月の演習を通して、上記の対策を段階的に進めていく講座です。7教科17科目セットなので、全科目まんべんなく対策を進めることができ、共通テストでの高得点が狙えます。 Z会を活用して、これからの共通テスト対策を効果的に進めましょう!
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