数学Ⅱ・B – 共通テストの分析&対策の指針

投稿日時:2024年1月14日

Z会の大学受験生向け講座の数学担当者が、2024年度の共通テストを分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。

 

共通テスト「数学Ⅱ・B」の出題内容は?

まずは、科目全体の傾向を把握しましょう。分量、問題構成、難度などを解説します。

試験時間と配点

時間 / 配点:60分 / 100点


出題内容

●例年通り大問5題。第1問、第2問は必答問題で、第3問~第5問のうち2題を選択する形式。

●2023年度と同様に、選択問題は第3問確率分布、第4問数列、第5問ベクトルの順であった。

●各大問や中問において、易しい問題からやや難しい問題が順に並んでおり、受験生の実力差が得点差に現れやすい。

●現実社会に数学を適用する問題や、振り返り、そして解決のための構想力が問われる設問など、共通テストらしい出題は2023年度並みに見受けられる。


2023年度との比較

●必答問題は第1問は2023年度同様中問2題構成であったが、第2問は2023年度とは異なり、中問構成ではなかった。また、第1問[2]では、共通テストの本試験としては初めて「式と証明」、「複素数と方程式」の分野から出題された。

●2023年度と同様に選択問題のうち第3問の確率分布が解きやすいほか、第5問のベクトルも解法次第であるが、比較的取り組みやすい。一方で、第4問の数列は見慣れない形の漸化式を分析する必要があるため、数列に苦手意識のある人は厳しかっただろう。

●2023年度と同様に、全体的な計算量を押さえる配慮がなされている問題がいくつか見受けられた。これは、計算力重視のセンター試験からの大きな変化の1つであり、今後もこの傾向が続くと考えられる。

●どの選択問題を解くかにもよるが、全体の分量としては2023年度とほぼ同様だろう。それぞれの分野における典型問題が多く出題された一方、目新しい出題形式も増え、難度は昨年度並みといえる。


数学Ⅱ・Bの「カギとなる問題」は?

次に、数学Ⅱ・Bで「カギとなる問題」を見てみましょう。共通テスト特有の問題や、合格点をとるうえで重要な問題を取り上げ、攻略ポイントを解説します。

●第1問[1]、第2問のように状況に適合するグラフを選択する選択式の問題が出題された。分析した情報を図やグラフなどで図示することは問われていなくても状況の整理や確認に有効である。

●第1問[2]と第4問は、論理に関する出題を含み、思考力や構想力を問う共通テストらしい出題である。また、いずれも出題例の少ない内容からの出題であり、満遍なく学習してきた者が報われただろう。

●第2問は文字を含む抽象的な考察が続き、思考力が要求される問題で、純粋な数学力がある程度要求されるものであった。


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大問別ポイント/設問形式別ポイント

次に、数学Ⅱ・Bの出題内容を詳しく見ていきましょう。各問の難度や求められる知識・考え方を解説します。

第1問〔1〕:対数関数 [標準]

・底にも文字が含まれる対数を含む関数のグラフや、方程式、不等式についての問題。
・文字が多く使われていることから、状況の把握や、必要な場合分けなど細部に注意が求められるが、共通テストの対策の中で類題の経験がある人も多かったであろう。


第1問〔2〕:式と証明、複素数と方程式 [標準]

・ある整式を2次式で割った余りが定数となる必要十分条件についての問題。
・商、余りをそれぞれ文字でおいてみたす条件を考える、というこの分野においては定石とも言える処理で解決できる。一般的に証明した事実を具体的な問題に応用するという点で共通テストらしい出題であった。
・2023年度の追試験において大問の主たる題材として「式と証明」、「複素数と方程式」の分野が出題された例があるが、本試験としては初めて。対策が不十分であったことから難しく感じた受験生も多くいたであろう。


第2問:微分法、積分法 [やや難]

・ある放物線と座標軸で囲まれる領域の面積に関する問題。
・定積分の図形的な意味が問われている。前半は具体的な計算問題が中心であるが、「微積分学の基本定理」を意識できていると見通しよく解き進めることが出来たであろう。
後半は「放物線は軸について線対称」という図形的な性質を定積分を通して、S(x)という関数のもつ数式の性質に結びつける必要があり、難度が高い


第3問:確率分布、期待値 [標準]

・日曜日に天候が晴れとなる確率を題材とした確率分布の問題。
・前半は母標準偏差がわからないときに母平均を推定する典型的な出題であった。
・後半は期待値を主なテーマとした出題で、設問の誘導に乗ることができれば答えを出すこと自体は平易であっただろう。


第4問:数列 [標準]

・ある漸化式をみたす数列の性質を探る問題。
・(1)、(2)は基本的な漸化式であり、確実に確保したい。
・(3)の見慣れない漸化式の分析に戸惑った受験生も多いだろう。(i)、(ii)での分析によって状況を把握できたかどうかがカギ。数学的帰納法を利用した証明の構想力を問う設問や正誤判定の問題など、思考力、判断力が問われる共通テストらしい出題が見られた。


第5問:ベクトル [やや易]

・空間図形の問題で、定直線上を動く動点と定点の距離の最小値、および2つの定直線上をそれぞれ独立に動く2つの動点の距離の最小値についての問題。
・会話文で解法のヒントが提示されているなど、誘導が丁寧であることから方針に迷うことは少ないだろう。(3)は前問までを振り返り、方針を立てるという共通テストらしい要素を含む設問であるが、そもそも類題の経験のある受験生も多かったと思われる。


攻略へのアドバイス

最後に、次年度以降の共通テストに向けた攻略ポイントを確認しましょう。数学Ⅱ・Bで求められる力をふまえて、必要となる対策を解説します。

教科書の知識をしっかりと身につける

知識を発展させたり、深掘りさせる出題、多様な知識を問う出題と様々なバリエーションがみられる。どの知識を問われるかは出題されるまでわからないので、教科書に載っている知識はすべて扱えるようにしておこう


探究心を大切にする

問題が解けることだけが大切なのではなく、平面から空間(2次元から3次元)への拡張、発展的な知識の類推など、ある知識を得て「何かに発展できないだろうか」という探究心を日ごろからもって学習しよう。また、「なぜそうなるのか」という疑問は、批判的思考を育成するには重要な意識である。このことは論理的思考の養成にもつながる。このような意識をもって、日頃の問題演習に取り組もう。


「自分を信じる力」を本番で維持できるかが最も大切

「自分を信じる力」を本番で維持できるか、一番大事なのはそこである。そのためには、良質な演習の積み重ねが大事。早い時期から、様々なレベル・ジャンルの問題に触れて、万全の対策を進めておこう。Z会では、共通テストを徹底分析し、専科「共通テスト攻略演習」を制作している。共通テストで求められる力をバランスよく鍛えるために、ぜひ活用しよう。そして、「何でもドンと来い!」というゆるぎない自信をもって本番を迎えよう。Z会が皆さんをバックアップしていきます。


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