英語リーディング – 共通テストの分析&対策の指針

投稿日時:2024年1月14日

Z会の大学受験生向け講座の英語担当者が、2024年度の共通テストを分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。

共通テスト「英語リーディング」の出題内容は?

まずは、科目全体の傾向を把握しましょう。分量、問題構成、難度などを解説します。

試験時間と配点

時間 / 配点:80分 / 100点


全体の傾向

2023年度と比較して、全体の大問数・設問数には変化はないが、本文の総語数は増加した。短時間で多くの情報を処理する速読速解力が、これまで以上に求められる出題となった。

例年同様、イラストや表、グラフなどさまざまな形式の情報が含まれており、設問には本文の記述に基づいて推測したり、事実と意見をより分けたりする必要のあるものが含まれていた。

例年同様、イギリス英語特有の表現・スペルが含まれていた。


英語リーディングの「カギとなる問題」は?

次に、英語リーディングで「カギとなる問題」を見てみましょう。共通テスト特有の問題や、合格点をとるうえで重要な問題を取り上げ、攻略ポイントを解説します。

第3問A 問2

ブログを読んだ上で、それに対する適切なコメントを選ぶという出題。事実の正誤だけでなく、応答としての適切さを判断する必要があった。ただし、本文の事実と異なる情報を含む選択肢を消去していけば、正答にたどり着くことができる。


第3問B 問1

時系列に沿って選択肢を並べる点は23年度と同じだが、選択肢の内容が、事実の記述ではなく、イベントに参加した生徒のコメント(感想)に変化した。その分、選択肢の語数が増えたほか、情報を事実と意見(感想)により分けて判断する必要が生じた


第4問 問4

空所の前後を見て、アンケート集計結果のグラフとコメントを関連付ける問題であると見抜く必要があった。それらしい選択肢が含まれているが、空所を含む1文の主語が The majority であることに気づけたかがポイントであった。


第5問 問1

設問形式は23年度と概ね同じだが、3人の人物について、時や場面が何度か変わりながら描写され、全体の流れが複雑な英文になっている。与えられた選択肢を正確に並べるには、出来事の前後関係を細かく把握する必要があり、時間を要しただろう。


第6問A 問3・問4

本文中で説明されている専門用語について、それに当てはまる適切な具体例を選ぶという新傾向の問題。本文の記述をもとに正確に思考・判断する必要があり難易度が高かった


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大問別ポイント/設問形式別ポイント

次に、英語リーディングの出題内容を詳しく見ていきましょう。各問の難度や求められる知識・考え方を解説します。

第1問A:語学学校のイベントの案内(約190語)(配点:4点)[やや易]

・2023年度と同様に資料から必要な情報を読み取る問題であったが、語数は約60語増加した。問1では、無料で参加するために必要なことが問われ、問2では、イベントの具体情報が問われた。


第1問B:3つの観光ツアーの案内(約240語)(配点:6点)[標準]

・2023年度から大きな形式の変化はない。2024年度は3問とも3つのツアーの情報を横断的に参照することが求められた。英文は平易だが、比較的細かな情報を整理しながらそれぞれの案内を読む必要があった。


第2問A:高校の戦略ゲームクラブへの勧誘チラシ(約180語)(配点:10点)[標準]

・クラブ活動への勧誘チラシが題材で、語数は2023年度より約90語減少した。チラシの紙面が「事実(活動内容)」と「意見(部員の声)」の2つのエリアに分かれており、設問ごとに参照すべきエリアを判断しやすい点は2023年度と同様。ただし、似通った単語に惑わされず情報を整理して読む必要があった。

・例年出題される事実と意見を分別する問題については、2023年度同様に「意見」を選ぶもの1問のみであった。また、本文で言及されていないものを選ぶ問題が新たに出題された。


第2問B:留学生による旅行保険についてのレビュー(約280語)(配点:10点)[標準]

・旅行保険のレビューが題材。2023年度は本文が2つのエリアに明確に分かれていたが、2024年度はエリア分けのない一続きの文章だった。3つの保険プランの内容を混同しないよう注意が必要であったものの、プラン毎にパラグラフを分けて書かれており、丁寧に読み進めれば大きな問題はなかったはず。

・2023年度と同様、正しい内容の組み合わせを選ぶ問題が出題された。例年出題される事実と意見を分別する問題は、2024年度は「意見」を選ぶものだった。また、本文で言及されていないものを選ぶ問題が新たに出題された。


第3問A:フォトラリーのイベントに関するブログ記事(約250語)(配点:6点)[標準]

・ALTの先生の妹が書いたブログ記事に、フォトラリーのルールを示す文書が添えられた形式だった。2023年度は本文にイラストが添えられており、これは設問を解くのに必須の情報ではなかったが、2024年度は設問を解くのに必須の情報を含む文書になったことで、読むべき語数が約50語増加した。

・設問については、2023年度は本文の直接的な記述から判断できるものだったのに対し、2024年度は本文の内容から推測したり、応答の適切さを自分で判断する必要があるものだった。


第3問B:南の島へのバーチャルツアーに関する学校新聞(約320語)(配点:9点)[標準]

・バーチャルツアーに参加した生徒が書いた、学校新聞の記事を読むという状況設定だった。本文の形式や難易度については、2023年度から大きな変化はなかった。

・2023年度と同様に、時系列に沿って選択肢を並べ換える問題が出題された。ただし、2023年度の選択肢は単なる出来事の記述だったのに対し、2024年度の選択肢はイベントに参加した生徒のコメント(感想)であった。そのため、事実と意見を分別し、解答に必要な情報を的確に判断することが求められた。


第4問:英語クラブ室の改善策について(本文 約630語)(配点:16点)[標準]

・2023年度に引き続き、2つの資料から情報を読み取る問題が出題された。資料は、2023年度が記事2つであったのに対し、2024年度は記事とアンケート結果となった。

・設問についてはディスカッション用のプリントを埋める形式になった。前半は記事とアンケート結果の両方に基づく問題で、後半はアンケート結果内のグラフとコメントを関連付ける問題であった。


第5問:同級生3人が高校卒業後に再会するまでの物語(本文 約960語)(配点:15点)[やや難]

・物語文を読んでプレゼンテーション用のメモを完成させる問題で、設問形式は2023年度とほぼ同じであったが、語数が300語程度増加した。

・2023年度は1人の人物を中心に時系列に沿って書かれていたが、2024年度は3人の人物それぞれについて、約20年間の出来事が時を前後し、場面も頻繁に切り替わりながら話が進められている。英文構成が複雑になった上に語数が大幅に増加したため、情報を整理しながら素早く読み進める必要があった。


第6問A:時間の知覚(本文 約610語)(配点:12点)[やや難]

・2023年度と同様、英文の記事を読んでその内容に関するメモの空欄を埋める問題が出題された。2つの空欄に入れるものを6つの選択肢から選ぶ形式の設問も引き続き出題されたが、2023年度と違い2024年度は順不同ではなく、各パラグラフのトピックを選ぶ問題だった。本文中で述べられている概念に当てはまる具体例を選ぶという新傾向の問題も出題され、本文の内容を正確に理解した上で思考・判断する力が問われた。


第6問B:トウガラシなどの香辛料が持つ特徴と人体への影響(本文 約750語)(配点:12点)[やや難]

・例年同様、本文を読み、アウトラインをまとめる力を問う問題で、スライド中の空所を埋める形式であった。2023年度から引き続き、本文中に述べられていない内容を選ぶ問題や推論する問題も出題された。英文自体は2023年度より身近な題材でやや読みやすい印象だが、難易度の高い語句・表現の理解を必要とする、解きにくい設問も含まれていた。


攻略へのアドバイス

最後に、次年度以降の共通テストに向けた攻略ポイントを確認しましょう。英語リーディングで求められる力をふまえて、必要となる対策を解説します。

大量の英文を正確に速く読み、情報処理力と、思考・判断力を身に付ける

すべての問題が長文読解であるだけでなく、全体の読解量が非常に多いため、まずは正確な速読力・速解力と、得た情報を的確に整理する力が求められる。その上で、解答に必要な情報を素早く特定したり、本文の情報に基づいて思考・判断する力を身に付けることが重要である。


多種多様な文章や資料に慣れる

共通テストでは、イラストや表、グラフなどの与えられた資料から情報を読み取る力も必須である。長文と組み合わせた出題が多く、英文に書かれている状況や条件を把握し、資料から必要な情報を参照することになる。その際、自分が何を問われているのか(=資料からどんな情報を探さなければならないか)を正確に把握することがカギとなる。さまざまな形式の資料に慣れておこう。


実戦的な問題演習に取り組む

早い時期から実戦的な問題に取り組み、本番でどのような文章が出題されても必要な情報に素早くアクセスするコツをつかんでおくことが重要である。Z会の通信教育専科『共通テスト攻略演習』では、さまざまな出題パターンを網羅しているので、ぜひ活用してほしい。


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