国語 – 共通テスト(2021年度)の分析&対策の指針

投稿日時:2021年1月16日

Z会の大学受験生向け講座の国語担当者が、2021年度の共通テスト(第1日程)を分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。

 

共通テスト「国語」の出題内容は?

まずは、科目全体の傾向を把握しましょう。分量・問題構成などを整理し、難度(センター試験や試行調査と比較してどう変化したか)を解説します。
試験時間と配点

時間 / 配点:80分 / 200点

全体の傾向

評論・小説・古文・漢文の全四題の出題という形式はセンター試験と同様。

試行調査で見られたような、図表やグラフなど文章以外の資料や、実用文の読解など、従来のセンター試験とは異なる問題文出典レベルでの大きな形式変化はなく、従来のセンター試験の形式を踏襲した出題も多かったが、情報を整理・統合する力を問われる新傾向の出題も見られた

問題文の広い範囲に目配りし、各選択肢を丁寧に吟味する力が問われたが、試行調査および従来のセンター試験と比較しても、難易度・負担感ともに標準的な出題であった。

試行調査で重視されていた「情報を整理し的確に把握する力」は各大問中でさまざまな形式で問われていた。共通テスト形式の演習経験を積んでいた受験生であれば、実力を発揮できただろう。

 

国語の「カギとなる問題」は?

次に、国語で「カギとなる問題」を見てみましょう。共通テスト特有の問題や、合格点をとるうえで重要な問題を取り上げ、攻略ポイントを解説します。
第1問(評論) 問5:

本文の内容に加えて生徒が作成した【ノート1】~【ノート3】の資料がそれぞれ提示され、とくに(iii)では【ノート3】で引用された芥川龍之介「歯車」の一節を、本文中の「私」のあり方も踏まえて考察することが求められた。目新しい形式の出題であっても、本文・引用文中の根拠となる箇所に正しく着目したうえで、誤りを含む選択肢を消去して正解を吟味することが変わらず重要となる。

第2問(小説) 問6:

問題文で取り上げられた小説に対する批評が【資料】として提示された。一つの作品に対する複数の見方が存在する、という「文学的文章」の性質を体現した新傾向の出題といえるだろう。とはいえ、批評文も論理的でわかりやすく、設問もオーソドックス。丁寧に資料と選択肢を読むことができれば、正解は導ける。

第3問(古文) 問5:

和歌のやりとりについて、ほかの作品を引用し解釈させる設問であり、複数文章の内容を照合する必要のある出題であった。資料・問題文と幅広く目配りし、各選択肢を丁寧に吟味する必要がある

第4問(漢文) :

試行調査でも見られた、同一テーマを扱った二つの文章から出題され、問6はそれぞれの文章の共通性を抽出して題意を読み取り、選択肢を吟味する必要があった。その他の問題は字義や文法ルールに沿って丁寧に取り組めば自ずと選択肢の正誤判断が可能なため、第4問での取りこぼしは最小限にとどめたい。

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大問別ポイント/設問形式別ポイント(2/10更新)

次に、国語の出題内容を詳しく見ていきましょう。各問の難度や求められる考え方を解説します。

第1問:現代文(評論)香川雅信『江戸の妖怪革命』 [標準]

・時代の移り変わりに伴う「妖怪」観の変遷について論じた文章。〈「前近代(近世)」と「近代」の違い〉〈「物」と「記号」「表象」の関係〉〈「自己」のとらえ直し〉などの評論で頻出となるテーマ・キーワード知識を事前に身に付けていれば、内容把握はしやすかったと思われる。

・問1の漢字問題は、4つの選択肢から正解を1つ選ぶ形式の問題が5問出題された。問2~4は部分読解に関する設問。内容の把握そのものは難しくないが、一部の紛らわしい選択肢を吟味して正解を選ぶのに力を要する。

・問5では、生徒が学習上作成した【ノート1】~【ノート3】の資料が提示され、うち【ノート3】では芥川龍之介「歯車」の一節が引用された。(i)意味段落の見出しとして最も適当な語句を選ぶ、(ii)本文で述べられている内容のまとめとして、最も適当な語句を選ぶ、(iii)本文・引用文を踏まえた考察として、最も適当な語句を選ぶ、という構成。目新しい形式の出題だが、本文・引用文中の根拠となる箇所に正しく着目できれば正解を選ぶのはいずれも難しくはない。


第2問:現代文(小説)加能作次郎「羽織と時計」 [標準]

・1918年に発表された小説からの出題。100年以上前の作品ではあるものの、主人公が抱く気持ちは現代に通じる部分もあったことから、この年代の作品としては読みやすい内容だったと思われる。また、心情を問う選択肢については、ぴったり「これ」と当てはまるものがないと感じるケースがあったかもしれないが、「確実に誤りのもの」を除外していけば、正解にたどり着くことはできただろう。

・問1は定番の意味問題。文脈に頼りすぎず、「辞書的な語義」を基準に判断すれば迷うことはない。

・問2から問5も従来のセンター試験と同様、心情にかかわる問題だった。一部判断に迷う選択肢も見られるので、深読みしすぎることなく、丁寧に選択肢を精査する力が求められる。

・問6では、問題文となっている小説の批評文が提示され、多角的な捉え方・読み方を意識させる出題だった。(i)は批評文の評者の考えを、(ii)は批評文の評者と異なる見解を選ぶ問題だが、いずれも文章の表現効果の理解を問うという趣旨の問いであることから、従来のセンター試験の問6の流れを汲んだものだといえるだろう。なお、いわゆる「書評」に接する機会が多くなく、本問にとまどった受験生もいたかもしれないが、批評文の内容は比較的読み取りやすい。問題文と照らし合わせつつ「批評文」の主張を正確に捉えること、そして選択肢に含まれる「誤り」を見つけて除外していく……という作業を確実にやっていきたい。


第3問:古文『栄花物語』 [やや難]

・中古の歴史物語からの出題。2020年度に比べ問題文の分量は減少したが、設問を解くに当たっては問題文の細部まで丁寧に読解する必要がある。

・問1の語句解釈問題は従来のセンター試験同様の形式だが、語彙・文法知識だけでなく前後の文脈を正確に把握しないと選べないものが含まれており、難度は高い。

・問2・問3の傍線部内容把握問題は、選択肢がいずれももっともらしく、傍線部前後を正確に読解してリード文・注の情報も照らし合わせなければならないもので、ここでつまずいた受験生も多かっただろう。

・問5は和歌のやりとりについて、ほかの作品も引用し解釈させる設問。【文章】の内容もヒントにしながら、問題文後半の内容を踏まえて選択肢を丁寧に吟味する必要がある。


第4問:漢文欧陽脩『欧陽文忠公集』、『韓非子』 [やや易]

・北宋の詩人欧陽脩の漢詩と春秋戦国時代の韓非による文章からの出題。「御術」という共通のテーマを扱った複数の文章からの出題は試行調査でも見られた形式であり、漢詩も2020年度のセンター試験で出題されていたことから、出典の形式に当惑した受験生は少なかったと思われる。問題文の内容、設問とも比較的平易であり、字義や句形の知識を踏まえて寧に取り組むことができれば、苦戦するような問題はなかったと思われる。
・問1、問2はいずれも基本的な字義解釈の問題のため、漢字そのものの持つ意味と文脈を照らし合わせて解釈していけばよい。
・問3は,【問題文I】の空欄部を【問題文II】にある漢字から探す問題であったが、基本的には「押韻」の知識に基づいて選択肢を絞り、その上で文意に沿ったものを選べばよい。
・問4は、今回の漢文の出題の中ではやや難しかったかもしれないが、「所+欲」の訓読法は漢文頻出のため、私大入試や国公立二次試験でも漢文が必要な受験生はぜひとも正解しておいてほしい問題。
・問6は【問題文I】【問題文II】の共通性を抽出して選択肢を確認する必要があるが、両方の文章に当てはまる選択肢を選べばよいので、かえって誤答の選択肢を排除しやすかったかもしれない。
今回の共通テスト国語の中では、分量・難易度ともにこの第4問が最も取り組みやすかったため、この大問での失点は最小限にとどめたい。


 

攻略へのアドバイス(2/10更新)

最後に、次年度以降の共通テストに向けた攻略ポイントを確認しましょう。国語で求められる力をふまえて、必要となる対策を解説します。
正確な知識と幅広い文章ジャンルでの演習経験が差をつくる

問題文や関連する資料に広く目配りして情報を適切に把握する力が重視されており、試験時間に対する負担が重いため、本番でどのような文章が出題されても対応できるように、早い時期から問題演習を重ねて多くの問題に触れておくことが重要。古文単語や漢文句形などの知識事項は、今後も何らかの形で出題されることが予想され、問題文読解の基礎ともなるので、早い時期に固めておきたい。Z会の通信教育 専科「共通テスト攻略演習」では、さまざまな文章ジャンル・出題パターンを網羅しているので、共通テストで求められる力をバランスよく鍛えるために、ぜひ活用してほしい。

新高3生向け
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