Z会では、2023年1月14日・15日に行われた共通テストの試験問題を分析。出題分析と対策の指針を公開しています。
各科目の詳細分析記事一覧
Z会の大学受験担当者が、共通テストの試験問題を科目ごとに分析。今年度の出題内容と次年度に向けた攻略のポイントを解説します。
英語リーディング 英語リスニング 数学I・A 数学II・B 国語 物理 化学 生物 日本史B 世界史B 地理B 化学基礎 生物基礎 地学基礎 現代社会 倫理 政治・経済 倫理、政治・経済
総括と学習の指針
2023年度共通テストについて、Z会の大学受験指導責任者が「総括」と「学習の指針」を解説。各教科から特徴的な出題傾向を取り上げ、次回以降の共通テストを受験するみなさんに「どのような学習が求められるか」を解説します。(Z会中高事業本部高校指導課課長 花岡正司)
2023年度の共通テストの総括
共通テストの全体傾向:全体としては易化したが、知識の活用力や応用力を問う問題が目立つ。
大学入試センター発表の中間集計では、数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・Bの平均点が前年より大幅に上がり、試験全体としては易化したといえます。
問題の傾向としては、昨年と同様、問題の分量や扱う資料の数が多く、多くの資料から適切に情報を読み取る力や、資料の内容を学習内容と関連付けて考察する力を要する問題が目立ちました。知識の量ではなく、知識の活用力や応用力を問う共通テストの問題作成方針が定着してきたといえるでしょう。
英語:リーディングは速読読解、リスニングは情報処理能力が求められた。
英語(リーディング)では、昨年同様、短時間で多くの情報を読み取る速読速解の力が求められました。また推論発問(テキストから直接答えを抜き出すことができない質問)も複数の大問で見られました。英語(リスニング)でも、英文の読み上げが1回しかない設問、アメリカ英語以外の英語が使われる設問、表やグラフなどを読み込んで素早く正答を導き出す設問など、高い情報処理能力が求められました。
リーディング・リスニングともに共通テスト本番の時間設定・出題形式に合わせた演習を事前に数多く積み重ね、多くの英文情報や資料から解答に必要な情報に素早くアクセスできるようにしておく必要があります。
数学:平均点は前年より大幅にアップ。日常生活と関連の深い題材の出題が目立つ。
数学は、昨年約20点下がった数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・Bの平均点がともに約20点アップし、一昨年のレベルに戻りました。
大問のレベルがやや穏当になったことに加えて、大問の前半で取り組みやすい問題が設定されたことが要因といえます。とはいえ、大問の後半はレベルが高く、また全体の分量も多いので、高得点を狙うには決して易しい問題とはいえません。また、出題内容も共通テストの問題作成方針に従って、数学Ⅰ・A第2問〔2〕のバスケットボールの軌道と放物線、数学Ⅱ・B第4問の複利計算と等比数列など、日常生活と関連の深い題材が出題されています。
日ごろの学習から、問題が解けることだけを目標とするのではなく、平面から空間(2次元から3次元)への拡張、発展的な知識の類推など、習得した数学的知識を「何かに発展できないだろうか」という探求心を日ごろからもって学習しましょう。
国語:複数の文章や資料の情報を結びつけて考える問題演習が必要。
国語では、複数の文章・資料を組み合わせた出題が続いています。
第1問の評論は昨年度に引き続いて〈同一のテーマ・引用文に関する複数の文章〉をもとに出題されたほか、〈授業の会話場面や生徒の学習活動を想定した出題〉もそれぞれの大問で見られました。複数の文章・資料を見比べる手間もあり、時間が足りなくなった人もいたのではないでしょうか。
正確な読解や基礎となる知識事項の習得を大前提としつつ、複数の文章や資料の情報を結びつけて考える問題演習をしておく必要があるでしょう。
理科・地歴公民:理科で2年ぶりの得点調整が実施。地歴公民では新課程を意識した出題が見られた。
理科では、昨年難化した生物がさらに難化し、物理との平均点の差が20点を超えたため、物理、化学、生物を対象として、2年ぶりの得点調整が行われることとなりました。全体の出題傾向は昨年同様、教科書の分野にとらわれず、実験結果などから論理的に考える力や本質的な理解を問う出題が目立ちました。
地理歴史では、2022年度と同様に資料問題が多い上に、扱う資料の数が増加しており、資料読解力を求める傾向が強まりました。 公民では、子どもの貧困、親ガチャ、少年法など、現代社会で問題となっている課題が題材とされました。また、地歴・公民の複数の科目で、新課程の科目や、新課程の共通テスト試作問題(2022年11月公表)を意識した出題が見られました。
今後の共通テストの学習の指針
1.時間内に多くの資料を読み解く読解力・情報処理の力が不可欠
センター試験と比較して、ほとんどの科目で、読み解くべき文章や資料の分量が増加し、時間的に非常に厳しい試験になっています。短時間で、多くの資料から適切に情報を読み取り、解答に必要な情報に正しくアクセスし、他の資料や教科書の学習内容と結びつけて考察する力が問われます。これが全科目で問われることから、共通テストは、負荷の大きい非常にハードな試験になっています。「読解力の養成」「知識を深く理解して応用する」「未知の設定でも知識を正しく活用して論理的に考察する」という姿勢を常に意識した学習の積み上げが求められます。
2.基礎知識の習得も確実に!
「読解力」という側面にばかり気を取られて、基礎知識の習得がおろそかになることも、要注意です。今年度の出題でも、基礎知識の正確な理解がなければ解けないタイプの出題は多くあり、またそうした問題で差がつきやすい傾向もありました。知識の正確な理解と定着は、これからも変わらず重要です。
3.早期から「入試を見据えた学習」を!
科目数も多い共通テスト対策を着実に進めるためには、高1高2の段階から、計画的に学習を進めることが大事です。また、全科目で求められる文章の読解力や、共通テストになって大きく配点の比重が上がった英語のリスニングなどは、短期間での対策が難しいです。「受験生になってから」ではなく、早期から対策に着手しましょう。学校の授業だけでなく、入試を見据えた学習にも少しずつでも取り組んでおくことが、必須です。
これからの共通テスト対策として必要なことは
- 土台となる読解力の養成や、正確な知識の習得に、早い時期から力を注ぎ
- 出題が想定されるタイプの問題には、幅広く取り組んでおき
- 試験本番の分量感をふまえ、時間配分も意識した実戦形式の演習にもしっかりと取り組んで
- 個別試験対策との時間配分のバランスにも注意して、全科目まんべんなく対策を進めること
です。
Z会の通信教育の「[専科]共通テスト攻略演習」は、毎月の演習を通して、上記の対策を段階的に進めていく講座です。6教科17科目セットなので、全科目まんべんなく対策を進めることができ、共通テストでの高得点が狙えます。 Z会を活用して、これからの共通テスト対策を効果的に進めましょう!
◆[専科]共通テスト攻略演習
共通テストの傾向をふまえた教材に取り組みます。毎月の演習で、基礎固めから最終仕上げまで段階的に対策を進められます。
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