化学基礎 – 共通テスト(2023年度)の分析&対策の指針

投稿日時:2023年2月1日

Z会の大学受験生向け講座の化学担当者が、2023年度の共通テストを分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。

 

共通テスト「化学基礎」の出題内容は?

まずは、科目全体の傾向を把握しましょう。分量、問題構成、難度などを解説します。

試験時間と配点

時間 / 配点:30分 / 50点


全体の傾向

●難易度は、2022年度と比較して同程度であった。マーク数は5つ増えて20となり、答えるべき問題の数も1問増えて16であったが、読解の負担や全体の負担感は2022年度と比較して同程度であった。

●2022年度と同様、第1問が幅広い分野からの小問集合、第2問がリード文を読解した上で考察する問題であった。第1問は、2022年度と比較すると解きやすいセットであった。第2問は、「化学基礎」では馴染みのないテーマであり、リード文を正しく理解し、それを活用できるかが問われた

正答を2つ選ぶ問題や、選択肢からではなく実際の数値を答えさせる問題も出題された。


化学基礎の「カギとなる問題」は?

次に、化学基礎で「カギとなる問題」を見てみましょう。共通テスト特有の問題や、合格点をとるうえで重要な問題を取り上げ、攻略ポイントを解説します。

第1問 問4

物質の三態と状態変化に関する問題。与えられた図において、それぞれの記号が物質のどの状態にあるかを判断した上で、各状態についての正しい知識が必要であった。基本的な内容ではあるが、固体における熱運動など、盲点だった受験生もいただろう


第2問 問5

実験で用いた溶液のモル濃度を求める問題。実験内容を理解するだけでもある程度の負担がある上に、いくつかの手順を踏む実験であった。正答を導くには実験内容や操作を正しく理解する必要があり、差がつきやすい問題となっただろう


 「Z会の共通テスト対策講座」についてはこちら  

 

大問別ポイント/設問形式別ポイント

次に、化学基礎の出題内容を詳しく見ていきましょう。各問の難度や求められる知識・考え方を解説します。

大問 1:物質の構成、物質の変化  [やや易]

・2022年度と同様、化学基礎の学習範囲を網羅した小問集合形式の出題であった。ただし、基本的な問題が多く、2022年度より解きやすいセットであった。

・知識問題は平易な問題が多かったため、確実に得点したい。確信をもって判断しづらい選択肢も含まれていたが、正誤の判断がしやすい選択肢が多く、消去法でも解答しやすかった。問4は、他の知識問題と同じく見慣れた題材ではあったが、粒子の配列や熱運動まで意識して学習していた受験生は多くないかもしれない。

・計算問題のうち、問6は平易であった。問9も定番の問題であるが、「水30mL」という計算では使用しない数値が与えられたため、惑わされずに立式できたかがポイントであった。単に公式を暗記するだけではなく、実験の原理や操作の意味をきちんと理解しておくことが重要となる。


大問 2:物質の変化  [やや難]

・『沈殿滴定』をテーマとした問題が出題された。リード文で原理が説明されているため、「化学基礎」の受験生でも解けるようにはなっているが、馴染みのないテーマで負担は大きかっただろう

・問1bはイオンに含まれる原子の酸化数を決める問題。酸化数は容易に求められるが、二クロム酸カリウムは酸化還元反応でよく扱われる試薬であるため、先入観に引きずられると誤った選択肢を選んでしまう。

・問3は実験に関する記述についての正誤を判断する問題。馴染みのない実験である上に、選択肢一つ一つが吟味に思考力を要するものであるため、正誤を判断するのは難しい。さらに、正答を2つ選ぶ必要がある問題であったため、一つ正解を見つけただけでは完答できず、手間がかかる問題であった。

・問5は実験に関する計算問題。bは立式自体は難しくはないが、aと連動しており、さらに煩雑な掛け算をした上で実際の数値を答える問題であったため、正答率は高くないだろう。


攻略へのアドバイス

最後に、次年度以降の共通テストに向けた攻略ポイントを確認しましょう。化学基礎で求められる力をふまえて、必要となる対策を解説します。

基本的な知識を正確に覚えよう

第2問は馴染みのないテーマで負担感も大きかったが、その分第1問は比較的取り組みやすかった。特に知識問題は基本的な問題が多く、とりこぼさずに得点することが高得点をとるカギであった。教科書に載っている知識が中心であるため、まずは教科書の知識を中心に学習していくとよいだろう。


文章読解にも慣れておこう

2022年度と同様、第2問では目新しいテーマの読解問題が出題された。見慣れないテーマの場合、説明文や実験操作を読解するためには想像以上に時間がかかる。ただ、2023年度の第2問も初めて見る実験だった受験生も多いだろうが、決してすべての小問が目新しかったわけではない。リード文の内容を理解した上で、その内容を「化学基礎」で学習した知識につなげることが重要となるので、様々なテーマの問題に対応できるよう、模試や問題集で読解問題の演習を積んでほしい


高3生向け Z会の共通テスト対策講座

◆[専科]共通テスト攻略演習
共通テストの傾向をふまえた教材に取り組みます。毎月の演習で、基礎固めから最終仕上げまで段階的に対策を進められます。

受験に役立つ情報をLINEで配信中!

Z会では、「Z会の通信教育」LINE公式アカウントで共通テストをはじめとする大学受験に役立つ情報を配信中。学習アドバイス記事やお得なキャンペーンのご案内、おすすめ講座情報などを随時お届けしています。ぜひご登録ください。

同じカテゴリの人気記事

数学Ⅰ・A – 共通テスト(2023年度)の分析&対策の指針

Z会の大学受験生向け講座の数学担当者が、2023年度の共通テストを分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。   共通テスト「数学Ⅰ・... (続きを読む)

詳細を読む

英語リーディング – 共通テスト(2023年度)の分析&対策の指針

Z会の大学受験生向け講座の英語担当者が、2023年度の共通テストを分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。   共通テスト「英語リー... (続きを読む)

詳細を読む

国語 – 共通テスト(2023年度)の分析&対策の指針

Z会の大学受験生向け講座の国語担当者が、2023年度の共通テストを分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。   共通テスト「国語」の... (続きを読む)

詳細を読む

Z会の各種サービスのお申し込み・資料請求はこちらから