英語リーディング – 共通テスト(2023年度)の分析&対策の指針

投稿日時:2023年2月1日

Z会の大学受験生向け講座の英語担当者が、2023年度の共通テストを分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。

 

共通テスト「英語リーディング」の出題内容は?

まずは、科目全体の傾向を把握しましょう。分量、問題構成、難度などを解説します。

試験時間と配点

時間 / 配点:80分 / 100点


全体の傾向

全体的な難易度および語数は2022年度並みだが、難度の高い設問がいくつか見られた。22年度と同様に出題形式にいくつか変化は見られたが、短時間で多くの情報を処理する速読速解力が求められた点に変わりはない

イラストや表、グラフを扱う問題も2022年度同様に多数出題された。また、今年度もイギリス英語特有の表現がいくつか用いられていた。


英語リーディングの「カギとなる問題」は?

次に、英語リーディングで「カギとなる問題」を見てみましょう。共通テスト特有の問題や、合格点をとるうえで重要な問題を取り上げ、攻略ポイントを解説します。

第1問A 問1

設問文と同じ表現が問題文に登場しないため、設問文の What are you told to do の部分から問題文にある Instructions の内容を答えることに気付く必要があった。


第2問B 問3

正しい内容2つの組み合わせを選ぶ問題ということで、より慎重に選択する必要があり、やや時間がかかっただろう。


第4問 問4

両者の意見が一致している点に関する問題。正解選択肢では、2つの記事内で contextual learning と呼ばれている学習法が experiential learning と言い換えられており、ダミー選択肢も紛らわしいので迷ったと思われる。


第5問 問5

英文全体からどのような教訓が得られるかが問われているため、英文中の特定の箇所を見つければ解けるものではなく、一連の出来事を俯瞰し、抽象化して捉える必要があった。


第6問B 問4

最終スライドの内容を答える問題で、細かな部分まで正確に読み取れているかに加え、本文中で述べられているか否か、正しい情報かどうかの判断も問われる


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大問別ポイント/設問形式別ポイント

次に、英語リーディングの出題内容を詳しく見ていきましょう。各問の難度や求められる知識・考え方を解説します。

第1問A:観劇する芝居に関する案内(約130語)(配点:4点)[やや易]

・2022年度と同様に資料から必要な情報を読み取る問題だったが、写真はなく箇条書きの説明のみが並ぶ形式で本文や選択肢の語数も増加した。問1では、問われている内容も該当箇所を見つけるのも難しくなかった。問2では、2022年度に続き共通点を問う問題が出題された。


第1問B:英語力強化のための夏期集中キャンプの案内(約250語)(配点:6点)[標準]

・本文が大きく分けて3つのエリアで構成され、問われた内容の情報を各エリア内で探す設問形式は2022年度と同様であった。問1と問2は3つのコース説明の情報から総合的に判断する必要があったが、該当箇所の特定は容易で難易度に大きな変化はなかっただろう。


第2問A:新しい靴の広告と購入者によるレビュー(約270語)(配点:10点)[標準]

・ウェブサイトにおける商品広告が題材。2022年度と異なり、計算問題や正しい内容の組み合わせを問う問題は出題されず、例年出題されている事実と意見を分別する問題については「意見」を選ぶもの1題のみであった。問2では設問文に you が含まれており、冒頭に書かれた状況設定に関する説明文が問題を解くカギとなった。全体としては本文中の見出しを手がかりにすれば該当箇所を探しやすく、比較的取り組みやすかっただろう。


第2問B:通学時間の有効利用を手助けする活動についてのレポート(約260語)(配点:10点)[標準]

・身近で読みやすいテーマであったという点は2022年度と同じだが、英文内容を2つのエリア(「活動の概況」と「参加者の感想」)に明確に二分することができ、必要な情報を検索しやすかったという点では、2022年度よりも取り組みやすかったかもしれない

事実と意見を分別する問題が1年ぶりに復活した他、2022年度には第2問Aで出題された、正しい内容の組み合わせを選ぶ問題が出題された。また、「筆者が挙げた『疑問点』の答えに当たる内容を述べている者は誰か」を選ぶ問題が新たに出題された。


第3問A:キャンプ旅行のアドバイスに関するニュースレター(約200語)(配点:6点)[やや易]

・イラスト付きのニュースレターを素材とした問題だった。選択肢が文字を含むイラストになっている新傾向の問題も見られたが、本文に添えられたイラストの補助もあり、解答の根拠は特定しやすかった。本文の主な情報は2つのエリアから構成されており、それぞれに1つずつ解答の根拠となる情報があったことも考えると取り組みやすい英文だったと言える。


第3問B:子供のために自作したレクリエーションに関するブログ記事(約310語)(配点:9点)[標準]

・テーマとなる記事は、学園祭の出し物の参考にするために読んでいる、という状況設定である。地名などの固有名詞が多く登場した2022年度に比べると読み進めやすく感じられたかもしれない。

・2022年度同様に出来事を時系列に並べ換える問題が出題され、それ以外の設問にも大きな傾向の変化は見られなかった。選択肢を検討する際、本文中の表現の言い換えに気づけるかがポイントだった。


第4問:効果的な学習法についての2つの記事(本文 約560語)(配点:16点)[標準]

・2022年度に引き続き、2つの英文と資料から必要な情報を読み取る形式の問題が出題された。23年度は「効果的な学習法」についての記事で、2つ目の記事が1つ目の記事の内容を踏まえている点が、2つの英文素材がそれぞれ独立していた2022度とは異なった。両者の意見が一致している点に関する問題のほか、両者の主張を関連付ける問題、記事に追加すべき内容を推測する問題(推論発問)も出題された。


第5問:高校生が卓球クラブを通して得たコミュニケーションに関する教訓(本文 約660語)(配点:15点)[標準]

・2022年度のような伝記ではなく、ある高校生がクラブ活動を通して学んだことを書いたエッセイ風の文章であった。語数がやや増加し、文体に変化はあったものの、全体の難易度としては標準的であった。

・英文を読んで要約ノートを埋める形式で、出来事の時系列を問う問題が出題された点は2022年度と同様であったが、ノートの見出しを問う問題は出題されなかった。代わりに英文全体の理解を問う問題として、問5でこのエッセイ全体から得られる教訓が問われた。英文中の特定の箇所を見つければ解けるものではなく、一連の出来事を俯瞰し、抽象化して捉える必要があった。


第6問A:人が物を収集すること(本文 約610語)(配点:12点)[標準]

・2022年度と同様、英文の記事を読んでその内容に関するメモの空欄を埋める問題が出題された。2022年度と同様、2つの空欄に入れるものを6つの選択肢から選ぶ形式の設問が出たが、2022年度と違い23年度は順不同で選ぶ形式だった。設問が本文の流れに沿っているという点では2022年度よりも取り組みやすいが、問3は探すべき箇所が広いので時間を要したであろう。また、いずれの問いでも、選択肢では本文中の表現が言い換えられていることに注意が必要だった。


第6問B:驚異的な生物、クマムシの生態(本文 約700語)(配点:12点)[やや難]

・2022年度と同様、本文を読み、アウトラインをまとめる力を問う問題で、形式はスライド中の空所を埋めるものであった。英文の難易度は2022年度よりやや難化した。クマムシの体内構造がイラストで示され、各部位の名称の組み合わせを選ぶ問題が出題された。当てはまらないものを選ぶ問題や、本文中に述べられていない内容を推論する問題などが新たに出題された。設問数は3→5に増え、解答数も5→6に増えた。


攻略へのアドバイス

最後に、次年度以降の共通テストに向けた攻略ポイントを確認しましょう。英語リーディングで求められる力をふまえて、必要となる対策を解説します。

大量の英文を正確に速く読み、情報を処理する検索力と読解力を身に付ける

すべての問題が長文読解であるだけでなく、全体の読解量が非常に多いため、正確な速読力・速解力だけでなく、読んだ情報を的確に処理する能力が求められる。全体の文脈や内容を把握しつつ、解答に必要な情報を整理しながら読解する力を身に付けることが重要である。


多種多様な文章や資料に慣れる

共通テストでは英文だけでなく、図や表、グラフなどの与えられた資料から答えとなる情報を推測することも重要。そのためには英文に書かれている状況や条件を把握し、資料から必要な情報を参照することが必要となる。自分が何を問われているのかと、資料からどの情報を探さなければならないかを正確に把握することがカギとなる。さまざまな形式の資料に慣れておこう。


実戦的な問題演習に取り組む

早い時期から実戦的な問題に取り組み、本番でどのような文章が出題されても必要な情報に素早くアクセスするコツをつかんでおくことが重要。Z会の「[専科]共通テスト攻略演習」では、さまざまな出題パターンを網羅しているので、ぜひ活用してほしい。


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