日本史B – 共通テストの分析&対策の指針

投稿日時:2023年1月31日

Z会の大学受験生向け講座の日本史担当者が、2023年度の共通テストを分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。

 

共通テスト「日本史B」の出題内容は?

まずは、科目全体の傾向を把握しましょう。分量、問題構成、難度などを解説します。

試験時間と配点

時間 / 配点:60分 / 100点


全体の傾向

大問数は6題、小問数は32問であり、いずれも2022年度共通テストと同数であった。


出題テーマ

●出題構成は、テーマ史、原始・古代、中世、近世各1題、近・現代2題で変動はなく、2022年度共通テスト同様、近・現代からの出題が全体の3割を超えている

●2022年度は出題されなかった原始についての問題が1問見られた。

●昭和戦後史単独の設問は、2022年度共通テストから1問減って2問のみであり、1980年代以降の出題は見られなかった。


おもな注目ポイント

●2022年度共通テストと同様、多数の資・史料などを用いた出題が見られ、それらの読解を要する問題が全体の半数近くを占めた。2022年度共通テストに見られた写真を用いた出題はなかったが、文献史料以外にも、地図や模式図、統計表、新聞の見出し一覧など、多様な資料が提示された。また、リード文や会話文のほか、メモ・説明文などからも情報を読み取ることが必要であった。

●提示された文献史料は2022年度共通テストと同数の12点であったが、そのうち2点が現代語訳(大意)であった。2022年度共通テストと同様に、出題された史料はほとんどの受験生が見慣れないものであった。

●正誤問題は19問であり、21問出題された2022年度からは減少したが、引き続き6割近くを占めている。また、年代整序問題の出題は5問と、2022年度共通テストから1問減少した。一方、第3問では、共通テストとしては初めて8択の問題が出題された。

●資・史料の読み取りや選択肢の慎重な吟味を要する問題が散見され、2022年度に引き続き、時間配分に注意を要する負担感が大きい試験であったが、2022年度と比べると、解答に必要な情報を汲み取りやすい出題が多く、やや取り組みやすくなった


 

日本史Bの「カギとなる問題」は?

次に、日本史で「カギとなる問題」を見てみましょう。共通テスト特有の問題や、合格点をとるうえで重要な問題を取り上げ、攻略ポイントを解説します。

第1問問6

第1問の総括的な設問で、AとB両方の会話文や提示された地図、他の設問をもう1度振り返る必要があった。本問のほか、第2問問5でも、同様に大問の振り返りが求められた。


第3問問5

中世の経済の動きについて、模式図を用いて問われた。選択肢が8つあり、時間がかかった受験生も多いだろう。提示された用語に関する知識の把握はもちろん、模式図の矢印が作用する場所や、矢印が双方向か一方向かなどに着目し、解答を導きたい。


第6問問4

統計表と史料に関する読解問題である。読み取る事項自体の難度は高くないものの、統計表・史料ともに正確に目を通す必要があり、かつ終盤での出題ということで、どれだけ短時間で、解答の根拠となる数値、記述を抜き出せるかがカギとなった。


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大問別ポイント/設問形式別ポイント

次に、日本史の出題内容を詳しく見ていきましょう。各問の難度や求められる知識・考え方を解説します。

第1問:地図から考える日本の歴史  [標準]

地図を用いた会話文形式の出題であった。大問の半数が会話文や地図、未見史料の読み取りを要する問題であったほか、やや細かい知識を求める問題や、会話文や設問などの振り返りが必要な問題が出題された

・問1は、史料の読み取りのほか、史料の年代から、選択肢内の「大化改新」「大宝律令」との前後関係を特定する必要がある。脚注の年代や史料中の年号などにも注意して解答したい。
・問2の選択肢Ⅰ・Ⅱは、ともに元と関連する出来事だが、どちらもやや細かい。Ⅱの三別抄の反乱は、蒙古襲来とのつながりから時期を判断したい。Ⅰの天龍寺船の派遣は室町幕府によって実行されたが、「幕府」という表現のみであったため、鎌倉幕府と迷った受験生もいただろう
・問6は、会話文のほか、それまでの問に出題された史料にも目を通して解答したい。


第2問:古代の陰陽道  [標準]

陰陽道について詳しく述べた2つのリード文が提示された。テーマや記載されている内容はあまり見慣れない受験生が多かっただろうが、標準的な知識で対応できる問題がほとんどであった。

・問3は、古代の「祟りをなしたと言われている人物」についての年代整序問題だが、人名や事件名は明記されていない。「大宰府に左遷」「藤原氏兄弟の策謀」「新都造営の責任者が暗殺された事件」などをヒントに、人物や時期を特定して解答を導きたい。
・問4は、史料読解問題だが、読み取りの難度はあまり高くない。リード文や史料の脚注まで、丁寧に目を通すことができていれば解答できただろう。
・問5は、第1問問6と同様に、大問内の文章や問4の史料1・2の振り返りが求められた。


第3問:中世の京都  [標準]

会話文と地図を用いた出題であった。問3で史料(大意)、問5では模式図を用いた出題が見られたほか、問4ではやや細かい事項について問うた誤文選択問題が出題されるなど、やや取り組みづらい出題であった

・問3では、撰銭令に関する史料が2つ出題された。選択肢a・bは史料から読み取りやすいが、c・dは史料からわかる事実と、撰銭令が出された背景を合わせて考察する必要があり、やや難しかった
・問4では、中世の文化についての誤文選択問題が出題された。選択肢それぞれで、作品や人物とその説明の正誤を判定することが求められ、やや細かい知識が必要だった。
・問5では、中世の経済についての模式図が提示され、模式図内の3種類の矢印が示す語句を選ぶ問題であった。8択の出題であったが、各矢印はそれぞれ2択であり、落ち着いて取り組めば難度は高くない。矢印が作用する場所と選択肢の用語の意味を踏まえて確実に正解したい。


第4問:江戸時代における人々の結びつき  [標準]

会話文形式の出題であった。問3・問4で、続けて史料読解問題が出題されたが、いずれも読み取りの難度はそれほど高くなく、教科書レベルの知識で対応可能であった。

・問3では未見史料の読解が求められたが、併せて提示された史料の「解説」をもとに史料を読み込むことができれば、解答できただろう。
・問4でも未見史料の読解が求められた。a・bは脚注も併せて丁寧に読み込めば絞り込める。c・dは問題文から、史料が「1751年」について述べたものであることを見抜ければ、新井白石による海舶互市新例などの知識からdを排除し、cを選択できただろう。


第5問:幕末から明治期の日本  [標準]

演劇の舞台構成を考える高校生の会話文と、劇の内容や主人公について書かれたメモが出題された。設問数は少ないが、史料読解のほか、メモや会話文の読込みが必要な出題があり、手間がかかる大問であった。

・問3では、未見史料が出題された。Xの読解は平易だが、Yでは国定教科書制度の時期が問われ、明治期の教育史に関するやや細かい知識が必要であった。
・問4では、劇の主人公の「生涯の設定」について、生徒の発言の正誤が問われた。主人公や劇の設定と生徒の発言から年代を特定する必要もあるため、やや時間がかかるが、教科書レベルの知識で対応可能であった。


第6問:近・現代の「旅」  [やや難]

近・現代の「旅」に関する資料A・Bが提示された。資・史料の読解を求める問題のほか、海外の情勢についての知識や理解を問う問題もあり、やや難度は高かった。世界との関わりという視点が意識された大問であった。

・問2は、史料について述べられた2つの文章の正誤が問われた。Xの上海の開港は、世界史よりの知識でやや難しい。Yは資料Aの「1896年」から、日清戦争の後であることがわかれば解答できただろう。
・問4は、統計表と史料の2点が出題され、両方の読解が求められた。処理する情報が多く、苦戦した受験生も多かっただろう。選択肢を先に読んでから該当する情報を探すなど、解き方も工夫したい
・問7は、昭和戦後期の世界情勢について出題された。Xの「東アジアでの〜共同防衛組織」は架空の組織であり、戸惑った受験生も多かっただろう。Yのアジア=アフリカ会議が開催されたのは「バンドン」である。


攻略へのアドバイス

最後に、次年度以降の共通テストに向けた攻略ポイントを確認しましょう。日本史で求められる力をふまえて、必要となる対策を解説します。

基本的な知識を確実に押さえる

共通テストでは、資・史料読解力や思考力をはかる問題も出題されるが、多くの問題で、知識の確認や活用が求められるまずは、教科書レベルの知識を押さえていることが重要である。教科書や用語集などを活用して基本的な知識をしっかり固めよう。また、今回の共通テストのように、世界の国々との接触や交流という視点を意識した問題が出題される。教科書でも、諸外国の出来事や日本への影響について触れられているので、見逃さないようにしたい。


資料(史料)読解力を磨く

共通テストでは、教科書などに掲載されていないような文献史料や絵図、グラフなど初見の資料を、その場で読み取り、設問に即して解答することが求められる。資・史料問題対策の第一歩は資料(史料)に慣れることである。日頃から史料集や図説を活用し、「資料(史料)を読むこと」に慣れておこう。


問題演習を積む

共通テストでは、知識の活用などを求める問題が出題される。このような形式の問題は、一問一答的な学習では対応しきれない。様々な形式の問題に取り組み、実戦力を養おう。


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