「現代社会」2018年度センター試験分析

投稿日時:2019年9月9日

2018年度センター試験分析速報「現代社会」

■分量と難度の変化(地歴公民…時間/配点: 1科目60分/1科目100点) ・大問6題、小問数(マーク数)36は2017年度と同様。分量は2017年度並みである。 ・全体の難易度は標準レベルだが、思考力や判断力を問う問題や選択肢が8つの組合せ問題が増えたことから、2017年度と比較するとやや難化した。 ■今年度入試の特記事項 ・世界遺産に関する出題では、選択肢に写真が使用された。 ・表を読み取る問題では、細かい計算を要したため、時間がかかってしまった受験生もいたと思われる。 ・定番の「課題追究学習(調べ学習)」に関する出題が、昨年同様1問見られた。 ・リード文の趣旨を読み取る問題が1問見られた。合致するものをすべて選ぶ形式のため、難易度は高くなった。 ■差がつくポイント ・用語の知識など、基本事項についての選択肢の正誤は確実に判別できるようにしておきたい。一部に細かい知識が含まれていても、正確な知識をもとに、消去法などで正解を導き出すことができたかどうかで差がついただろう。 ・選挙権年齢の引下げやパリ協定を主題にしたリード文や、イギリスがEUからの離脱を表明したことに伴う日本の株式相場の急落など時事要素を取り上げた出題が見られ、時事対策もきちんと行っておく必要があった。 ・出題の多くは「政治」「経済」分野から知識を問うものであったが、教科書範囲を超えた出題も見られた。このような内容は、過去のセンター現代社会で繰り返し出題されており、高得点をねらうためには、過去問演習を行い、きちんと復習しておくことが必要であった。 ■大問別ポイント   第1問   ・大学教員と大学生の会話文をリード文として、企業と地域社会の関係を中心に、社会貢献・産業構造・雇用といった経済分野から幅広く出題された。リード文には六次産業化という時事的な要素も盛り込まれていた。 ・問2では社会参加や企業の社会貢献、問7では地域の取組みについて問われた。教科書の記述と日常生活を結びつけて考える問題である。 ・問8は知識がなくても解ける、グラフを読み取る問題であったが、提示された条件とグラフを丁寧に突き合わせて判断する必要があり、解答にやや時間がかかった受験生もいたのではないか。   第2問   ・選挙権年齢の引下げ、主権者教育といった、受験生世代にとって身近なテーマを題材に、日本と世界の政治制度を中心に出題された。青年期に関する問題も出題された。 ・問3問5では憲法の規定に関する出題が見られた。日本国憲法の条文を押さえていれば、確実に得点できる問題である。   第3問   ・データの活用をテーマに、青年期、公害、世界遺産、行政などが幅広く取り上げられた。 ・問2は契約が有効に成立する条件と、事例の整合性を問う問題であった。思考力が求められる。 ・問4では2017年度に引き続き、世界遺産に関する出題が見られた。3つの遺産のうち、自然遺産に登録区分されているものを選ぶ問題で、選択肢に写真が使用された。近年の日本の世界遺産についての知識があれば、解答可能であった。 ・問8ではリード文の趣旨を読み取る問題が出題された。合致する記述をすべて選ぶという形式から、2017年度に比べて、より正確にリード文を読み込む必要があった。   第4問   ・ロボットに代表される人工知能をテーマに、コミュニケーション、高齢者の社会保障、調べ学習などが取り上げられた。倫理分野からも出題があり、分野融合的な出題であった。 ・問2は高齢者についての日本の社会保障制度に関する問題であった。いずれも基本事項であるが、「該当するものはない」という選択肢もあり、形式上、難しく感じる出題であった。 ・問3は現代社会では定番の調べ学習についての出題であった。 ・問4は倫理分野からの出題であった。古代~現代まで幅広く問われているので、倫理分野についても丁寧な学習が求められる。   第5問   ・新自由主義をテーマに、経済思想、比較生産費説、経済危機といった経済分野から出題された。 ・問1は経済思想、問3は比較生産費説に関する出題であった。経済理論や学説の正確な理解が求められる。 ・問4は経済史に関する出題であった。細かな知識が要求されるとともに、イギリスのEU離脱が世界経済に与える影響など、時事的な関心も問われている。   第6問   ・パリ協定をテーマに、南北問題、外交交渉、地球環境問題など、国際分野を中心に出題された。 ・問3は温室効果ガスの排出量についての表の読み取り問題であった。終盤での細かい計算問題に焦りを覚えた受験生もいただろう。計算にやや時間がかかるが知識は必要ない。落ち着いて取り組むことが大切である。  

高1高2生へのアドバイス

・「常識」だけでは対応は難しい。教科書全範囲の正確な理解と確実な知識が必要。その上で、時事テーマにも関心を持とう。 現代社会は「常識で解ける」と語られることがあるが、常識や思考力で対応できるのは、資料読み取り問題や、調べ学習に関する問題などの数問程度に限られている。大部分の問題は正確な知識がなければ得点することは難しい。教科書を中心とした学習を行い、高3生の夏休みの終わりまでに教科書全範囲の重要語句の内容を押さえること、経済分野の理論や仕組みを正確に理解することを目標に学習を進めてほしい。ただ、現代社会は教科書範囲を超えた詳細な事柄が問われることがある。高得点を狙うためには、秋以降に過去問や類似の問題の演習を積み、復習をしながら不足している知識を補っていくことが大切である。また、時事対策も欠かせないため、新聞やニュースで話題になっている時事テーマに関心を持つようにしたい。 Z会の通信教育の専科「センター攻略演習セット」の現代社会では、夏までに全範囲を網羅し、秋以降はより実戦に近い形でセンター試験型の出題をしているので、各単元の内容が定着しているかを確かめる学習のペースメーカーとして、取り組んでいくとよいだろう。また、Z会の映像「センター講座:現代社会」では、現代社会の重要テーマについて、「センター試験でどのように出題されるか」を意識した詳しい講義と、厳選した問題演習に取り組み、効率よく実戦力を身につけることができる。

  難関大合格には、センター試験での高得点獲得が必須です。「センター試験の問題は教科書レベルだから何とかなる」「対策は直前でも間に合う」というのは、大きな誤解。センター試験は科目数が多いため、個別試験の勉強と併行して早めの対策が必要です。本講座では、センター試験本番で9割得点することを目標に、必要な力を段階的に身につけていきます。 6教科17科目セットなので、必要な科目すべての対策はもちろん、苦手科目や分野に絞った対策も可能。節目ごとに実力を診断しながら、効率よく得点力アップがはかれます。

▼「センター攻略演習セット」現代社会担当者からのメッセージ ・2018年度の問題は、2017年度の出題形式と大きく変わることがなかったため、現代社会の学習を丁寧に行っていれば得点の取れる問題であったように感じます。しかし、パリ協定やイギリスのEU離脱の影響を問う出題も見られたため、時事対策も欠かさず行うことが大切です。 ・「文化相対主義」「道具的理性」など学習が手薄になりがちな分野の用語も問われました。過去問演習を行った際は、丁寧に復習し、知識を補っていくことが大切です。特に誤りの選択肢は、どこが誤っているのかを必ず確かめ、1つ1つ着実に知識を身につけるようにしましょう。

 

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