「化学基礎」2018年度センター試験分析

投稿日時:2019年9月9日

2018年度センター試験分析速報

  ■分量と難度の変化(理科(1)…時間/配点:2科目60分/2科目100点) ・全体の難易度は昨年度より易化し、平易な小問が多く見られた。分量に対しての時間は比較的余裕があると考えられる。 ■今年度入試の特記事項 ・瞬時に答が判別できるような平易な小問が多い。計算問題も、難度の高いものはほとんどなかった。ただ、第2問の問2のように、化学基礎の日頃の学習ではあまり解く機会のなさそうな難度の高い問題も出題された。 ・化学基礎は昨年度まで、理科基礎4科目の中では2年連続最低であったためか、今年度は易しくなった。 ・マーク数は全体で16である点は昨年度から変わらないが、第1問がマーク数9、第2問がマーク数7へと変わった(昨年度は、第1問と第2問ともマーク数8)。 ・例年に比べ、論述の選択問題では選びやすい選択肢が多い。 ・身のまわりの化学、人間生活と化学を意識した出題が、例年以上に目立った。 ・表やグラフを読み取る出題は減った。 ■差がつくポイント ・まずは平易な問題の取りこぼしは避けることが大切。 ・あまり問題集等で取り上げられない聞き方をする問もあり、表面的な学習だけでは高得点は狙えない。やや難度が高いそれらの問をきちんと解けたかで差がついただろう。 ■大問別ポイント  第1問 問1、問2はいずれも基本的な問題である。問1のbで、ケイ素が共有結合の結晶であるとは知らない受験生もいたと思われるが、ダイヤモンドからだけでも判断して正解しておきたい。 ・問3は、「電子の総数」という問われ方に慣れていないと難しく感じられるだろう。価電子で考えてしまわないように注意したい。また、選択肢にイオンもあるため、とまどった受験生もいたと考えられる。 ・問4は、モル質量が数値ではなく文字で与えられているが、内容自体は基本的な問題である。5gの物質X2Z3の物質量を求めた後、最後に「2MX」をかけるところを「MX」をかける誤りをしないよう注意したい。 ・問5の実験問題は、実質アとイで別の実験と考えてよい。炭酸カルシウムに塩酸を加える反応は見慣れない受験生もいたかもしれないが、「気体の発生を伴って」というところから類推したい。 ・問6の水の状態変化に関する問題は、身のまわりの化学に日頃から関心をもっていたり、中学から理科に親しんでいたりした受験生には、解きやすく感じられただろう。正答は選びやすい。 ・問7は、昨年度同様に、身のまわりの物質に関する小問であった。ただ、例年以上に正誤判断しやすい選択肢が多く、とくに正答の選択肢は瞬時に選べるはずだ。なお、選択肢の数が昨年度から1つ減った。  第2問  ・問1は、物質量の考え方や、電子式の書き方などが理解できているかが問われた。「原子核の数」というのは見慣れない問われ方でとまどうかもしれないが、物質量の基本と、基本用語の定義を押さえられていれば、自信をもって解答できるだろう。 ・問2は、0℃、1.013×105Pa(標準状態)における気体1molの体積22.4Lを用いたうえで、混合気体を扱えるかが問われ、難度は高かった。答が割り切れるわけでもないため、とまどった受験生は多いと考えられる。 ・問3は、実質、密度の大きさからすぐに判断できる問題であった。選択肢1から順にモル濃度を求めていったとしても、途中で気づけるとよい。 ・問4は、身近な物質のpHとして出題されているが、血液のpHなどは、若干迷ったかもしれない。それでも、正答の選択肢は比較的容易に選べるだろう。 ・問5は、中和点が酸性側に寄ることがわかれば判断でき、例年の中和滴定の問題に比べると易しいといえる。十分に理解できていないと、選択肢1を選んでしまう可能性もある。 ・問6は、オが悩みやすいところ。 ・問7は、身のまわりの電池に関する問題で、各選択肢とも、やや細かい知識が書かれていた。ただ、正答のリチウムイオン電池は、日頃使用している電子機器に使用されていることから、充電可能であることは判断しやすい。そのため、問題自体はそれほど難しくはなかったといえる。  

高1高2生へのアドバイス

文系受験者が大部分だからといえど、難度の高い出題もあるため、十分に対策をとっておきたい。 まずは教科書や『解決!センター 化学基礎』(Z会)を用いて、忘れている箇所やあやふやな箇所をつぶしておきたい。その上でZ会の通信教育の専科「センター攻略演習セット」を用いて問題演習を重ね、本番でどの分野から出題されても対応できるようにしておこう。さらに、レベルが高めの『センター試験実戦模試 化学基礎』(Z会)を使うとよいだろう。

  難関大合格には、センター試験での高得点獲得が必須です。「センター試験の問題は教科書レベルだから何とかなる」「対策は直前でも間に合う」というのは、大きな誤解。センター試験は科目数が多いため、個別試験の勉強と併行して早めの対策が必要です。本講座では、センター試験本番で9割得点することを目標に、必要な力を段階的に身につけていきます。 6教科17科目セットなので、必要な科目すべての対策はもちろん、苦手科目や分野に絞った対策も可能。節目ごとに実力を診断しながら、効率よく得点力アップがはかれます。

▼「センター攻略演習セット」化学基礎担当者からのメッセージ   化学基礎の平均点は、26.77点(2016年)→28.59点(2017年)と推移していて、今年度も易しい問が多く、少しずつ易しくなってきているといえます。基本的な問題を確実にとる力と、難度の高い差のつく問題に喰らいついていく力が求められます。本格的な受験対策が始まる前に、まずは教科書レベルの内容はすぐ思い出せるようにしておきましょう。

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