基盤学力アセスメントシリーズ LIPHARE 英語CAN-DOテスト基盤学力アセスメントシリーズ LIPHARE 英語CAN-DOテスト

監修者からのことば

英語汎用枠CEFR-Jを活用する意義とは

東京外国語大学大学院教授、ワールド・ランゲージ・センター長 投野 由紀夫教授

写真:東京外国語大学大学院 投野 由紀夫教授

CEFR-JはCEFRを基準に日本の英語教育に特化して構築された汎用枠です。10年以上にわたる大規模な科研費プロジェクトの成果として2012年3月に一般公開されました。CEFR-JはAレベルを5段階に細分化し、かつPre-A1レベルを設けて初級学習者の指導と評価を確実にすることに注力しています。本家CEFRのAレベルのディスクリプタへもデータを提供するなど国際的な連携もしています。

CEFRの世界的な影響力を受けて、2020年度から順次、小学校から実施されている学習指導要領では、文部科学省による改革が進められています。大学入試の4技能テスト導入は見送られましたが、小学校への英語の教科導入から始まり、CAN-DOによる指標形式の目標が小中高を貫いています。これらの総合的な改革がうまく調和して機能すれば、日本の英語教育は大きく変わる可能性があります。

大事なことは、CAN-DOの示している「できること」を先生が工夫して教室内の言語活動として実現することと、4技能を実際に使って子供たち、生徒たちがどのくらいできるようになっているかを的確に読み取ってあげることです。このために今後、評価は英語4技能をコミュニカティブに測る方向に大幅に舵を切る必要があります。その意味で、今回の「英語CAN-DOテスト」はCEFR-Jで診断する4技能テストとして画期的なものです。CBTにより短時間で安価に受験でき、CEFR-Jの細分化されたレベルできめ細かい診断評価に使用でき、フィードバックで生徒たちの「できる度」を把握することができます。小中高の接続を統一基準で診断し、弱点補強を着実にすれば英語力は伸びていく。「英語CAN-DOテスト」がそれを確実に保証してくれると期待します。