去年の4月に進級して、がんばってきた1年間もあと少し。
進学する場合はもちろん、進級する子どもたちも「春休みは宿題がない(または少ない)から、思いっきり遊びたい!」とワクワクし、親御さんたちも「春休みくらいは、のんびりさせてあげたい」と考えていることでしょう。
でも「完全に勉強から離れてしまうのは、ちょっと待ってください!」と言うのは、YouTubeで教育系コンテンツを配信している人気教育者・葉一さんです。
「お休みしたい、させたい気持ちは本当によくわかります。しかし春休みに完全に勉強から離れてしまうと、新学期が始まってからもっと辛くなってしまいます。だから春休み中も“1日10分ちょこっと勉”に取り組み、子どもたちに新学期を楽しく迎えてほしいです」(葉一)。
そこで、葉一さんが春休みの“ちょこっと勉”を勧める理由と、学年別・春休みの過ごし方のアイドバイスを紹介。
さらに短時間で効率良く復習できる「Z会の小学生向け書籍」や、小学校入学準備にピッタリな「Z会の幼児向け書籍」を紹介します。
「とある男が授業をしてみた」葉一氏
プロフィール

登録者数220万人(2026年1月現在)の教育系YouTuber。1985年、福岡県生まれ。東京学芸大学卒業後、教材販売の営業、学習塾講師を経験。2012年からYouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」を開設。小学3年生から高校生に向けた授業動画を配信し大人気に。公式サイト「19ch.tv(塾チャンネル)」ではプリントを無料配布。2児のパパ。
小学校入学までに覚えておきたい「ひらがな」
――小学校入学で親が仕事と子育ての両立が難しくなる「小1の壁」がありますが、子どもたちにも「小1の壁」があると感じています。生活リズムの変化や教室での過ごし方といった生活面の問題のほかに、勉強についての悩みもありますが、葉一さんが考える「入学前の学習準備」はありますか?
葉一さん:
私が、小学校入学前の子どもたちに持っていて欲しいものは、「新しいことを知ると、よいことが起きるんだ!」という知る楽しみです。幼児期に知的好奇心を養えるかどうかが、すごく大事だなと思っているんですね。
うちの息子ふたりは、足し算、引き算が普通にできてかけ算も少しできるくらいで入学しましたが、ワークやドリルをほとんどやらせていませんでした。やっていたことといえば、いっしょにお風呂に入ったときに「何両の列車と、何両の列車が連結しました。全部で何両になった?」というように、子どもが好きな電車をクイズにして、楽しみながら数の概念について教えていたことです。
答えが当たったときにほめてもらえたり、「すごいじゃん!」と言ってもらえたりすると、まだパパやママが大好きな時期ですから、すごくうれしくなる。そんなふうに、「なにかできるようになると、いいことが起きる!」という経験の積み重ねがすごく大事だと思っていて。その経験がある子は、小学校に入学したときに、毎日新しいことを教えてくれる授業に、前のめりの姿勢で臨めているなと感じています。
――両親や周囲の大人との生活で、自然と物の名前や数の数え方を覚えたときに、大人がほめるというポジティブな働きかけが、学習面にも良い影響をおよぼすということですね。恐竜が好きな子が、親も知らないうちにカタカナが読めるようになっていたという話を耳にしますが、まさにそういうことでしょうか。
葉一さん:
そうですね。子どもが小さいころは、好きなことはなんでも楽しいと思ってやってくれます。その時期に、「新しいことを知るのが楽しい」と子どもに感じさせてあげられるのは、やっぱり一番身近で大好きなパパとママ。ですから無理強いせずに、いっしょに遊ぶ中で、ひらがなや数字などを教えてあげられるとよいかなと思います。
――いっしょにドリルやワークで遊ぶというのでもよいのでしょうか?
葉一さん:
もちろんです!ひらがなは50音読めたほうがよいですし、自分の名前や好きなキャラクターの名前など、ある程度書ける文字ができるとよいですね。まったく知らない状態よりも、知っているものがあると「自分も知っているぞ!」という自信になります。その自信が、さらに新しいことを覚える助けになっていきますから。
――ただ紙に文字を書くのは、子どもにやってもらうと難しかった経験があります。そういうときは、お手本や絵がたくさんある「Z会の幼児ワーク」シリーズが便利ですね。
葉一さん:
そうなんです。「Z会の幼児ワーク」シリーズの中面を見ると、絵がいっぱいでカラフルで、楽しそうなんです。パパやママといっしょに遊んでいたら、実はそれが勉強になっていたというのが理想なので、できれば全ページやれるとよいと思います。
私が「はじめてのひらがな 3・4さい」でおもしろいなと思ったのが、「かいて けせる へのへのもへじボード」です。子どもにとって、顔を書くのはお絵かきといっしょだと思うんです。でもやっていることはひらがなを書くことなので、すごく楽しい仕掛けだなと感じました。

――「へめへめもじひ」や「へみへみもとじ」なんて、初めて見ました! 親もちょっと楽しくなりますね。
葉一さん:
いっしょに楽しく遊ぶでよいんです。遊んでいる中の1割くらいが勉強になったね、で十分だと思います。
幼児期は、自分がやりたいこと、やって楽しいことしかやりたくないという、欲求に忠実な時期。それを我慢して別のことをやるというのが難しい時期なので、まずは「遊び」だと思ってもらうのが、やる気にさせる第一歩です。親に言われたから仕方なくやると、知識の吸収率が下がってしまうので、好きなことを「遊び」にしてしまうのがコツです。

――ドリルやワーク選びのコツはありますか?
葉一さん:
絵のテイストの好き、嫌いは、小さい子にもちゃんとあります。だから子どもが自分の目で見て、「これがよい!」と決めるのが一番です。やる、やらないのターニングポイントはそこだと思います。
――見極めが早いですね!
葉一さん:
中学生や高校生にも言っていることですが、自分の相棒になるんだから、絶対に自分の目で見て「これならできる」というものを「自分で選ぶ」のが大事なんです。
小学校までに覚えておきたい「かず」と「けいさん」
――入学前の学習で数についてよく目にするのは、「10」までの数字が数えられることです。葉一さんは、いかがですか?
葉一さん:
私の願望は「100」までです。お風呂で「お湯につかって100まで数える」もよいですが、「お金」を使うと子どもたちもよく理解できるようになります。
買い物に行くと、物の値段はだいたい3ケタの世界です。子どもたちがよく見るおかしのコーナーには1000円を超えるものは少ないので、3ケタの数字は見慣れているでしょう。
お金を使うと、10円玉を10枚集めると100円になることを教えてあげられますよね。それがわかっていると、改めて学校で「円」がない数字の計算を習ったときに「そうだったのか!」と腑に落ちるんです。
あと私が息子とやっていたのは、買い物に行ったときに「おかしを90円分買ってもよいよ。好きな物を選んでね」と自分でお買い物をさせることでした。「好きな物を選べる」というのが子どもにとってプラスの場面なので、楽しんでやってくれましたね。子ども自身も、損をしたくないから真剣に考えるんです。そうやって生活の中で、1、10、100のイメージできるとすごく良いと思います。
――足し算や引き算のレベルはどうですか?
葉一さん:
できれば、1ケタ+1ケタの繰り上がりが即答できるのが理想です。
「10」のかたまりを作るというのが算数で必ず学ぶことですが、それが1つのハードル。幼児には、その子が好きなキャラクターやおもちゃ、おかしなど、実際に手に取って数えられるもので教えてあげてください。まずは1つ+1つなど片手で数えられる小さな数字を使った、子どもが絶対に正解できるクイズを出してあげましょう。
ここでやってはいけないのが、いくつか正解したからとハードルを上げてしまうことです。けっこうやってしまう方が多いですが、それは大人の考え。子どもの考えは「全問正解したい!」なんです。いつも全問正解する体験を繰り返していくと、「絶対正解できるから、絶対ほめられるんだ」と子どももわかります。
そしてクイズの数もけっこう重要です。サクッと正解して、サクッと褒められて、サクッと次のことができるくらいでやめておきましょう。私がやっている方法は、「いまから3つクイズを出すね」と最初に子どもに伝えることです。そこで子どもが「2つがよい」と言ったら、「じゃあ2つにするね」ときちんと約束を守ります。
NG行動は、とりあえずクイズを出して正解したら「じゃあもう1こ」と後出しすること。子どもは1つで終わると思っていたのに、次があることがもうイヤになってしまうので、先に決めてしまったほうが、子どもも前向きな気持ちで取り組めるでしょう。
――ドリルを決めるところもそうですが、ちゃんと子どもの意見を聞いて、子どもに決めてもらうという姿勢が大事なんですね。
葉一さん:
小さいころから、子どもが親に対して自分の言いたいことを言える環境を作ってあげてください。子どものタイプにもよりますが、何でも言える子と、自分から言い出せない子がいます。幼児期にはもう、親の顔色をうかがって、親が望む答えを口にする子どもも出てきます。
普段から子どもとコミュニケーションを取り、子どもが言いたいことをいっぱい言わせて、それに耳を傾けることは、親子の強い信頼関係を築いてくれます。それがゆくゆくは、反抗期を迎えたときに利いてくるんですよ。
――次の段階が「繰り上がり」の計算です。
葉一さん:
繰り上がりの計算は学校で「さくらんぼ計算」を習いますが、10になる数の組み合わせが頭の中にパッと浮かぶようになると、繰り上げの計算も余裕で解けるようになります。そうなれば、2ケタになっても3ケタになっても大丈夫。1ケタ+1ケタの繰り上がりは、必ずすべての子ができるようになるものなので、先取りしておくと後が楽になると思います。

<まとめ>
・春休みは“1日10分ちょこっと勉”を続ける!
・前の学年の学習内容で、まったく解き方がわからない問題があったら、勉強し直しておく
・入学前の学習準備は次の5つが理想(全部できなくても大丈夫!)
【1】ひらがなを読めるようになる
【2】ひらがなを書く(自分の名前や好きなキャ楽ターの名前が書けたらOK)
【3】数字がよめる
【4】100までの数を数えられる(お金を使うと「数」のかたまりがわかりやすい!)
【5】1ケタ+1ケタの計算ができる
葉一さんインタビュー動画
