『英単語クリティカル+』監修者メッセージ

 

監修者 田上 芳彦 先生より

電車の中で,単語集を開いて必死に覚えようとしている受験生の姿を見かけるのは今に始まったことではありません。一方,単語集を作成する側は,少しでも覚えやすいようにと工夫を凝らし「単語の語源」「単語のイメージを示すイラストや記憶法」「語法問題でどう問われるのかの文法情報」といった様々な情報を付加して単語集を進化させてきました。
そのような単語集と比べると,本書「英単語クリティカル+(プラス)」は,見た目は単語と語義,例文が並んでいる,ある意味シンプルな作りになっています。しかし,見かけとは逆に,編集の際,以下のような点にこだわってコンテンツを充実させています。

 

1.共通テスト対策に重点

 本書は,共通テストが実際に行われた後に編集されましたので,共通テストの最新データも十分反映させています。そして共通テストで高得点が取れるよう,難関私大でしか問われないような難語は排除し,その分,共通テストに定番の,グラフやパンフから情報を読み取るための語彙や,旅行記や伝記などを読むための日常生活語彙を強化しました。

2.用例を長短2つ用意

 単語は例文で覚えなさいとよく言われますが,短いフレーズ単位よりも文の形式を好むユーザもいれば,例文が長いことを負担に感じるユーザもいるでしょう。そこで,本書はこの両方を用意しました。英語が苦手な生徒はまずは短いフレーズを参考にしながら進めばよいでしょうし,英語がある程度得意な生徒は文形式の例文を覚えながら学習するのもいいでしょう。また高校で先生方が単語の小テストなどを作る場合は,対象となる生徒のレベルに合わせ,フレーズ単位,文単位どちらでも好きな方を選択して使用できます。なお例文も無味乾燥なものは極力避け生徒がリーディングやライティングで活用できる用例を積極的に採用しました。

3.高校生と指導者の両方の立場から編集

 単語集として「なるべく多くの単語,意味が載っている」に越したことはありません。しかしあまりにも情報が多いとユーザの負担が増えてしまい「結局最後までたどり着かなかった」というのはよく耳にする話です。そこで今回監修をするにあたり,長年受験指導をしてきた立場から「どんな大学を目指すのでもこの単語は必須」「この意味は最低限知っておくべき」という教師側の視点と,「自分が受験生のときこんな意味は知らなかったな」「この単語は知らなくても合否には影響なさそう」といった「余計なものを削ぎ落とす」視点,この2つの視点から,提供されたデータを吟味し,必要な語彙,語義をふるいにかけました。その結果,掲載単語数は1700語程度とやや控えめですが,本書の「覚えた分だけ確実に得点に結びつく」というコンセプトには十分見合ったものができたと自負しています。