共通テストでは,大きく分けて,日常の場面がテーマになる問題と,数学の内容がテーマになる問題の2種類があります。
さらに,問題は「問題を数学的に捉える」→「構想・見通しを立てる」→「焦点化した問題を解決する」→「解決過程を振り返る」といった流れを意識して作成されています。これらを意識して解けるかどうかが,共通テストを解くうえでのポイントと言えます。
では,具体的に過去の出題をふまえて紹介します。
●「求めるもの」から必要な情報を探す

2023年度本試験の数学I・A第2問〔2〕では,シュートを打つ高さとボールの軌道の関係を,2次関数を用いて調べるために,右のような仮定が提示されました。日常の場面がテーマになる問題では,与えられた条件を限られた時間で正しく読み取る必要があります。
仮定の複雑さや多さで混乱しそうなときは,まず「求めるものは何か」を確認し,次に「求めるには何がわかればよいか」と考えるのもよいでしょう。
例えば,本問の⑴はx2の係数をaとするときの放物線C1の方程式を求めるものでしたが,これを先に把握しておけば
「C1の通る点が2つわかれば,式が求められる。通る点の情報を探そう。」
「C1の頂点がわかるなら1点だけで十分。頂点の座標がわかるような情報はないか。」
のように,探すものを絞って仮定を読み進めることもできます。

また,2022年度追試験の数学I・A第1問〔2〕でも,はしご車のはしごが届く条件を考察する問題が出題され,「はしごの長さ」や「フェンスの高さ」についての情報を正しく読み取る必要がありました。
本来,数学を用いて日常の問題を解決する際には,自分で仮定を立てる必要がありますが,共通テストでは,仮定されている場合がほとんどです。「わかっていること」と「求めるもの」の2つの視点から状況を整理してみるのもよいでしょう。
●会話をヒントに
試作問題の数学I・Aでは,太郎さんと花子さんの会話などで期待値の計算についての方針が示され,求めた期待値をもとに当たりくじをより多く引くための戦略を考察する問題が提示されました。最近の共通テストにおける会話は,「その問題を説明するため」,「解き方を指定するため」となっていることが多いです。後者の解き方については,内容の理解が時間短縮に繋がりますので,会話が何を意味しているのかを意識するとよいでしょう。

●二つの方針の違いを見抜く
2023年度本試験の数学II・B第4問は,預金の推移を題材とした数列の問題であり,n年目の初めの預金をan万円とおいたときのanを求めるための二つの方針が⑴で与えられています。そして,⑵以降の問題では,二つの方針のどちらの考え方を参照するのがよいかが問われています。
このような問題では,2つの方針の違いについて理解することが大切です。本問における2つの方針は

であり,それぞれ着目する部分が異なることに注意が必要です。方針1では,年ごとの預金の総額に着目し,方針2では,預金をもともとあった10万円と毎年入金するp万円という入金時期が異なる要素ごとに着目している点がポイントです。
10年目の終わりの預金の総額について考える⑵では,方針1や方針2で求められるanの一般項からa10について着目すればよいので,方針1・方針2のどちらの利用も考えられます。一方,1年目の入金を始める前の預金が10万円から13万円に変わった場合について考える⑶では,方針1よりも方針2の利用が望ましいことになります。
本問のような複数の方針を使い分ける必要がある問題への対策としては,解答解説を確認して終わりにするのではなく,それぞれの方針で解くことが可能かどうか実際に手を動かして確かめてみることが大切です。⑵は方針1と方針2のどちらの利用も考えられるが,anの式がほぼ見えている方針2を参照する方がわかりやすいこと,⑶も方針1の利用は難しく,方針2を利用した方が処理しやすいことを確かめることで,このような方針選択に少しずつ慣れていくことができるでしょう。
●「変わるもの」と「変わらないもの」に注目する
2023年度本試験数学IAの第5問では,⑴で円と直線が交わる場合について考察した後,⑵で円と直線が交わらない場合について考察する問題が出題されました。⑴と⑵の手順が似ていることから,⑴の考察を⑵に応用することができます。
このようなときには,前後の問題文や考え方で「変わるもの」と「変わらないもの」の2つに分けて考えてみてもよいでしょう。点の位置や名前が変わっている一方で,⑴と⑵の図をかいて見比べて
「角度の関係は変わっていないものが多いから,⑴と同じように5点を通る円がかけるのでは?」
と予想が立てられると,見通しが立てやすくなります。

ほかにも,2023年度追試験数学II・Bの第2問〔1〕では,⑴でふたのない箱を作る場合を考察したあと,⑵でふたのある箱を作る場合を考察する問題が出されています。この問題でも,⑴と⑵の手順が似ていることから,⑴の考察を⑵に応用することができます。

⑴と⑵を見比べたときに,箱の高さx cmと底面の長方形の縦の長さ(9-2x)cmは変わらず,底面の長方形の横の長さのみ変わることを読み取る必要があります。そして,⑴の箱の容積Vと⑵の箱の容積Wについて
V=(9-2x)(24-2x)x,W=(9-2x)(12-x)x
と立式できることから,次の関係があることに気づけるかがポイントです。
![]()
また,⑶では長方形の厚紙の大きさが変わった場合の箱の容積について考えますが,「変わるもの」に注目して,文字を設定すると考えやすくなることがあります。厚紙の縦の長さをa,横の長さをbとおくことで
![]()
と立式でき,W=Vの関係が同様に成り立つことが発見できます。
このように,「変わるもの」や「変わらないもの」に注目することで,問題の見通しが立てやすくなることがあります。共通テストでは,問題の中で「正の数から負の数へ」「整数から有理数へ」「鋭角から鈍角へ」のように,条件が変わってもそのまま成り立つ性質を利用することもあります。特定の条件のもとで考えた後には,「どのような条件までなら成り立つ性質か」を考えられるようにしましょう。