著者 西村圭一先生より ~『「統計的な推測」ニューアプローチ -速習ワークブック-』がめざすこと~

はじめに より抜粋

このワークブックは、数学Bの「統計的な推測」の学習内容を、統計的素養を身につけるという点を重視して再構成しています。その特長は

  • 中学の「データの活用」や数学Iの「データの分析」との学習の接続を重視
  • コンピュータのアプリケーション等を積極的に活用し、推定や仮説検定の原理の理解を優先
  • 原理の理解の上にたって、数学的背景を必要感をもって学習

にあります。

元来、統計学と数学は異なる学問です。もちろん、数学として、統計的手法について研究することもありますが、その対象は社会的事象ではなく、手法そのものです。

教科書の数学Bの「統計的な推測」は、どちらかというと、こちらのスタンスで構成されています。必要になる数学的な背景をすべて学んでから、最後にそれらを使う例が提示されます。それに対して、このワークブックでは、はじめから実際的な場面に手法を適用しながら、その原理を理解していきます。もちろん、その過程では、「何故、そのようにしていいの?」といった疑問がわいてきます。そのような疑問を解消していくために、あとから数学的考察を進めていく構成になっています。

このワークブックにより、皆さんが統計的素養を身につけるとともに、統計学やデータサイエンス、さらには「数学」に興味をもってもらえることを願っています。

西村 圭一

 

著者 西村圭一 先生
東京学芸大学大学院教育学研究科教授
東京都立高等学校、東京学芸大学附属大泉中学校、東京学芸大学附属国際中等教育学校教諭、国立教育政策研究所教育課程研究センター総括研究官を経て、現在に至る。
東京学芸大学教育学部数学科教育学分野、同大学院教育学研究科教授、学長補佐。現在、東京学芸大学高校探究プロジェクト(https://g-tanq.jp/)プロジェクトリーダーとして、高等学校の教科内や教科横断の探究的な学びを実装するための、教員ワークショップや研修教材の開発に関わる。