【コラム】5skills Webbing

投稿日時:2022年9月29日

 

 

はじめに

「生きる力 学びの、その先へ」、皆さんはこのメッセージをご存じですか。これは、2020年に改訂された新学習指導要領の根幹的な目標です。NEW TREASUREは、初期からこの目標に十分に沿って作られた教材だと体感しています。私は、「学びの、その先」を見据え、5skillsを提唱しています。Listening・Speaking・Reading・Writing and Thinking の5技能を指しています。4技能に論理的に考える力が加わることで、Diversityに活きる人材を育成できると信じています。

私が教育活動で使用したNEW TREASUREはSecond EditionのStage1から4までになります。Third Editionとは内容、ページ数などが一致しないところがあることを最初にお断りしておきます。

 

 

Logical Thinkingに繋げるためのWebbing Exercise

NEW TREASUREでは、各レッスン毎にDialoguesを通して異文化を紹介しています。例えばSecond Edition Stage2のLesson1-2では “a ball game”が取り上げられています。Lessonの前の “Ice-Breaker”として、これらの周辺知識と例の写真を生徒に見せています。

写真を見せた後、必ず行っている活動がWebbingです。このWebbingで、中心アイディアに関連する語彙や知識を何個も書かせます。ここでのルールは、「関連していれば自由に英語で書け!」です。自由に書くことで周辺知識と生徒が持っている語彙力を結び付けることに力点を置きます。

 

例)Second Edition Stage2 Lesson1-2 “a ball game”のWebbing

 

 

Out-Put活動(Picture Description)

興味深かったのが特進クラスを指導した際、“A ball game”の中心アイディアから “favorite singer”に結び付いた授業です。この語句から、「自分が好きな歌手を調べ、歌詞や今まで学習したことを関連付けて発表しよう」という課題を与え、発表させました。自分自身で調べたこと、歌詞から理解できること、なぜこの歌手が好きなのかということなどを、生徒同士が理解できるように発表させるのがOut-Put活動のゴールでした。生徒は、おのおのにまとめたプレゼンテーション資料を配布し、見事に発表することができました。

また、Lesson7-3の “Japanese cake” のWebbingから “recipe”が挙がったので、「家族と料理を楽しみ、作った料理のrecipeを英語で作ろう」という課題を出したこともあります。

ここではそのようなOut-Put活動の事例として、Lesson9で行った課題を紹介します。分詞を扱うLesson9では、特進クラスの生徒おのおのが分詞を言語学的観点から調べ、理論的に説明しながらプレゼンテーションをしました。演習の時間に行った「入試問題を論理的に解説する」という活動でも、生徒個人が率先して解説を作りました。生徒たちは、自分自身が作成したスライドをプロジェクターに映し、プロ教師さながらの講義をしてくれました。

▼「“分詞”を論理的に説明しなさい」という活動から(Second Edition Stage2 Lesson9 pp135-148)

<生徒Aのスライド>

(画像をクリックすると拡大します)

<生徒Bのスライド>

(画像をクリックすると拡大します)

★生徒A・生徒Bともに言語学的観点から考察、証明し、しっかりとスライドを利用して発表することができている。

 

▼「“入試問題”を論理的に説明しなさい」という活動から(Second Edition Stage2 Lesson9の関連アクティビティ)

<生徒Aのスライド>

(画像をクリックすると拡大します)

<生徒Bのスライド>

(画像をクリックすると拡大します)

★生徒Aも生徒Bも、論理的に英文法を捉えられているのが分かる。常日頃より、他者に伝える、他社に理解してもらうことが自分の理解を深めるという指導を行っているので、英語で理論的に考えることが定着している。

 

WebbingからのOut-Put活動で重要なのは、他人を納得させるために理論的に構成された発表が必要だと、生徒に理解させることです。英語で発表させることで論理的思考の育成ができると信じています。また、日本語にはない、英語特有の「結論→本論→結論」という英作文の練習にもなります。英検®の面接対策にもなると、生徒から好評でした。

これらの活動は数例です。他にも色々と先生方で考えて頂き、実践されて下さい。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

 

 

Logical Thinkingの練習

論理的思考を育成させるために上記のWebbingやPicture Descriptionは、とても有効です。更に学びの先に目を向けて生徒を導くために、著名人や短いノンフィクション映画(National Geographicなど)を情報整理の練習に観るように伝えていました。NEW TREASUREのレッスン毎の「Read」は、論理的思考を鍛える最適な読み物だと言えます。Stage2 L7の「Read」 “Forest in Sumatra”は、国際的な環境問題を考えるうえで、とても有益でした。「Post-Reading」と「Read+plus」は、正にLogical Thinkingの流れが出来上がったExercisesで、「結論→原因→原因の内容→自分の考察」を促してくれます。

NEW TREASURE採用校で多くの先生方が、「Read」まで指導することが困難であると聞いたことがあります。「Read」部分は、生徒の思考力と表現力を養成するために是非、お勧めしたいパートです。「Grammar」と「Key Points」だけではなく、論理的思考が鍛えられる「Read」を用いて、総合的に探究するのも新しい刺激になると信じています。

 

 

最後に

NEW TREASUREは、First EditionからThird Editionに至るまで異文化理解はもちろん、論理的思考を育む工夫を随所に取り入れた教材です。生徒が、レッスン毎に扱う異文化に触れ、異文化を体感できることが一番の醍醐味だと信じています。異文化に触れることで、自然と生徒自身から調べ、探求することができます。探求したことを他者に向けて発表し、理解してもらうことを常日頃から意識している私の生徒は、英語を人前で話すことに抵抗がありません。生徒各々は、英語で自分の興味関心事を発表できる機会を与えられ、躍動しているように感じます。これからも、学びの先にある、思考力・表現力・判断力を鍛え、導けるような英語教育活動をしていきたいと考えています。

 

 

プロフィール

柿沼 宏暢(Kakinuma Hironobu)
M.A. in TESOL

日本大学豊山高等学校・中学校 教諭。
大手出版社に勤務し、数々のTOEICセミナー、TOIEC教師育成講座の運営・開催・講師として働く。都内超進学校で教鞭をとった後、日本大学豊山高等学校・中学校に着任。着任後、特進クラスを初め、各コースで指導を行っている。

<論文>
“Japanese/English Code-Switching – Solidarity and Politeness Consideration –” (2011)
“Teaching English through ‘English for Specific Purpose’ -Communication English-” (2012)
“Teaching English through ‘English for Specific Purpose’ -Cultural Awareness-” (2015)
“Improving Classroom Approaches Through Flipped/Blended Learning” (2017)
“Book Review; Grammar Dimensions Book One: Form, Meaning, and Use, Larsen-Freeman, Diane (ed)” (2018)

 

 

 

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