【コラム】骨の髄まで使い尽くすべき教科書

投稿日時:2023年5月26日

 

 

それは年の瀬も押し迫り、街が新年の買い物客で賑わう頃の話です。私は福岡市の大きな書店でお目当ての本を探していました。すると学習参考書のコーナーで私の教え子が何やら真剣な顔で棚を眺めています。よく見ると彼の手には何冊ものセンター試験(その当時はまだ共通テストではありませんでした)の問題集が。「何で今頃?」と不思議に思いました。なぜなら本校では例年7月頃からセンター試験対策を実施しており、今更新しい問題集は必要ないからです。悩んでいる彼に声をかけると、私を見て彼は驚き、手にしているものについて話をしてくれました。彼はセンター試験対策に自信が持てず、友達に良い問題集がないかと相談して、教わった問題集を買いに来たとのことでした。

この時、私はこの生徒のセンター試験はうまくいかないかもしれないと思いました。

先生方も実感されていると思いますが、参考書をそろえることに夢中になる生徒はあまり良い結果につながらないことが多いです。そういった生徒より、学校で使われているテキストや単語集を何度も繰り返す生徒の方がしっかり実力が付きます。

書籍にはそれぞれ制作の意図があります。単語集一つとっても大学入試、留学など学習目的も違いますし、また学習方法も全く違います。言い方を変えれば、目的にあった書籍で、その書籍の制作の意図をつかんでじっくり学習することが最も効率の良い学習になるということです。たとえ評判の良い問題集を使ったとしても腰を据えてしっかりと取り組まないと結果はついてこないのです。

 

私は今年(2023年)3月に卒業した生徒たちを6年間教えていました。その際に気をつけていたことの一つが教材をあれこれ増やさずに、採用した教材をじっくり、しっかり教え尽くすということでした。そして6年前に採用した教材がNEW TREASUREでした。

2021年度に学習指導要領が改訂された際に注目されたのが教科書で学習する語彙数でした。それまでは中学3年間で1,200語程度でしたが、改訂後は1,600語~1,800語程度となりました。小学校英語で学ぶ語彙数がおよそ700語~800語程度ということなので、中学校卒業時には総計で2,300語~2,600語程度を学ぶことになります。これまでの2倍以上の語彙数です。外国語学習において語彙習得は肝なので、この語彙数がきちんと習得できれば日本人の英語の能力は文部科学省の狙い通り向上するのではないかと思います。

語彙数でいえばNEW TREASUREは新指導要領で定められた語彙数を遙かにしのぎ、Stage1~Stage3で約3,300語を学習します。検定教科書の語数のおよそ2倍です。NEW TREASUREの語彙をしっかり習得させれば、ほかに単語帳を使って学習させる必要がないのは明白です。

またテキスト内の読み物であるReadでは内容がしっかりした長めの英文を読むことになります。Stage3になると800語を超えるものもあり、比較的長い大学入試の個別試験並みの語数です。これらの英文は改訂を重ね、できるだけ生徒が興味を持つような時代に合った英文が用意されています。これだけ深い英文をただ読ませて文法を解説するだけで終わってはもったいないので、私はパラグラフリーディングの練習をしたり、長期記憶用の語彙学習として活用したり、速読練習として読ませたり、あるいは文脈から文法を理解させるために読ませたりと、同じ英文をじっくり何度も使っていました。

 

文法に関してもNEW TREASUREには大きな利点があります。

一つ目は、高校までのすべての文法項目をStage3までに終わらせてしまうことができる点です。Stage3では仮定法の発展的な用法や分詞構文といった難解な文法項目をはじめ、否定や倒置などの様々な表現までしっかり網羅されており、また解説も詳細で、かつ関連問題も提示されているので、生徒はテキストをしっかり理解すれば文法項目も自然と習得できるのです。中学の3年間でStage3までを終えることができれば、生徒たちは文法に関しても検定教科書のおよそ2倍のスピードで学習することになります。

二つ目は、完全準拠の「文法問題集」があることです。文法を1科目として設定してある学校(本校は文法を学習する時間を設定しています)はその時間を使ってテキストと同じペースで、テキストで学習している文法項目を復習できます。私は文法問題集を大いに活用させてもらいました。

三つ目は、生徒が学習しやすい順番で文法シラバス項目が設定してあることです。NEW TREASUREはすでにStage1~Stage3が第3版(Third Edition)まで改訂されています。これまでの改訂で、Z会の編集担当の方々、営業担当の方々が採用校の先生方のご意見をくみ取り、生徒が最も理解しやすいと思われる学習時期を教科書に反映させています。つまりNEW TREASUREは我々現場の教師の意見をくみ取って作られたテキストでもあるのです。

 

NEW TREASUREの語彙と文法をしっかり理解させて育てた生徒たちは2023年春、東京大学32名をはじめ、京都大学、大阪大学、九州大学などの難関校、そして国公立大医学部にも数多くの生徒が現役合格してくれました。ですので、私はもう一度6年間生徒を教えることになってもNEW TREASUREを骨の髄まで使い尽くすつもりでいます。

 

次号はNEW TRESUREの具体的な使い方について話をしたいと思っております。

 

 

プロフィール

大藪 良一 (Oyabu Ryoichi)

久留米大学附設中学校・高等学校 ICT導入ワーキンググループ主任
Z会 NEW TREASURE 2nd edition / 3rd edition 編集・執筆協力
Z会 アドバンスト模試(高校1年~3年) 作成委員
朝日出版 CNNEEワークシート 作成委員
チームキムタツ(英語教師の会)九州支部 支部長
EDEC Progress In English 21 元編集委員
河合塾 九州大学オープン模試 元作成委員
日本各地で英語教育に関する講演活動を実施

 

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