「絵本ナビ大賞」受賞の裏側にある、遊びと学びを繋ぐ“本物”へのこだわり
2025年3月に『Z会グレードアップドリル』シリーズを改訂し、『Z会の幼児ワーク』シリーズとして、大リニューアルいたしました。
考える力を鍛えるコンセプトはそのままに、「あそび・発見・考える」を軸にした学びを応援する本シリーズは、多くの方に手に取っていただき、
この度、子育ての「幸せな時間」を手助けしてくれるアイテムを決定する『絵本ナビ 子育てベストアイテム大賞 2026』にて最高賞である「大賞」を受賞いたしました。
本記事では、担当編集に制作秘話やこだわり、幼児期の学習についてお話を聞きました。
担当編集に訊きました

堀 水保
Z会入社後、長年にわたり通信教育の教材制作に従事。
小学生から高校生向けの理科教材開発に携わる。
現在は幼児・小学生向けの書籍編集を担当。「幼児期こそ、将来の学習につながる楽しくて質の高い体験を」という信念のもと、『Z会の幼児ワーク』の制作を担当。
「あそび・発見・考える」が、なぜ今、支持されるのか?
――今回『Z会の幼児ワーク』の改訂を行われたわけですが、なぜ今、改訂しなければならないと思ったのか、その背景をお伺いできますか。
理由は大きく2点あります。
1点目は、2019年3月の創刊から今日まで培ってきた教材内容を、一段上のステージへと引き上げるためです。「まだ10年経っていない」今だからこそ、過去の慣習に縛られず、純粋に「今、求められる教材」へと大胆に作り変えることができると考えました。
手探りで始まった初期の情熱はそのままに、実際のお客様の声から得た知見を反映させることで、お子さまの成長をより力強く支える教材へと進化させる。それが今回の見直しに至った大きな理由です。
2点目は、初期の教材は「早期教育」を強く意識したものではなかったのですが、それでも知識・技能の部分のハードルが高くなってしまっていました。もっと幼児の成長段階に寄り添い、「遊びの中でも学んでいく」という要素を強くした方が良いだろうと考えたのが大きな理由ですね。
今回のワークのコンセプトは、表紙の右上にもある通り「あそび・発見・考える」です。お子さまが「知りたい」「なんでかな?」「楽しそうだな、ワクワクするな」という興味関心を膨らませて、未知の世界を切り拓いていく力を育む教材にしたいと考えていました。
学ぶ面白さを知ってほしい、身の回りのことに興味を広げてほしい、自分で考える楽しさを知ってほしい…。そこに力を入れたかったんです。よくある「反復学習」で知識を植え付けるのではなく、ワークに取り組む中で、「なんか楽しいな!」「こういうことになってるの?」と興味を引くことにフォーカスして作りました。
例えば、『はじめてのひらがな 3・4さい』では、単に文字をひたすら書いて練習するのではなく、文字に色を塗るなど、遊びの要素を入れながら、自由に楽しく文字に触れるという工夫をしています。
また、『はじめてのかず 3・4さい』では、「ウサギさんの家族の1日」を一緒に体験しながら、数に触れます。お子さまにとって身近な“朝ごはん”や“公園あそび”といったテーマで、「僕もこんなことやったことある!」と思いながら楽しく進められるように作っています。
――2025年3月の全面改訂から1年足らずで「絵本ナビ 子育てベストアイテム大賞 2026」を受賞しました。この反響をどう捉えていますか?
多くのお客さまに選んでいただけたことを、制作担当一同本当に嬉しく感じております。選んでいただけた理由の1つは「なんか楽しい!」だから「もっとやりたくなる」という点ではないでしょうか。
2019年3月に初めて幼児向けワークを発刊して以来、私たちは常にお客さまの声に耳を傾けてきました。2025年の全面改訂は、その6年間で積み上げた知見のすべてを注ぎ込んだ、いわば「今だからこそ必要とされる幼児教育」を書籍として形にしたものです。自分自身も経験がありますが、小学校入学以降の学習に対する不安や期待は、大きなものになりがちではないでしょうか。子どもにとって、よかれと思って準備した素晴らしい内容の教材でも、お子さまが「もう嫌だ」と感じてしまえば、学びの芽がそこで停滞してしまうこともあります。
だからこそ、このワークを開いた時に「あ、おもしろそう!」「もっと知りたい!」というピュアな驚きや発見があることを、私たちは何よりも大切にしました。お子さまが自ら進んで取り組み、夢中になっている姿。その楽しそうな様子を間近で見守る安心感こそが、多くの方々に「この教材なら大丈夫」と感じていただけた一番の理由だと捉えています。
2025年の改訂から1年足らずでこのような評価をいただけたことは、私たちの進んできた道が間違っていなかったという大きな自信になりました。
「あ!おもしろそう」というのは、実はお子さまだけでなく、保護者の方にも感じていただけるように作っているのもポイントです。大人の方も「へぇ~」と思うようなネタを仕込んでいますので、親子で一緒に楽しめるようになっています。
例えば、『こうさくあそび 5・6・7さい』では、お子さまと同じ問題に保護者の方も取り組んで、親子の表現の違いを一緒に楽しむことができます。
また、「おかねとしゃかい 5・6・7さい」では、監修のあんびる先生に相談させていただきながら、「社会の中でのお金の役割を理解して意思決定をする」という取り組みを設けました。お子さまと同じ目線で取り組んでいただき、お子さまとの選択の違いを楽しんでいただきながら「どうしてそう考えたのか」というような対話につなげられるような内容になっています。
――「親子で一緒に」という点も、大事にされているのですね。
そうですね。「お子さま一人でもできるけれど、親子で一緒にやるとより楽しい」という仕掛けになっています。
例えば、『たしざん・ひきざん 5・6・7さい』は都道府県の特産品や名所巡りを題材にしながら、たし算・ひき算を学べるのですが、「山口県は、フグが有名」ということを知ったお子さまが、親御さんに「ねえねえ知ってる?教えてあげる!」と得意げに話す。お子さまが先生になって、親に教えてあげるという「立場の逆転」が起きる仕掛けです。上部に県の形も示しているので、「山口県はこんな形なんだね」という学びにもつなげられます。
自分の住んでいる地域の特産品に気づくことで、学びが机の上から日常へと飛び出していきます。お子さまが自ら進んで「聞いて聞いて!」と話し出したくなる。そんなコミュニケーションのきっかけになってくれたら嬉しいです。
「アゲハ蝶はミカンの木に」妥協しない“本物”へのこだわり
――改訂作業の中で、「ここだけは譲れない」とこだわった点はありますか?
そうですね……たくさんあって迷いますが(笑)。
まず物理的な面では、今回の改訂で「用紙や製本」を大幅に見直しました。お子さまが取り組みやすいように、パタンと開きやすい糊付けにしたり、簡単に1ページずつ切り取れるようになったので、紙が浮き上がって書きにくくなるストレスが減り、すごく取り組みやすくなったはずです。実は、この変更で以前より軽くなっているんです。お子さまが自分で取り扱いやすくなったのも隠れたこだわりですね。
また、ユニバーサルデザインカラーをきちんと使っています。色々な色の見え方をする方がいらっしゃいますので、見えにくくならないように配慮するのは大前提として意識しています。
――内容面では、どういったこだわりがありますか?
まずは、「教材の内容に嘘をつかない」という点です。
特に、私が長年Z会で理科教材開発に深く関わっていたこともあり、「理科」の内容などは徹底的にこだわっています。
例えば、『じっけんあそび 5・6・7さい』ではいろいろな国の子どもが天気について話している問題がありますが、「この時間にお子さまが電話をかけるのは不自然ではないか」「この季節にこの天気はあり得るか」といった、生活のリアルな時間軸までファクトチェックを行っています。
他には、素材の季節を統一したり、イカの足の数やサッカーの人数など、イラストの細部まで本物に即して描くことで、お子さまが「これ、実際はどうなのかな?」と興味を持って調べるきっかけにしてほしいと思って作りました。
――「身近なものを題材にする」という点も、ワークの随所から感じられますね。
そうですね。お子さまにとって「身近なものを扱う」「リアルな情報」ということは、すごく意識しています。
身近なものを題材にして、単に問題を解くのではなく、自分自身が主人公になる擬似体験になるように工夫しています。
例えば、『きせつ・かがく 4・6・6さい』では、「今は7月だから夏のページからやろう」といった使い方もできるので、公園へ行った時に「あ、ワークに出てきた昆虫だ!」と、日常と学びが地続きになるのがこのワークの醍醐味です。
また、『(工作あそび)ずけい・くうかん 5・6・7さい』はお祭りをテーマに、様々な形の工作を通して、小学校の図形分野につながる内容を学びます。作って終わりではなく、あそびの要素もあり、楽しく図形の特徴を理解し、空間を認識する力を高められます。
また、『なぞとき すいり』シリーズは、「“推理”と書籍名に冠をつけるなら、わくわくするストーリーを!」と、全ページを通して物語を展開しています。3・4歳向けは数ページ完結のミニストーリー、5・6歳向けは一冊を通して大きな事件を解決する全6エピソードのトータルストーリーにしています。続きが気になってどんどんやりたくなるような、思考力問題を楽しみながら解ける仕掛けはZ会ならではの面白い部分だと思います。
――他の幼児ワークにはない『Z会の幼児ワーク』ならではの特徴はなんだと思いますか?
他社にも数多くの素晴らしい教材があります。
『Z会の幼児ワーク』の場合は、「日常との繋がり」や「その後の学び(あと伸び)」を非常に意識して作っているので、そこが特徴かもしれません。
幼児の教材であっても、扱っている素材自体は、将来小学校や中学校、下手をすれば高校で学ぶような内容を、幼児さん向けに分かりやすく落とし込んでいるというようなことを、実はこっそりしています。
例えば『じっけんあそび 5・6・7さい』の「色の変化(色水遊び)」のページ、「アントシアニン」という色素(天然のpH指示薬)による色の変化という、中学・高校レベルの化学の要素を忍ばせています。
pH指示薬の電離定数の問題など大学受験等で扱うような内容も、実は身近な生活の中で目にする色の不思議を解き明かす入り口だったりします。難解に見える化学式も、実はキッチンや公園で起きている「変化」を言葉にしたものに過ぎません。日常のなかに「科学の入り口」は無数に存在していることに、楽しみながら知ってほしいと思っています。
また、『まなべる めいろ 5・6・7さい』では、めいろを楽しみながら、言葉や数を学べるようになっていますが、他にも、上昇気流をイメージした迷路(入道雲の中を通る)や、アゲハ蝶の幼虫が柑橘類の葉を食べるから、迷路の途中にミカンの木を配置して、そこを通ると成虫になれる、といった“気づくと「なるほど!面白い!!」というようなこだわり”を詰め込んでいます。
「新しいことを知る」ことで興味が広がるので、そういう発見する要素っていうのは、『Z会の幼児ワーク』シリーズの各ページに散りばめてあります。ワークの中で解説していない小ネタもありますが、問題を解いていく中で「あっ見つけた」という発見する面白さや、「そうなんだ!」という新しい知識や気づきで、お子さまの興味がある分野がどんどん広がっていくと嬉しいです。
『Z会の幼児ワーク』は、お子さまが自ら考え、発見する喜びを感じられるよう、細部にまでこだわって作られました。
『絵本ナビ 子育てベストアイテム大賞 2026』の投票コメントでも「子どもが楽しく取り組んでいる」「家族のコミュニケーションも増えた」「自宅で無理なく取り組める」という嬉しいお声をいただいています。
次回の記事では、小学校入学前の「学習に土台」についてご紹介します。