『リンガメタリカ』改訂秘話インタビュー① 今の高校生に「知っておいてほしい」現代の教養とは?

あの『リンガメタリカ』が完全進化! 改訂版の裏側に迫る
—著者が語る「最大のこだわり」と「英語学習者への熱いメッセージ」—

難関大を目指す受験生なら誰もが知る『話題別英単語 リンガメタリカ』。

多くの先輩の合格を支えてきたこの「バイブル」が、2026年2月、時代の変化と共に、さらなる高みを目指して改訂されます。

なぜ、今、改訂が必要だったのか?

著者である4名の先生方へのインタビューから、単なる単語の入れ替えではない、「知のフロンティア」を切り拓く改訂の舞台裏をお届けします。

4名の著者のご紹介

木村 哲也(きむら てつや)
【プロフィール】

SEG講師。上智大学大学院外国語学研究科修了(言語学)。著書:『研究社英文法・語法問題集』(研究社)、『全問正解するTOEFL ITP TEST文法問題580問』(語研)、翻訳:『英語前置詞の意味論』(研究社)、辞書執筆:『ライトハウス英和辞典』(研究社)ほか。趣味はバッハを聴く、映画を観る、星空を眺める、など。

本書では第1章、第2章、第8章、第10章の背景知識を担当。

松木 尚一(まつき しょういち)
【プロフィール】

SEG講師、元河合塾講師、東京大学工学部建築学科卒 同大学大学院工学系研究科修士課程修了(建築学専攻)。執筆:『クラウン受験英語辞典』(三省堂)ほか。趣味は入試問題研究。温泉巡りなど。

本書では第3章、第4章の背景知識を担当。

小原 弘行(おはら ひろゆき)
【プロフィール】

SEG講師、上智大学法学部国際関係法学科卒。大学受験向け精読授業に加え、英語多読指導に参加。趣味は読書。自他ともに認める bookwormで、コミックから学術論文まで乱読。

本書では第6章、第9章の背景知識を担当。

日永田 伸一郎(ひえいだ しんいちろう)
【プロフィール】

早稲田大学国際教養学部卒。SEG、湘南ゼミナール、駿台予備学校、逆転コーチングにて英語を担当。英検1級、TOEIC 990点、TOEFL117点、IELTS 8.0などを保持し、資格試験への造詣も深い。著書に『極めろ! TOEFL iBTテスト リーディング・リスニング解答力 第2版』(スリーエーネットワーク)。

本書では第5章、第7章の背景知識を担当。

「最新の入試傾向」への対応はもちろん、「時代を読み解く教養」のアップデートが最大の目的。
現役高校生を教える著者だからこその想い—改訂版に込めた「知っておいてほしい」現代の教養

先生方は普段「科学的教育グループSEG」という学習塾で実際に高校生に授業をされているのですよね。また、SEGでは長年『リンガメタリカ』を使用してくださっていますね。
普段、授業の中で「もっとこういうことを知ってほしい」と感じる瞬間はありますか?

木村先生   そうですね、例えば授業中に、英語の長文で扱っているテーマについて、「これ世界史で習ってない?」とか「生物で勉強したでしょ?」と聞くと、「やっていない」と言うんです。まぁやっているはずなんですけど、自分のものになっていない。だからそれを英語と関連させていくということもなかなかできないんでしょうね。

日永田先生   本当に、我々講師からすると「結構常識的だよね」と思うようなことを知らない、ということはよくあります。

普段、我々は英語を教えていますが、英語の長文を読まないと出会えない話題も多いと思います。例えば、文化人類学や言語学に関わるテーマとか…、そういうところなどは、やはりもっと知って欲しいと思います。

松木先生   社会的なテーマに限らず、科学的なテーマについても言えることですが、よくありますね。そういった話を授業中にする際に、どの程度興味をもって聞いてくれるかはクラスの雰囲気やレベル感にもよりますが、SEGだと興味をもって聞いてくれる生徒は多いですね。

小原先生   授業中にした雑談的な内容について残って質問してくる生徒もいます。「私は社会の先生じゃないんだけど」と言いながら説明することもよくありますね。

日永田先生   大学入試の長文って、出てくるテーマが似通っていることが多いので、大量の入試問題に触れていると、「あ、これさっきも同じ話出てきたよね」とか、「ちょっと切り口は違うけど、本質的には同じだよね」みたいなことが結構出てきます。

そういうことに気づける生徒と気づけない生徒というのがいますが、できれば気づける生徒になってほしいし、気づけた方が合格率が上がるんじゃないかなと思います。
「これもう本当によく出る話だよね」みたいな話をしてみても、生徒からすると「何?」 みたいな、「初めて聞いたんですけど」っていうような反応はよくあります。

松木先生   ありますね。卒業生が話してくれるんですが、「授業でやった英文と同じテーマの長文だったから、先を予測しながら読むことができて、余裕で解くことができた」なんて話をよく耳にします。

木村先生   生徒たちは知りたがっている割にはしかるべき情報を得られていないことが多いんですよね。これだけ周りに情報があふれているのに、意外に知らないことが多いんですが、ちょっとしたきっかけさえあれば「ああ、これとこれがつながるんだ」「これってそういうことなんだ」と納得してもらえると思います。だからこそ、そういったところをこの新しいリンガメタリカで補ってもらえれば、今後英語の長文を読むのが楽になるし、理解が格段に深くなると思います。

小原先生   そうですね。間違いなく、英語学習が入り口となって、そこから興味や知識がどんどんと広がっていくことを考えると、リンガメタリカの形式は正しいのだと感じます。

ありがとうございます。
リンガメタリカが授業で習ったことと、自分の周りの世界、ニュースでの話題などを繋ぐ役割をしてくれるという話は現行版の感想でもいただくと聞きました。
やはり、英語の長文を読んでいる時に、長文の中で気になったところ、背景知識を質問されるというのは、よくあるのでしょうか。 

小原先生   そうですね。背景知識にまで興味を持つ生徒だからこそ、英語の力を伸ばせるという見方もできますね。上位クラスの生徒の中には、英語の質問をそっちのけで、そういった質問をしてくる生徒もかなりいますね。
授業のアンケートでも一番良かったところを聞くと英語の教え方よりも、「長文の内容に関する雑談が面白かった」と書かれていたりもします(笑)

英語の学習のためにリンガメタリカを読むというよりは、どちらかと言えば背景知識のほうに興味を持ってしまい、読み物として面白く読んでいるという感想を、私個人も現行版を使っている生徒から聞いています。

リンガメタリカを一生懸命読んでいる生徒がいて、その生徒に「単語テストの準備をしているの?」と聞いたら、生徒が「えっ何?」 という反応をするので、重ねて「単語の準備でしょ」って言ったら、「あ、そういえば単語帳だった」って(笑)
背景知識が面白いから背景知識を夢中で読んでいたっていう話が記憶にすごく残っています。

読み物としての面白さがある単語帳というのは他になかなかないですよね。
それにしても、長文を読んでいて、「この背景知識がわからない」、「何を調べればいい?」という疑問はよくあるのですね。

小原先生   そうですね。社会的テーマなどは、本当に掘り下げていかなくちゃいけない。ただ自分で調べるというのはなかなか大変だろうなと。なので、生徒にはこちらの方で文章の内容を理解するのに必要なことは、できるだけ説明するようにしています。

そういったところを、今回のリンガメタリカで先生方が体系的にわかりやすくしてくださっているのですね。

日永田先生   やっぱりリンガメタリカはそういう意図が一番あり、工夫した点でもあります。

小原先生   今の高校生って、現実や社会の問題をあまり気にしていないというふうに、よく報道などでは言われているんですけど、実際はすごく関心を持っています。
今生きている社会がいい社会になるのかどうか、将来的にどういうふうになっていくのかという不安をすごく抱えていて、将来に対してネガティブなことを知ると、テンションが下がって落ち込んでしまう。
「先生、俺たちの未来はどうなるのかな」なんて、本気で心配しているんですね。
なので、「こういった問題があるけど、こういったふうに解決できるんだよ」という話をすると、安心した表情を見せてくれます。

だからこそ、まずは問題の提示というのは必要だと思っていて、男女の格差に関する問題や不平等の問題など、問題提起になりうる題目を出してみよう、と思っていました。

絶対に目をつぶってはいけない問題だからこそ、「生きる世界を知る」というところにもつながっていくのですね。

「リンガメタリカ改訂秘話」連載② につづく(1月上旬公開予定)