●第2回試行調査と比較すると、従来のセンター試験の色彩が強く出ている試験とはなりましたが、方眼紙を用いた問題、数値を桁ごとに解答する問題など、試行調査で出題された形式がところどころに見られる試験でした。また、個別試験で問われても違和感のない、レベルの高い問題が見られ、限られた時間内で高度な思考力が要求される試験でした。
●大問形式・中問形式を中心とした試行調査から一転して、センター試験を踏襲した小問集合形式が中心の出題となりました。前者の場合、おのずと出題分野が絞られてくるため、全分野にわたる幅広い内容を問いにくく、いわゆる「ヤマが当たる」という現象を回避しづらいという難点がありました。この点が、方針転換して従来の形式に回帰する一因になったと考えられます。
●次の改訂においては、今回の共通テストで出題された新しい出題形式の問題や、レベルの高い問題を適宜取り入れた出題をしていきます。また、様々な出題形式に対応できるよう、今回の共通テストだけではなく、過去2回の試行調査の出題形式を意識した問題も出題していきます。
●第3問 問3や第5問 問2のように、従来のセンター試験を凌駕するレベルの出題が見られました。従来、本格的な個別試験対策はセンター試験後に行うことが多かったと思いますが、今後は共通テストまでにややレベルが高めの問題にも対処できるよう、対策をしておく必要があると考えられます。
●今回の共通テストでは出題されなかった、長めのリード文がついた問題や、実験レポートを題材とした問題などが、今後出題される可能性があります。第2回試行調査や模試型の問題集等を用いて、このような形式の問題にも一通り対策をしておくことが望ましいと考えられます。