●大問は倫理4題、政治・経済3題の計7題、小問は倫理16問、政治・経済17問の計32問(マーク数33)であり、センター試験と比べて大問は増加したが小問は減少した。倫理、政治・経済部分ともに、共通テスト「倫理」「政治・経済」から抜粋した問題であった。
●倫理分野においては、試行調査の「倫理」と同様に資料を多用した出題であり、とりわけ資料文を用いた問題が多かった。また、会話文を読み取らせる問題が散見された。センター試験で見られた本文趣旨要約問題や、試行調査の「倫理」で出題された、前問の答とその後の問の答を組み合わせて解答する連動型の問題は出題されなかった。
●政治・経済分野においては、試行調査の「政治・経済」で出題された形式はほぼ出題されず、模式図を利用するなど新しい形式の問題が出題された。それぞれの大問では、複数の分野から組み合わせて問題が出題された。
【倫理分野】Z会では、大学入試センターの問題作成方針で示された「⼈間としての在り⽅⽣き⽅に関わる倫理的諸課題について多⾯的・多⾓的に考察する過程」を重視し、「原典資料等、多様な資料を⼿掛かりとして様々な⽴場から考察する問題」を作成しています。今回の共通テストでは、知識を用いて文章の正誤を判断させるような問題のほか、資料文・グラフ・写真などの読解が必要な問題が出題されました。『共通テスト実戦模試 倫理、政治・経済』では、全範囲の知識をバランスよく取り上げたほか、様々な資料文やグラフ、写真、会話文などを扱い、これらの読解力を鍛える問題を多く扱っていました。
【政治・経済分野】Z会では、大学入試センターの問題作成方針で示された「現代における政治、経済、国際関係等について多⾯的・多⾓的に考察する過程」を重視した問題を作成しています。今回の共通テストでは、膨大な資料を読解し、政治・経済の知識と組み合わせて解く問題のほか、複数の計算を伴う問題が出題されました。『共通テスト実戦模試 倫理、政治・経済』では、今回出題されたプライマリーバランスや直間比率など、統計資料で提示された数値の意味や計算方法に関する問題が多く出題されていました。
今回の共通テストの出題形式は、Z会の書籍と多少の違いは見られましたが、今後も変化していく可能性があります。次の改訂では、今回の出題形式だけでなく試行調査を踏襲した問題も掲載し、様々な形式に対応できるような教材を作成していきます。
●第4問 問4:フロイトに関する2カ所の空欄補充の組合せの問題でした。空欄aはフロイトに関する知識、空欄bは文章で説明された定義をもとに具体的な事例を考える必要がありました。この問題のように、共通テストでは、知識と読解の両方を必要とする問題が出題されると想定されます。知識力、文章読解力、論理的思考力のどれか1つでも欠けてしまうと得点に結びつかないため、様々な問題にコンスタントに取り組み、バランスよく実力を伸ばしていくことが肝心です。
●第6問 問6:発展途上国・新興国への日本企業の進出に関する模式図を用いて、日本企業の海外進出の要因・影響を答える問題でした。まずは、模式図を読み解いて問われている内容をしっかりと把握する必要があり、その上で、日本企業の海外進出に関する因果関係を考察する論理的思考力が求められました。共通テストでは、当問題のように今までの過去問や対策模試では出題されなかった図表やグラフなどの資料が出題されます。初見の資料でも戸惑うことのないよう、日々の学習から資料のポイントを即座に見つけ出す練習を行うことが効果的です。
●Z会の書籍では、教科書では見られないような資料や、共通テストや試行調査を意識した新形式の問題を多数収録しています。ぜひ、日々の学習にご活用ください。