●大問は5題、小問は32問で、センター試験からは減少したが、第2回試行調査からの変化はない。
●問題文の分量はセンター試験より増加したが、試行調査とは同程度である。問題の設定や意図を素早く読み解く読解力が必要とされた。
●図表の数がセンター試験や試行調査よりも増加し、ほぼすべての問題で使用された。
●大問ごとの出題テーマは試行調査とほぼ同じであり、第1問では探究的な学習を想定した出題が見られた。なお、センター試験で見られた比較地誌に関する出題について、試行調査や第1日程では出題が見られなかったが、第2日程で中問単位での出題が見られた。
●全問題の半分以上が組合せ形式の問題であった。また、条件に合致する数を答える問題や、誤りを含む文の組合せを選ぶ問題など、センター試験や試行調査では見られなかった形式の問題も散見された。なお、試行調査で出題された3文の正誤組合せ問題、図の変化を予測する問題は見られなかった。
●難易度は、とくに第1問において、題意をつかみにくく判断がつきにくい図表が多く見られたため、全体的にセンター試験や試行調査よりもやや難化した。第4問、第5問の比較的平易な問題において、ケアレスミスをせず、確実に得点を積み重ねることが重要である。
●Z会では、初見の資料や多角的な視点を持って読み取る図表問題を取り上げるなど、試行調査の出題に合わせた形式・難易度のオリジナル模試を作成しています。
●図表を扱った問題はセンター試験でも多く出題されていましたが、今回の共通テストではさらに増加し、読解の内容も複雑になっていました。その対策には、様々な図表を用いた問題に多く取り組み、図表の読み取りに慣れることはもちろん、図表のポイントを速く、正確に読み取る力が必要となります。その点において、初見の資料や様々な解答形式の問題に多く取り組み、図表の読解力を養成できるZ会の書籍は効果的だったと考えています。
●共通テストは今回が初めての実施であり、出題形式については定まっていない点も見受けられます。次の改訂では、今回の共通テストだけでなく、過去2回の試行調査の出題形式を踏襲した問題も掲載し、様々な形式の問題に取り組むことで効率よく対策できる教材を制作します。
●第1問 問2:問題中に地図が提示されていないため、雨温図と会話文をヒントにして地点DとEのおおよその位置と気候区分を考えなければならず、難易度の高い問題でした。日頃から地図帳・資料集などで気候や気圧帯の特徴や分布を確認できているかがカギとなりました。
●第3問 問2:グラフの割合と人口・都市の特徴、各国の社会状況など、基本的な知識を組み合わせて多角的な視点から判断できるかどうかがカギとなり、共通テストらしい思考力を要する出題でした。
●従来のセンター試験と同様、高校地理の幅広い分野からの出題が見られます。高3の夏休みの終わりを目標に高校地理の学習範囲を終え、秋以降は模試形式の演習に多く取り組んで共通テスト特有の出題形式に慣れ、図表読解力を鍛えるように心掛けたいものです。
●土台となる知識量や図表の読み取りが中心である点はセンター試験から変更はありませんが、扱われている図表がセンター試験より多く、また初見の資料も多く取り上げられました。さらに、グラフの指標だけでなく凡例についても答える問題や、地図で具体的な場所が示されない問題など、事前の地図学習や図表学習が発揮される出題が多く見られました。授業や演習で登場した地名・地域や内容について、日頃から地図帳や資料集で位置や範囲を確認し、分布や数値の特徴をつかむ習慣をつけるとよいでしょう。
●Z会の書籍では、教科書では見られないような資料や、共通テストや試行調査を意識した新形式の問題を多数収録しています。ぜひご活用ください。