●センター試験と同様に、大問5題で第1問・第2問は必答問題、第3問~第5問は3題のうち2題を選択する選択問題であった。選択問題は、第2回試行調査と同様に、第3問が確率分布、第4問が数列、第5問がベクトルであった。
●新傾向の問題文や設問が所々に見られ、計算量はセンター試験よりも減ったが、解決過程を振り返るなどして考えさせる問題もあり、試験時間に対して十分な量であった。
数学II・Bでは、数学I・Aと同様に、「解決過程を振り返るなどして統合的・発展的に考える力」や「数学の事象から問題を見いだす力」といった、センター試験ではあまり問われなかった資質・能力を伸ばせる問題を多く扱いますので、商品コンセプト自体に変更はありませんが、今回の共通テストをふまえて以下の方針とする予定です。
●「いろいろな式」や「図形と方程式」をメインテーマとした問題、日常事象を題材とした問題も扱う
これらは、今回の共通テストでは見られなかったものですが、今後も同じ構成で出題されるとは限りませんので、本試験と異なる出題形式の模試やこれらを題材とした問題を含む模試も用意します。
●難易度の幅を広げる
今回の共通テストでは、問題文に誘導やヒントが与えられている問題が多く、全体的には易しめでしたが、今後は難易度が上がる可能性もあります。そのため、今回の共通テストに近い難易度の模試だけでなく、それよりも難しめの模試も用意します。ただし、生徒に試験時間内に解いてもらうことに重きをおいて、60分の試験時間に対しての問題量の調整を行います。
このような方針を踏まえ、『直前トライアル』は今回の共通テストに近い出題形式・難易度とし、『パワーマックス』は出題形式を複数パターン用意し、回ごとの難易度の幅を2021年用のものよりも広くします。これにより、共通テストの出題形式が今回と異なった場合にも柔軟に対応でき、バラエティに富んだ1つ1つの問題をより深く学習できるようになるため、学習効果がさらに高まります。
今回の共通テストは、問題文に誘導や解決のための構想が与えられていることが多く、各問題の前半部分は比較的得点しやすい内容でしたが、最後の方の問題は、「解決過程を振り返るなどして統合的・発展的に考えること」や「得られた結果を基に拡張・一般化すること」が求められる内容で、満点を取ろうと思うと、センター試験とは異なる対策が必要でした。そのため、高得点をねらうためには、これまで以上に思考力・判断力が要求されました。
このような思考力・判断力を要する設問に対応するためには、共通テスト対策の問題集に取り組むときも含め、普段の学習から、ただ正解を得られたからといって満足するのではなく、「他の解き方は考えられないか」「もっと工夫して効率よく計算できないか」「この結果をもとに、何か新しいことが言えないか」など、掘り下げて考える習慣をつけることが大切です。
Z会の共通テスト対策書籍を利用するときは、「正解を得られた問題であっても必ず解答解説を確認すること」「時間内に解けなかった問題も解答解説を見る前に解いておくこと」がとくに重要です。第1問〔2〕や第5問の最後の問題はいろいろな見方・考え方ができ、解答解説を見る前に生徒自身で解き方を考えることにとても意味がある問題です。
また、Z会の教材では、問題文に誘導をあまり与えておらず、それゆえに難しいところはあるのですが、このような誘導に頼らない演習を重ねることで、本番に余裕をもって取り組むことができます。