●問題文の字数は、設問で取り上げた資料の字数も含めると、2020年度センター試験と比べ、現代文:同程度、古文:減少、漢文:増加。マーク数は2020年度センター試験から3つ増加。
●評論・小説・古文・漢文の全4題の出題という形式は従来のセンター試験と同様。
●試行調査で見られたような、図表やグラフなど文章以外の資料や、実用的文章の読解など、センター試験とは異なる問題文レベルでの大きな形式変化はなく、センター試験の形式を踏襲した出題も多かったが、情報を整理・統合する力を問われる新傾向の出題も見られた。
●問題文の広い範囲に目配りし、各選択肢を丁寧に吟味する力が問われたが、試行調査および従来のセンター試験と比較しても、難易度・負担感ともに標準的な出題であった。
●試行調査で重視されていた「情報を整理し的確に把握する力」は各大問中で様々な形式で問われており、共通テスト形式の演習経験を積んでいた受験生であれば、実力を発揮できただろう。
Z会の共通テスト対策書籍では、〈共通テストに対応できる素地をつくること〉〈大学入試センターの指針にのっとり、「⽂章から得られた情報を多⾯的・多⾓的な視点から解釈する⼒」をつけること〉の2点を目的として、以下の方針で出題しています。
第1問(論理的文章):評論・論説の部分読解だけでなく、図表・実用的文章も含めた、異なる種類や分野の⽂章の多角的な読解が求められる出典・出題も織り交ぜる
第2問(文学的文章):小説・物語の心情読解・部分読解だけでなく、詩・エッセイ・戯曲も含めた、異なる種類や分野の⽂章の多角的な読解が求められる出典・出題も織り交ぜる
第3問(古文):基本事項の確認や解釈だけでなく、複数の文章の内容を照合して読解する力が求められる出典・出題も織り交ぜる
第4問(漢文):基本句形の確認や解釈だけでなく、複数の文章の内容を照合して読解する力が求められる出典・出題も織り交ぜる
今回の共通テストでは、第1問~第4問とも「複数の文章から適切な情報を抽出して読解する力が求められる問題」が随所に盛り込まれ、思考力・判断力が問われていましたので、Z会の共通テスト対策書籍に取り組んでいた生徒様は差をつけることができたと考えられます。
次の改訂においても「複数の文章を照合させる」大方針は踏襲するもの、今回だけでは今後の出題傾向は見極めにくいため、第1問~第4問とも、共通テスト・試行調査を踏まえ、どのようなパターンで出題されても対応できるような構成で制作します。
●第1問 問5(iii):【ノート3】で引用された芥川龍之介「歯車」の一節を、本文中の「私」のあり方も踏まえて考察する問題に対応するためには、出題意図を踏まえて根拠をもって読解できるようになる必要があります。現代文のキーワード集を使って語彙力を強化することと並行して、選択式の問題演習を行う中で選択肢を吟味しながら解答する習慣を身につけることが有効です。
●第3問 問6:複数の文章の内容を照合する必要のある出題でした。日常学習用の問題集での演習を通して古文読解の基本を身につけ、1つ1つの文章の内容をつかめるようになった上で、模試型の問題集で多角的に読む訓練を積むことが有効です。
●共通テストでは、問題文や関連する資料に広く目配りして情報を適切に把握する力が重視されており、また、試験時間に対する負担が重いため、早い時期から問題演習を重ねて多くの問題に触れ、要点をすばやくつかめるようになることが重要です。試行調査・共通テスト双方の出題を踏まえ、どのような形式で出題されても対応できるようにしておくために、現代文、古文・漢文どちらも、週末・長期休暇の課題や補習などを通して、基本的な読解力の底上げ→多角的な読解を意識した演習と、段階的に対策を講じることをお勧めします。