●大問は5題で、小問は34問であった。センター試験と比べて大問は1題増加したが、小問は2問減少した。なお、大問・小問ともに第2回試行調査と同数であった。会話文や資料が多用されたため、センター試験と比べて問題分量は増加した。
●ほとんどの問題で、知識だけでなく資料などの文章の読解が必要とされており、難易度はやや難化した。
●過去2回の試行調査と同様に文献やグラフが多用されていた。しかし、試行調査と比べて写真や地図といった図版を用いた問題が減少し、文献を用いた問題が大幅に増加した。また、空欄に入れる単語と関連する文の組合せを問う出題が増加し、単純な4文正誤問題は減少した。
●地域は、東アジアやヨーロッパを扱った問題が多く出され、文献も中国やヨーロッパを扱ったものが多く取りあげられた。
●時代は、古代から現代まで幅広く出題されたが、近・現代史が多く、戦後史からも複数出題された。
●Z会では、大学入試センターの問題作成方針で示された「歴史に関わる事象を多⾯的・多⾓的に考察する過程」や「歴史的事象の意味や意義、特⾊や相互の関連等について、総合的に考察する⼒」を重視した問題を作成しています。
●今回の共通テストでは、資料を読み取り、資料で言及されている事項の歴史的背景や意義、周囲へ与えた影響などを考察させる問題が出題されました。第4問 問7のような、資料中の空欄補充とその事項や資料に関する説明の組合せ問題が多く出題されており、Z会の書籍で多面的・総合的な考察に取り組んできた受験生は差をつけることができたと考えられます。
●今回の共通テストの出題形式は、Z会の書籍と多少の違いは見られましたが、今後も変化していく可能性があります。次の改訂では、今回の出題形式だけでなく試行調査を踏襲した問題も掲載し、様々な形式に対応できるような教材を作成していきます。
●第2問 問2:2つのグラフを比較して、導かれた「仮説」中の空欄を補充する問題でした。設問で指定された時期に、それぞれのグラフがどのように変化しているのか読み取る必要があり、資料読解力が必要とされました。また、世界史的な観点から、グラフの推移を当時のヨーロッパの様相と結びつけて考察する必要があったため、知識力や思考力も求められました。取り上げられたグラフは、初見であった受験生がほとんどであったと思います。初見の資料を見ても困惑することのないよう、日常の学習から様々な資料を使った学習を行うと効果的です。
●第3問 問8:改ざん前の文章と改ざん後の文章を見比べて、図書の名称と改ざんの意図を答える問題でした。まずは、示された時代から世界史知識を用いて図書を特定する必要があり、その上で、改ざんの意図を考察する資料読解力や論理的思考力が求められました。共通テストでは、当問題のように今までの過去問や対策模試では出題されなかった新しい形式が多数出題されることが予想されます。新しい形式が出題されても落ち着いて解答できるように、歴史的事項の多面性・多角性を意識させるような学習を行うと効果的です。
●Z会の書籍では、教科書では見られないような資料や、共通テストや試行調査を意識した新形式の問題を多数収録しています。ぜひ、日々の学習にご活用ください。