英語リスニング - Ｚ会の本

◆ 2023年度の出題内容

● 出題形式・分量は前回の共通テスト並で、難易度にも大きな変化は見られなかった。
● 音声に1回読み (第3問~第6問)・アメリカ英語以外が含まれる点も前回の共通テストから変わらなかった。
● 問題ごとに設定された場面・状況下で、与えられたグラフや表などの資料を読み込んだ上で聞き取った情報から素早く正答を導き出す必要があり、例年通り高い情報処理力が求められた。

大問	中問	配点	形式	読み上げ回数
1	A	16点	短い発話の聞き取り１（内容一致問題）	2回
1	B	9点	短い発話の聞き取り２（イラスト選択問題）	2回
2	－	16点	短い対話の聞き取り（イラスト選択問題）	2回
3	－	18点	短い対話の聞き取り（質問回答選択問題）	1回
4	A	8点	モノローグの聞き取り（図表完成問題）	1回
4	B	4点	複数の説明の聞き取り（質問回答選択問題）	1回
5	－	15点	モノローグの聞き取り（ワークシート完成・選択問題）	1回
6	A	6点	対話文の聞き取り（質問回答選択問題）	1回
6	B	8点	長い会話文の聞き取り（意見・図表選択問題）	1回

◆ 出題内容の分析　※難易度は、共通テスト受験者全体を母集団として考えています。

［第１問］

Ａ（やや易）：形式・難易度・語数いずれも前回の共通テストから変化なし。1人の短い発話の内容に合致する文を選ぶ問題。放送文を聞き取るだけでなく、その情景を思い浮かべ、何が既に起こっていて、これから何が起こるのかという状況を整理する力が問われる。

Ｂ（やや易）：形式・難易度・語数いずれも前回の共通テストから変化なし。1人の短い発話から状況に合致するイラストを選ぶ問題。4つのイラストには2つほどの共通点・相違点が含まれ、それらを放送前に把握しておけば、正解を選ぶのは難しくなかった。

［第２問］（標準）

形式・難易度・語数いずれも前回から変化なし。放送文に合致するイラストを選ぶ問題。第1問Bと同様に、各設問のイラストにはそれぞれ共通点・相違点が含まれ、それらに関する放送文内の情報が解答のキーとなる。

［第３問］（標準）

形式・難易度・語数いずれも大きな変化はない。アメリカ英語以外の英語が使われているのも前回の共通テストと同様である。第3問から音声の放送は1回のみになるので、事前に設問文・選択肢から聞くべきポイントを押さえておくことが必須。

［第４問］

Ａ（標準）：問18～問21は前回の共通テストではイラストの並べ替えであったのが、初回の共通テストに出題されたグラフに入る項目を選択する問題に戻った。比較されているグラフに関する説明を放送から聞き取る必要がある。問22~問25は、問題形式には変化はなかった。

Ｂ（標準）：4名の演説を聞き、3つの条件を満たす人物を選ぶ問題。形式・難易度・語数いずれも前回の共通テストから変化なし。出題形式に慣れている受験生にとっては容易に正解にたどりつけたと思われる。

［第５問］（標準）

テーマは「アジアゾウ」。問題形式は前回とほぼ同じで、テーマも取り組みやすかったと思われる。問33は、前回の共通テストでは講義の続きを聞いて2つのグラフを参考に答える問題であったが、今回の共通テストではグループの発表内容を聞いて1つのグラフを参考に答える問題となった。

［第６問］

Ａ（標準）：テーマは「ソロハイキング」。放送文、問題形式ともに、前回の共通テストから大きな変化はなかった。発言の要点を問う問題がなくなり、話者が同意するであろう記述を選ぶ問題と、会話終了時の意見を選ぶ問題になった。選択肢では本文中の表現が言い換えられていることにも注意が必要。

Ｂ（標準）：テーマは「就職後に住む場所」。4人の話者が「都市部と郊外のどちらに住むべきか」について話し合っている。会話終了時の状況を問われているため、会話の流れを理解し、4人の考え方の変化を把握する必要があった。

◆ 『2023年用パワーマックス』出題内容をふりかえって

放送内容がパラフレーズされた選択肢 (第1問、第5問)

今回の共通テストでも放送内容の言い換えが正解にたどり着くカギとなる問題が出題されました。
⇒『2023年用パワーマックス』では8回分全てで放送内容をパラフレーズした問題を扱っています。

共通テスト同様の設問形式 (第4問B)

前回の共通テスト同様、今回の共通テストも第4問B問26の印字されている設問文は英語でした。
⇒『2023年用パワーマックス』では8回分全てで該当の設問文を英語で扱っています。

多様な題材 (第5問)

「ギグワークモデル」や「アジアゾウ」のように年度によって題材はさまざまですが、『2023年用パワーマックス』では「再生可能エネルギーと貧困問題」や「手を乾かす方法・技術」など、多様な題材を用いて問題を制作し、提供しています。

多様な英語の採用

共通テストでは多様な英語発音の話者が登場しますが、正確に聞き取るためには慣れが大切です。
⇒『2023年用パワーマックス』では8回分全てでアメリカ英語以外の音声をご提供できました。

今回の共通テストに見られた変化

語数や難度に大きな変化は見られなかったものの、第4問Aグラフ問題の復活、第6問Aの設問文の変化など、前回の共通テストとは異なる傾向の出題も見られました。今後の改訂においては、どのような出題形式や題材が出題されても受験生がその場で対応できる力をつけられるような構成で制作する予定です。

全体を通して

共通テスト同様の問題・図表形式や音声スピード、多様なテーマを盛り込んだ出題を豊富な演習量で学習することができ、本番に向け十分な対策ができるよう制作しております。

◆ 共通テストに向けた今後の指導について

● リスニング力を伸ばすためには、日頃から聞き取りと同時に発音学習を意識的に行う必要があると考えます。また、過去に出題されていない設問形式に対応できる力を養うには、落ち着いて内容を把握できる自信をつけておくことが欠かせません。実戦を意識した演習を重ねるようご指導ください。

● 第2問問9：問いの内容が予想しづらい出題でした。1回目の放送の最後に読み上げられる「女性が持っているものはどれか。」という問いを確実に聞き取った上で、2回目の放送で落ち着いて対話内容を再確認し、正解を選ぶ必要がありました。正解が消去法で導かれるという点にも特徴があります。問いまで確実に聞き取る演習を重ねることが必要です。

● 第4問A 問18~21：グラフに入る項目を選択する出題に戻りました。過去のグラフ穴埋め問題とは異なり、経年変化を表したグラフの説明を理解し、該当する項目を選ぶ必要がある出題でした。ただし、比較表現を問われていることは変わりありませんので、意識的に図表やグラフを読み解く問題に取り組み、苦手意識をなくすようご指導ください。

● 第6問B 問36：会話終了時の状況と、人数ではなく名前を問う出題になりました。放送文が長く、聞きながら各学生の意見や立場を整理・判断する力が問われます。今回の共通テストは途中で立場を変えている人がいることにも注意が必要でした。日頃からメモ欄を活用しながら「誰が」「何を」言ったのかを1回で聞き取る演習を繰り返し、問題形式に慣れておくことが大切です。