英語リーディング

2026年度本試験概要

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2026年度本試験の分析

◆ 全体

  • 全体としては、大問8題構成という2025年度の枠組みが維持され、試作問題から続く新課程入試のスタイルが定着したといえる。
  • 出題配列や配点にも大きな変更はなく、受験生にとっては取り組みやすいセットであった。
  • 総語数(マーク数等を含む全体)については、2025年度の約5,700語からさらに減少し、約5,600語となった。
  • 英文の分量が減り、かつ読みやすい内容の素材および取り組みやすい形式が増えたことで、2025年度よりもやや易化した。
  • 易化したとはいえ、引き続き注視すべきなのは第7問や第8問といった後半の重量級大問における「情報の照合・適用」の精度であり、特に第7問では、スライド内の情報を読み取るだけでなくそれを具体的な事例に当てはめて考える応用力が問われた。
  • 第1問のような序盤の軽い大問でも、イラストの細部まで正確に描写を読み取る力が求められるなど、油断のできない設問が散りばめられていた。
  • 全体を通して、英文そのものの難しさよりも、与えられた情報をいかに素早く処理して設問の意図に沿って正確にアウトプットできるか、情報処理能力の高さが得点差に直結したといえる。

◆ 2025年度本試験と比較して

  • 今年度特有の傾向として、「情報の適用(Application)」を問う設問の出現が挙げられる。第7問の問5では、スライドに書かれた抽象的なアドバイスを、4人の生徒それぞれの具体的な生活習慣に当てはめて適切なものを選ぶという、高度な思考力が求められ、これは単なる情報の検索・一致ではなく、読み取った情報を新たな文脈で活用できるかを問う、新しい傾向といえる。
  • 第5問においては、参照すべき資料が「チラシ」「ウェブフォーム」「メール」の3種類に増え、複数の媒体を行き来しながら情報を統合する必要性が高まった。さらに第5問では centre や familiarise といったイギリス英語のスペリングが用いられており、多様な英語への対応が意識された出題も見られた。
  • 第1問においては、2025年度も存在したイラスト選択問題がさらに精緻化し、「内側のタンクトップ(tank tops inside)」といった服装の重なりや着用の状態を、正確にイラストと結びつける視覚情報の処理能力が問われた。
  • 第4問では、プロモーションのためのニュースレター作成において、ルールの説明文を適切な箇所に挿入するという新形式の設問が登場した。
  • こうした傾向はすべて、単に英語を読むだけでなく読んだ内容をもとに現実的なタスクを遂行する力をより重視する方向性を示しているといえる。

 

求められる能力

  • 2025年度同様、大量の情報を短時間で処理する能力が前提となる上で、今年度は特に「事実(Fact)と意見(Opinion)の区別」および「構造化された情報の読み取りと適用」の能力が顕著に求められた。
  • 「事実と意見の区別」については、第2問でウェブ記事に対するコメントの中から客観的な事実ではなく「意見」を述べたものを選ばせる設問が出題された。これは情報化社会において情報の真偽や性質を見極めるメディア・リテラシーに通じる能力であり、共通テストが重視するポイントの1つである。
  • 「構造化された情報の読み取りと適用」については、第7問の問5が最も象徴的で、本文の趣旨を理解し、プレゼンテーションスライドという形式で構造化(整理)された情報に落とし込んだ後、それを具体的な生徒の悩みや状況に解決策として「適用」するプロセスは、まさに探究学習などで求められる資質・能力そのものといえる。
  • 第8問のエッセイのアウトライン作成では、複数のソースから得た情報を論理的に配置し、エッセイの構成要素として適切に組み込む力が求められたが、ここでは異なる視点の意見を比較・統合し、1つの論理的な流れを作り上げる構成力が試されており、英語力のみならず論理的思考力が不可欠な出題であったといえる。

 

指導上の留意点

  • どのようなタイプの英文や資料が出題されても動じない対応力を養うためには、低学年のうちから「英語を使って何かを作成する(アウトプットする)」という意識を強く持たせることが重要となる。共通テスト英語リーディングは、単に受動的に英文を読む試験ではなく、読んだ情報を使ってポスターを完成させたり、スライドを整理したり、記事の要約を作ったりする「擬似的なアウトプット」の場なので、普段の授業においても、教科書の英文を読んだ後に「その内容を箇条書きでまとめる」「内容を図式化(アウトライン化)する」といった活動を取り入れることが有効であろう。
  • 特に、今年度の第7問で見られたような「情報の適用」に対応するためには、学んだ内容を「自分たちの生活や身近な例に当てはめるとどうなるか」を考えさせる問いかけが効果的である。抽象的な概念を具体的な事例に落とし込む思考訓練は、英語力の枠を超えて生徒の思考力を深める。また、第1問のイラスト問題への対策として、文字情報を具体的にイメージ化する練習も大切である。英文を読みながら情景を絵に描かせたり、写真と照らし合わせたりする活動は、低学年の段階から楽しみながら取り組める学習法の1つである。これらが習慣化されていれば、形式の変化に惑わされることなく、本質的な英語力を発揮できるだろう。

 

2027年用共通テスト対策教材の開発方針

今年度本試験の傾向を踏まえ、易化した部分だけではなく、差が付いたであろう「思考力を要する設問」への対応を強化する。

パワーマックス共通テスト対応模試

  • 今年度の第7問「情報を具体的状況に適用する問題」などに対応するため、第4回などのスライドを含む問題を活用して本試験同様の思考プロセスをたどれるよう工夫する。
  • 全体的に易化したとはいえ、第1問のイラスト詳細読み取りなどの油断すると失点するポイントは確実に押さえる。
  • あえて本試験よりやや負荷の高い問題(語数や推論の深さなど)も含めることで、本番で「易しい」と感じて余裕を持って解けるような高地トレーニングとしての構成を目指す。

共通テストドリル

  • 第1問(テキストメッセージ)および第4問(ニュースレター編集)の新作問題を提供する。
    ※第5版ご採用校に、2026年5月からデータダウンロードにてご提供予定
  • 第1問で、今年度見られた「人物の細かな動作」を読み取るイラスト問題や、複数人の意見整理に習熟させる。
  • 第4問で、「適切な箇所への情報挿入」といった、今年度初登場の実践的なスキルを磨く設問に触れさせる。
  • 多様な形式(メッセージ、ポスター、スライド等)に触れることで、共通テスト特有の「情報を整理・適用する」頭の使い方を定着させ、初見の問題への対応力を高めるための土台を作る