●大問は6題、小問は32問であった。大問はセンター試験と同数であったが、小問・マークは4問減少した。また、第2回試行調査とは、大問・小問ともに同数、マーク数は36から32に減少した。
●出題構成は、テーマ史、原始・古代、中世、近世各1題、近・現代2題で、センター試験や試行調査と同様であった。センター試験同様、近・現代からの出題が全体の3割を超えており、昭和戦後史単独の設問は2問出題された。
●試行調査で見られたような、史料・絵図・グラフなど多様な資料を用いた問題や、知識を活用して判断する問題、論理的な思考を求める問題が出題された。しかし、試行調査よりもセンター試験形式の知識確認に留まる問題が増えたことから、第2回試行調査に比べてやや易化した。
●試行調査同様、出題された史料は、ほとんどの受験生にとっては見慣れないものであったが、出題史料数は第2回試行調査から減少し、5つであった。史料自体は比較的読みやすいものであり、注記と合わせて丁寧に読めば十分に解答できる。
●出題形式はセンター試験に比べて多様になったが、全体としては、これまで同様、教科書レベルの知識をきちんと押さえていることが求められた。
●Z会の共通テスト対策書籍は、過去2回の試行調査を踏まえて、資料を用いた問題や、知識の活用、思考力を求める多様な形式を出題しています。また、センター試験のような知識の定着を確認する問題も出題し、本番試験に即したオリジナル模試を作成しています。
●今回の共通テストでは、知識を確認する従来のセンター試験と同様の問題や、近年のセンター試験でも見られた未見の史・資料の読解問題が出題された一方、知識の確認に留まらず、知識の活用や論理的思考を必要とする出題が見られるなど、出題パターンが多様化しました。Z会の共通テスト対策書籍では、歴史的事実の評価とその根拠を考えさせる形式や、未見の史・資料から情報を読み取り判断させる形式など、知識の活用や論理的・歴史的思考力をはかることのできる問題を様々な形式で出題していますので、多種多様な形式の出題に対応する力を養うことができます。
●今後も出題形式の変動が見込まれます。次の改訂では,大学入試センターが公表している問題作成方針を押さえた問題を出題し、様々な形式に対応できるような教材を作成していきます。
共通テストらしさを伺える以下のような出題が見られました。
●第2問 問1は、古代中国の地図を用いた、世界とのつながりに関する理解を問う問題でした。高校日本史の教科書においても、日本史に直結する世界に関する記述が見られますので、そのような記述を意識して学習していただくとよいでしょう。また、図説に掲載されている年表などを活用して同時期の世界の様子を確認したり、世界史と日本史の学習内容を結びつけたりすることで、世界とのつながりを意識することができます。
●第3問 問1(2)・第4問 問4などは、未見の史・資料を読み取ることが求められました。注記も活用して丁寧に読んでいくことで十分に対応できる問題でした。日頃の学習において、教科書や史料集・図説に掲載されている史料やグラフなどを読む機会を確保することが大切です。
●第6問 問3や問5は、「スライド」に示された情報を理解し、知識と結びつけて考えることが求められました。論理的思考力を養うためには、一問一答的な暗記に留まらない学習が大切です。背景や結果といった因果関係を理解したり、時系列を押さえて事象の変遷や時代ごとの特徴を押さえたりする学習を心掛けてください。
共通テストでは様々な形式の出題が見られましたが、センター試験と同程度の知識を習得していることが求められています。高3夏を目標に学習範囲を終え、基本的な知識・理解を確実なものとし、秋以降は模試形式の演習に多く取り組むとよいでしょう。