Column 19年11月 ○○ペイ

「令和」「ワンチーム」など30語=今年の流行語大賞候補

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019110600900&g=soc

直接プログラミングと関係のある話題ではありませんが、この「○○ペイ」は2019年のICT技術を象徴するもののひとつであることは間違いありません。

「○○ペイ」と「キャッシュレス決済」は切っても切り離せない関係にあります。日本ではキャッシュレス決済よりも現金決済が好まれるため、日本のキャッシュレス決済比率はかなり低いという経済産業省の調査もあります(2015年のデータで、韓国が90%、中国が60%、カナダが54%と続き、日本は18%です)。たしかに、クレジットカードやSuicaなどを持っていても、支払いはできるだけ現金でという方も見られます。

「現金を扱う」ためには、例えばATMなどの設置コスト、現金輸送のコスト、偽造防止の徹底などのコストが多くかかります。キャッシュレス化を進めることで、コスト削減、新たな需要の喚起や技術の発展などのメリットがあるといえるでしょう。また、海外からの訪日客にとっては、クレジットカードを使えたほうが利便性は高まります。こうした利点を踏まえ、国を上げてキャッシュレス化の推進が進んでいます。

しかしその一方で、「過渡期のトラブル」とも言えるニュースも多く見られました。

廃止のセブンペイ、44万人が残高保有

https://www.sankei.com/economy/news/190930/ecn1909300041-n1.html

ペイペイ、一日限定還元で決済トラブル 6日朝に復旧

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50669470W9A001C1TJC000/

発表直後からトラブル続きだった「セブンペイ」は、わずか3ヶ月でサービスを終了することになってしまいました。また、大型のキャンペーンを複数回行った「ペイペイ」も、決済トラブルが何度かニュースになっています。それでも、「……だからキャッシュレス決済はダメなのだ」という結論にしてはなりません。世界の流れからもキャッシュレス決済は避けて通れないでしょう。

こうしたトラブルの背景にはさまざまな要因がありますが、「プログラミング」という観点からも学ぶべきものは少なくありません。例えば「技術に対する理解」は、直接プログラミングに関わらない人にとっても必要です。セブンペイの謝罪会見では、当時の社長が「2段階認証」を知らなかったと話題になりました。社長がこれまで知らなかったにしても、記者会見のセッティングをした人たちは「(本来はすべきであった)2段階認証に関する質問が出るかも」と思い至るべきだったのかもしれません。あるいは、思い至ったとしても、それほどの大事だと思わなかったのかもしれません。表面的であったとしても「技術に対する理解」がないと、新たなサービスを提供する際に思わぬ落とし穴にはまりかねません。小学校でのプログラミング教育の目的が「プログラミングに親しむ」ことにあるのも、プログラミングという「技術」への理解を促す入り口とするためでしょう。

なお、「○○ペイ」が提供するQRコードでの決済は海外でも行われていますが、全世界共通で使えるサービスは今のところありません。中国のWeChatPay、AliPayは日本でも使える店が増えているものの、日本人を含む外国人がサービスに登録するのは簡単なことではないようです。「キャッシュレス決済」と聞いて一番に思い浮かべるであろうクレジットカードも進化を続けており、日本ではあまり見かけませんが、「非接触決済」(Suicaなどのように、読み取り機に当てるだけで決済できるサービス)可能なクレジットカードも登場しています。この仕組みを使って、海外では例えばクレジットカードで地下鉄に乗ったり、コインロッカーの代金を支払ったりすることが行われています。

手段はともあれ、今後日本でもキャッシュレス化が進んでいくことは間違いありません。そのような時代の「お金の使い方」について、お子様と一緒に考えてみませんか?