Column 20年2月 Scratchとレゴ

いろいろできるよScratch

Z会プログラミング講座でも扱っているScratch。学校の授業で扱っている先生も多くいらっしゃることから、画面を目にしたり、実際に使ったことがあるというお子様も少なくないことでしょう。そんなScratchは「画面で猫を動かす」ことに注目が集まりがちですが、じつは、それだけではないことをご存知でしょうか。

Scratchのプログラミング画面の左下にある「拡張機能」をクリックすると、Scratchに追加できるさまざまな拡張機能が表示されます(Z会プログラミング講座 with Scracthをご受講中の方は、『音声合成』や『翻訳』の機能を追加したことでご存知のことでしょう)。この中には、Z会プログラミング講座 with LEGO(R) Education基礎編で使うキット「WeDo 2.0」や、同じく発展編で使うキット「マインドストーム(R)EV3」を制御するための機能も含まれます。つまり、ScratchでWeDo 2.0やマインドストームを動かすことができるのです。

ScratchでWeDo2.0&マインドストーム

それでは、講座で使うアプリでなくScratchで制御することに、どのようなメリットがあるのでしょうか。それは WeDo 2.0とマインドストームEV3を同じ環境で同時に使えるということです。例えば、WeDoをコントローラー代わりにマインドストームを動かす、といった使い方が可能になります。これは、レゴ社から提供されるアプリでは不可能なことです。ほか、他の拡張機能と組み合わせて使うことができますので、「パソコンのカメラとマインドストームを組み合わせ使う」などといったことも可能です。レゴ社のキットをお持ちでなくとも、複数の拡張機能を組み合わせて使うことで、Scratchのポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
ただ、残念ながら、Scratchでは(まだ?)サポートされていない機能もあります。例えばマインドストームでは、「カラーセンサー」での色検知や「タッチセンサー」を使うことはできません。また、iPadではレゴ社の製品、micro:bitなど、BluetoothやUSBケーブルで接続する必要のある装置の拡張機能を使うことができません。今後、こうした点が改善されていくと、よりScratchでの学びが広がるものと期待されています。

Scratchがアタリマエの世の中?

Scratchは大変よくできたプログラミングツールです。設計思想がすばらしいのはもちろんのこと、ツールとして大変使いやすいものなのです。そうしたこともあり、世の中にはScratchをベースとしたアプリが数多く存在します。
例えば、Z会プログラミング講座 with LEGO(R) Education 標準編で使うキット「SPIKEプライム」のアプリも、Scratchがベースとなっています。Scratchそのものではないため、できること/できないことはありますが、Scratchで学んだことがSPIKEプライムアプリでも生きてきますし、SPIKEプライムアプリで学んだことはScratchを使う際に大きな武器になります。そして、ScratchやSPIKEプライムアプリで学んだ考え方は、他のプログラミング言語を使う際にも必要となってきます。レゴ講座の基礎編、発展編をご受講の方で、Scratchを利用したことがない方は、これを機会にScratchにも触れてみてはいかがでしょうか。

Scratchと「他のプログラミング言語」の関係

最後に、Scratchと他のプログラミング言語の関係について、少しだけZ会プログラミング講座担当の考えをお伝えしておきます。
Scratchに対して、「Scratchではスマホアプリも作れないし、業務用のアプリを作ることもできない。将来プログラミングができるようになりたいのなら、プロが使うようなプログラミング言語を最初から学ぶべき」という批判がなされることがあります。そのような意見も一理あるとは思いますが、それでもなお、私たちはScratchの「よさ」を信じています。
Scratchというツールが「頭の中にしかなかったアイディアをプログラミングで表現すること」を容易にしたのは間違いありません。そして、Scratchを用いることで、「プログラムを作る」ということの感覚を学ぶことができます。プログラミングの考え方はもちろんのこと、一度作ったものに機能を付け加えたり、より使いやすくしたりといった経験が容易にできるのがScratchのよさであり、これほどまでに使われるようになった理由のひとつでしょう。

教科の学習でも同じことが言えますが、「嫌い」になったらおしまいです。まずは、興味を持ち、実際に手を動かしてプログラミングをしてみること。特に初学の段階ではそれが絶対に必要であり、だからこそ、Z会はレゴ講座やScratch講座を提供しているのです。