Column 20年5月 オンライン〇〇で「ギガ不足」にならないために

ここ数ヶ月で「オンライン〇〇」という言葉を今まで以上に聞くようになりました。休校期間中に「オンライン朝の会」などを行っていた学校もありますし、塾や学校の「オンライン授業」、企業での「オンライン会議」、遠方の人でも気軽に参加できる「オンライン飲み会」などは、今やもう市民権を得ているといってもいいのかもしれません。

しかし、そこに大きな落とし穴があります。「ギガ不足」です。
(本来の『ギガ』の意味からは『ギガ不足』という表現に違和感がありますが、最近よく見かける言葉でもありますので、ここでは『データ通信量不足』の意味で使っています。)
動画は大変データ容量が大きく、スマートフォンでちょっと「オンライン〇〇」をしただけであっという間に「ギガ不足」に陥ってしまいます。それを防ぐためには、やはり家庭では家庭用のWi-Fiを使うこと、スマートフォンやポケットWiFiを用いる際にはデータ通信量無制限のプランに加入することが根本解決の方法です。

データ量が多いと、回線の通信速度によっては動きがカクカクしてしまうこともあるため、通信するデータ量を減らすことも大切です。それでは、どのようにデータ量を減らせばよいのでしょうか。まずはこの記事をご覧ください。

主要なテレカンツールのデータ通信量ってどのくらい?

https://forest.watch.impress.co.jp/docs/special/1248661.html

企業でよく使われるテレビ会議ツールを1時間使うとどの程度データ通信が行われるかの調査です。どのツールを用いる場合でも、「映像+音声」に比べ、「音声のみ」のほうが圧倒的にデータ量が少ないことがわかります。また、映像を使う場合でも、最大と最小の間に大きな差があることに気づいたでしょうか。基本的には、これは「画質」の差です。低画質にすればするほど、データ通信量は少なくなります。ツールによっては画質の設定ができないこともありますが、設定ができるのであれば、画質を落とすことがデータ量を削減することにつながります。

1GB(ギガバイト)で何時間動画を観られるの?

https://dream.jp/mb/tips_m/wifi19.html

記事によれば、YouTubeの場合
 720p(高画質・ハイビジョンテレビ相当)ならば約90分(1.5時間)→ 1時間に700MB程度
 480p(中画質・DVD相当)ならば約120分(2時間) → 1時間に500MB程度
 360p(中画質)ならば約180分(3時間)→ 1時間に350MB程度
の視聴が可能とあります。確かに、画質を下げれば通信量の削減になります。

さて、ここまで「ギガ不足」「スムーズに動画を見る」という観点から、データ量削減のことを考えてきました。もうひとつ、このような視点からもデータ量削減を考えてみるとよいでしょう。

YouTube、世界での動画再生画質を「標準(480p)」に(新型コロナ対策で)

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2003/25/news078.html

YouTubeが標準の画質を480pに「下げた」とのニュースです。世界的に外出禁止・自粛の風潮が高まる中、インターネットの利用が増え、インターネットを流れるデータ量が増えたため、YouTubeとして少しでもデータ量を削減しようとしての措置です。これがなぜ、必要なのでしょうか。

インターネットは「道路」に、データは「荷物を運ぶ車」に例えられることがあります。通信料は「車の通行料」。データ=「荷物を運ぶ車」が多ければ多いほど、通信料=「車の通行料」は多くかかります。また、回線速度が遅い=「道が細い・速度制限がある」場合、データが多い=「荷物を運ぶ車が多い」とすべてが届くまでに時間がかかってしまいます。

そして、インターネット上を流れるデータ量がこれまで以上に多くなったら……。車が増えれば渋滞が起きます。インターネット上でも同じようにデータの「渋滞」が起きているのです。道を広げるにも限界があるのと同じく、インターネットの回線を増強するのにも限界があります。だからこそ、YouTubeは少しでもデータ量を減らすべく、標準の画質を下げたのです。

「ギガ不足」を防ぐため。そんな観点にプラスして、世界中のインターネットを使う人のために、通信データ量の削減を考えてみませんか?