Column 20年6月 著作権について考える

「自分が作った作品を勝手に人に真似されない」
「自分が作った作品を勝手に人に使われない」
「自分が作った作品を勝手に改造されない」
どれも当たり前のことのように思えます。当然これらは、当たり前のことです。当たり前であるべきはずのものです。そして、少し乱暴な言い方をすれば、これが著作権です。

インターネットの普及と発達により、数十年前と比べると「自身の作品を公開する」ことは圧倒的に容易になりました。Z会プログラミング講座でも、スクラッチやレゴ講座の「毎月のミッション」などで、積極的に作品公開することを推奨しています。こうした作品の著作権がお子様にあるのは当然のことですが、こうした作品を通して、お子様が著作権侵害をしてしまっているケースも見受けられます。知らなかったというケースがほとんどかと思いますので、これを機に、著作権について考えてみていただきたいのです。

Japanese Scratch-Wiki:著作権ガイド

https://ja.scratch-wiki.info/wiki/Japanese_Scratch-Wiki:%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89

スクラッチユーザーの有志が「著作権」についてまとめたページです。著作権とは何なのか、なぜ守らないといけないのか、守らないとどうなるのかをわかりやすく説明しています。スクラッチ講座の受講者に限らず、一度はご覧いただきたいページです。

スクラッチの作品共有やレゴ講座の「毎月のミッション」で気をつけていただきたいのが、既存のキャラクターや音楽を使う場面です。そうしたものを使った作品は、ご自身で楽しむ(公開しない)のであれば問題ありませんが、公開するのはNGであることがほとんどです。特にスクラッチの場合、公開された作品は「自由に他人が使ってもよい」という条件を認めたことになります。そこに、本来は「勝手に使ってほしくない」作品(たとえば有名なアニメのキャラクター)が使われているとなると、問題です。

著作権意識の高まりにより、解説をしたサイトも数多く見られます。有名なサイトを2つ紹介します。

はじめて学ぶ著作権(小学生向け)

https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/hakase/hajimete_1/index.html

文化庁が作成したページです。スライドショー形式で著作権について学ぶことができます。

みんなのための著作権教室 KIDS CRIC

http://kids.cric.or.jp/

著作権情報センターが作成したページです。具体的な例をもとに、OKな場合、NGな場合を説明しています。

投稿作品が違法にならないよう、サイトの側で対策をしているものもあります。動画投稿サイトに「歌ってみた」「踊ってみた」といった動画を公開するのは本来NG(もとの曲の著作権者に許可を取らなければならない)なのですが、ニコニコ動画やYouTubeで公開するのであれば問題ない場合がほとんどです。ニコニコ動画やYouTubeは、日本で音楽の著作権を管理する団体(JASRAC)に一定の使用料を支払っているため、通常よりもずいぶんと軽い条件で楽曲を利用できます。

https://www.jasrac.or.jp/info/network/pickup/movie.html

他者の作品と向き合う際に一番に考えていただきたいのは、作品の作者に敬意を払うということ。これが一番大切なことです。何かしらの作品を作る際には、その作品を消費するよりもずっと多くの時間が必要です。当たり前のことですが、意外と気づかないこの感覚、自身で何かしらの作品を作っていると、実感として腹落ちします。作品作りの苦労の経験があることで、著作権の持つ意義や、禁止されていることの意味について納得しやすくなるでしょう。「著作権を守る」という意識を持つためにも、こうした時代だからこそ、自分自身で作るという経験にも時間を費やしてほしい。そして、著作権について考えてほしい。そう願っています。