Column 21年1月 大学入試教科としての「情報」

2022年度から、高校の学習指導要領で「情報Ⅰ」という科目が必履修となります。それに合わせて、大学入試共通テストの出題教科に「情報」を追加しようという動きがあります。早ければ、2025年実施のテストから導入されます。

共通テストに「情報」 大学入試センター案(日本教育新聞)
https://www.kyoiku-press.com/post-222685/

必履修科目「情報Ⅰ」

2022年度から必履修となる「情報Ⅰ」は、以下の4つの領域からなります。

(1) 情報社会の問題解決
(2) コミュニケーションと情報デザイン
(3) コンピュータとプログラミング
(4) 情報通信ネットワークとデータの活用

これまでは、いわゆる「理系」のカテゴリだと考えられてきた「情報」ですが、来るべき「Society 5.0」の時代には、「情報」は文理を問わずすべての人にとって必要になる能力だと考えられています。

Society 5.0(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

大学入試センターの試作問題

「情報」教育の高まりにより、「情報Ⅰ」を入試科目として採用したいと考える大学・学部が今後現れることでしょう。そこで大学入試センターは、共通テストへの「情報」導入を検討する材料として、試作問題を作成しました。一般社団法人 情報処理学会のサイトで、大学入試センターが試作した「情報」の問題を確認することができます。

大学入学共通テストへの「情報」の出題について(一般社団法人 情報処理学会)
https://www.ipsj.or.jp/education/edu202012.html

大学入試センターは、「情報Ⅰ」が網羅する4つの領域について、「文理の別を問わず全ての生徒が学習するものであり、分野を問わず大学での学習の基盤」であるとしています。文系理系を問わず、さまざまな大学・学部において、「情報」が入試教科となることを想定して、この試作問題が作成されたと考えられます。

入試としての「情報」

「情報」を入試教科とするかどうかについては、まだ検討中であり、決まったわけではありません。しかし、検討の対象となるということは、それだけの理由があります。もし「情報」が入試教科となるとしたら、それは受験者に対する「大学や社会は君たちに対して、これだけの能力を期待しているんだ」というメッセージだと考えられます。今回の試作問題を、「若者に求められる能力」を考える材料ととらえることで、「情報」とのかかわり方を再考する機会にしてはいかがでしょうか。