文部科学省が進める「GIGAスクール構想」によって、生徒への1人1台の学習用ICT端末が小中学校へ納品されつつあります。しかし、順調に生徒達が端末を手にしたとしても、端末だけでは授業ができません。2024年度の小学校の教科書改訂時では、紙の教科書の内容を端末に取り込んだ児童生徒用のデジタル教科書導入にむけ議論が本格化しています。

デジタル教科書、６年度の本格導入へ５案（産経新聞）
https://www.sankei.com/life/news/210222/lif2102220044-n1.html

デジタル教科書とは？

学習者用デジタル教科書とは、紙の教科書と同じ内容がデジタル化された教材のことを指します。動画・音声やアニメーション等のコンテンツは、学習者用デジタル教科書に該当しません。

学習者用デジタル教科書のイメージ（文部科学省）
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/02/12/1407728_001_1.pdf

内容は同じでも、デジタル教科書だからこそできることがあります。
（デジタル教科書のメリット一例）
・文字やイラストの表示サイズ、フォントを簡単に変更できる。
・教科書の文章を読み上げることができる。
・他のデジタル教材と関連付けて、動画やアニメーション等を使用できる。

日本地図で地域を指定して拡大表示したり、立方体の展開図をアニメーションで見たりするなど、どの教科においてもメリットがありそうですね。一方で、デジタル教科書を導入することで次のような問題点も考えられます。
（デジタル教科書を導入することで考えられる問題点一例）
・各端末へのデジタル教科書のインストールや、初期設定などの作業の手間
・セキュリティ管理
・長時間使用することによる、児童生徒の健康面への影響

デジタル教科書を体験してみよう！

上記のようにいくつかの課題は残っていますが、文部科学省では実際に学校でデジタル教科書を使った実証研究を行ったり、現行の法律の見直しを行ったりと、2024年度の本格実施に向けて着実に準備を進めています。いくつかの教科書会社では、現行の学習者用デジタル教科書のサンプルを公開していますので、お時間のある時にお子様と一緒に確認してみてもよいでしょう（教科書会社によっては指導用デジタル教科書のサンプルも見ることができます）。

（学習用デジタル教科書サンプル一例）
東京書籍
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/ict/dkyokasho_el/student_sample.html#

教育出版
https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/2020shou/digital/index.html

これからの児童生徒の学習は、保護者が学校で勉強していた時代から大きく変わっていきます。その変化を知っていくうえで、今回のデジタル教科書もぜひおさえておくとよいでしょう。