Column 21年9月 デマやフェイクニュースに惑わされないために

インターネットの誕生から半世紀が過ぎ、今や誰でも気軽にネット上で情報を発信し、多くの人と共有することができる時代となりました。インターネットにあらゆる情報が氾濫し、検索ボックスにワードを入力すれば、一瞬でさまざまな情報を手にすることができます。その一方で、インターネットから得られる情報は必ずしも真実とは限りません。最近では、人工知能(AI)の技術を悪用してつくられた、本物と見分けのつかないような偽物の動画も出回り、ますます真偽の見極めが困難になりつつあります。そんな中、デマやフェイクニュースに踊らされず、信頼性の高い情報を得るために、私たちにできることは何でしょうか。

疑わしい情報の特徴

疑わしい情報に惑わされないために
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/cyber/joho/truth.html

上記の警視庁のページでは、疑わしい情報の特徴を紹介しています。急いで拡散させるために「絶対」「重大な」などの強調表現や「危険な」「悪質な」などの不安をあおる表現を使用していること、「らしい」「みたい」などの伝聞形式で書かれていること、情報源が記載されていないことなどを挙げています。

情報を見極める4つの方法

デマやうわさを見抜く4つのスイッチ 大人も必要な小学校の授業
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210324/k10012932061000.html

また、上記の記事では、情報を見極める4つの方法として、すぐにうのみにせず、「まだわからないよね」といったん立ち止まって考えること、「事実」と「印象」を分けて考え、印象の混じったことばに左右されないことなどを紹介しています。これらは、小学校で使われる国語の教科書にも掲載されている内容のようです。

「加害者」にならないために

「熊本地震でライオン脱走」Twitterにデマ拡散の男を逮捕
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1607/21/news087.html

2016年の熊本地震の際には、「動物園からライオンが逃げた」と短文投稿サイトのTwitterにうその投稿をした男性が逮捕される事件も起きています。これに限らず、大きな災害や事件のたびに、SNSなどでデマや虚偽情報が広く拡散されることが増えてきました。逮捕された男性は「悪ふざけでやった」と述べたようですが、軽い気持ちでデマを発信したり拡散したりすると、取り返しのつかないことになる場合があります。

常磐道あおり殴打事件でデマ拡散 「同乗の女」として無関係な女性を名指し
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1908/19/news071.html

2019年に起きた常磐道あおり運転事件では、「容疑者の車に同乗していた」と事件とは無関係の女性が名指しされるデマが拡散されました。この女性は、経営する会社に嫌がらせの電話が殺到し業務に支障をきたすなど大きな被害を受けています。デマは発信した本人だけではなく、無関係な他人まで不幸にする可能性があることを十分理解しなければなりません。

未曾有のコロナ禍で人々の不安やストレスが増す中、こうしたデマやフェイクニュースはいっそう流布しやすい状況にあります。これまでもデマによるトイレットペーパーの買い占め騒動や「新型コロナウイルスは熱に弱く、お湯を飲むことで予防になる」という間違った情報の拡散などが起こっています。
流れてきた情報をすぐには信頼せず、どこから発信された情報なのかを調べたり、科学的根拠や信頼のおける情報源に基づいているかを確認したりすることが大切です。1つの媒体だけではなく複数の媒体を比較したり、報道機関などが行っているファクトチェックを参照したりすることも有用でしょう。
大人でも簡単にデマやフェイクニュースに惑わされる時代です。誤った情報を世間に拡散する「加害者」にならないためにも、情報を正しく活用する力を親子で身につけていきましょう。