Column 22年1月 AIと芸術

一般的に、人工知能(AI)は分析や計算などの単純作業が得意で、創作などのクリエイティブな作業は苦手であるとされてきました。しかし、AIの進歩にともなって、絵画や文学、音楽などさまざまな創作をするAIが生まれています。

AIと絵画

AIが描いた絵画、4900万円で落札 予想額の40倍以上
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1810/26/news077.html

2018年、AIが“描いた”肖像画が日本円で約4900万円もの高値で落札されたことが話題となりました。この絵画は、フランスの芸術家グループ「Obvious」が14~20世紀に描かれた1万5000点の肖像画データをAIに学習させて作成したものです。絵画の右下には、制作に使われたアルゴリズムを示す数式がサインの代わりに記されています。

最近では、ユーザーが入力したテキストを分析し、自動的に絵画を生成するサービス「Dream」がSNSを中心に人気を集めています。今や誰でもAIを使用したアート作品を創造できる時代となりました。

AIが言葉を分析し、数十秒で絵が描けるように 作品は1000万個以上生成
https://realsound.jp/tech/2021/12/post-934165.html

AIと文学

文学の分野でも、AIによって多くの作品が作成されています。2016年には、公立はこだて未来大学の教授を中心とした「気まぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」が作成した作品が「星新一賞」の一次選考を通過したことがニュースになりました。

人工知能が小説執筆 文学賞で選考通過
https://web.archive.org/web/20160324064237/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160321/k10010451071000.html

2021年には、最初の数行を入力すると自動的に続きの文章を生成してくれる「AIのべりすと」と呼ばれるサービスが登場しました。設定や冒頭の文章を調整することで、小説以外にも、俳句やニュース記事、クイズの問題、Wikipedia風の記事などさまざまな文章を作成することができます。

最初の数行を入力すると小説の続きを書いてくれるAI登場 設定次第で俳句やニュースも
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2110/21/news160.html

「AIのべりすと」は、Google TRC の協力のもと、約500GB (文庫本約 174 万冊分)の文章データを学習しているとのことで、実際に試してみると人間が書いたかと見紛うほど自然な文章が生成されるので驚きます。2022年2月から「AIのべりすと」を利用した作品を対象とした「AIのべりすと文学賞」も開催されるようです。

AIと音楽

音楽の分野では、ジャンルや雰囲気、曲の長さなどを指定して自動で作曲する「Amper Music」や、東京大学が開発した、歌詞を入力すると自動でメロディや合成音声を生成する「Orpheus」などAIを活用した自動作曲ツールがすでに数多く存在します。2017年には、「Amper Music」を用いて制作された楽曲がアメリカでリリースされました。このほかにも作詞や歌唱、ミックスやマスタリングなどを行うAIが公開されており、2020年時点で作詞作曲から仕上げまでほぼすべてをAIが行うことが可能となっています。

AIだけで曲を作ったら”人っぽい部分”が見えてきた 作詞作曲、歌、仕上げも全部AI
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2003/06/news045.html

これらの分野以外にも、映像制作や大喜利などAIの活躍の場は広がっています。その一方で、AIが創作した作品の著作権は誰に帰属するのかなど新たな問題も発生しています。
急速に進化を続けるAIと上手に付き合っていけるよう、Z会のプログラミング講座を通して次の時代を生き抜く力を身につけていきましょう。