Column 22年3月 「パソコンを使う=プログラミング」だった時代のこと。

「パソコンを使う=プログラミングが必要」だった時代があった

いま、「パソコンを使う」といったとき、多くの人がイメージするのは、Windows や Mac などでアプリを使うという姿でしょう。CUIと呼ばれる、コマンドを打ち込んでアプリなどを使うスタイルでパソコンを使うこともあるでしょうが、いずれにしても「アプリを使う」といった点は共通しています。
しかし、パソコンを使うためにはプログラミングが必要とされた時代がありました。その時代にも「アプリ」はあったものの、非常に高価で、あれもこれもと使うことは難しかったのです。今回は、そんな時代のお話です。

約40年前のマイコンを買ったけど、何に使っていいか頭を抱えた

https://dailyportalz.jp/kiji/microcomputers-40-years-ago

デイリーポータルZというサイトに掲載されたこの記事。令和のこの時代に、「プログラミングが必要だった時代」の「マイコン」を使ってみたというお話です。保護者さまの中には、マイコンという響きを懐かしく思う方もいらっしゃるかもしれません。1980年代ころまで、いまはパソコンと呼ばれるものがマイコンと呼ばれていました。ビジネス用の大型コンピュータに対して小型だから「マイクロ」コンピュータでマイコン、自分のための「マイ」コンピュータだからマイコン、というように、名前の由来には諸説があります。いずれにしても、コンピュータを個人で所有できるようになった時代の個人用コンピュータが、マイコンと呼ばれていたのです。

記事にもある通り、「マイコン」の時代には、自身でプログラミングをすることへのハードルはいまよりもずっと低いものでした。いわゆるアプリも販売されていたものの、高価な上に種類もいまほど豊富ではありませんでしたので、ちょっとしたものであれば自身でプログラミングをすることも少なくなかったのです。

そして、「当時のマイコン少年たちは……雑誌に載っているプログラムを手で打ち込んで、自分でゲームを作って遊んでたんですよ!」とあるように、読者から投稿されたゲームのプログラムを掲載する雑誌もありました。その代表格が、電波新聞社から発行されていた『マイコンBASICマガジン』(通称「ベーマガ」)です。

『マイコンBASICマガジン』、昭和のゲーム少年がヒーローになれた月刊誌

https://www.redbull.com/jp-ja/micom-basic-magazine-event

4年ほど前、「ベーマガ」に関するイベントが行われた際の様子を紹介した記事です。ベーマガ全盛期の雰囲気をよく伝えており、当時をご存知の方であれば「懐かしい!」「そういえばこうだった!」と思えるはずです。その当時をご存知でない方にも、記事中の写真から、当時の雰囲気の一端をお知りいただけるはずです。

記事にもある通り、ベーマガで「育った」プログラマーは少なくないようです。雑誌にあるプログラムを打ち込んで、自分の好みに改造して、自分だけのプログラムを作っていく。同年代の投稿者にあこがれて、投稿できるレベルのプログラムを作ろうと努力する。そうしてプログラミングを覚えていく。プログラマーにならなくとも、この雑誌でプログラミングの基礎を学んだ読者は多いことでしょう。

ここまで書いて気づきました。こうした姿、レゴ講座の「毎月のミッション」、みらい講座やScratchの「作品共有」で行われているのと同じなのではないか、と。受講者のみなさまにはぜひ、「毎月のミッション」や「作品共有」を通して、さらに自身のスキルを高めていってもらいたいと改めて思いました。

実は私も……

本コラムの今月の筆者(鶴見)も、じつは、ベーマガでプログラミングを学んだひとりです。私が読者だったのは90年代前半のこと、中学校のパソコン室でひたすら、掲載されているプログラムを打ち込んでいました。結局プログラマーにはならなかったものの、気がついたら、プログラミング教育に関わっていました。当時は親にもあまり理解されなかった趣味でしたが、そこでの経験がいま、役立っているんですね。わからないものです。