その感想はすごい! の一言。その感動を皆さまにもお届けします。
(Z会プログラミング講座 with LEGO® Education 講座開発担当 鶴見)
「FIRST® LEGO® League」って、何?
対象は9歳から16歳で、さらに低学年向けにはWeDo 2.0 を使った FLL Jr. が行われています。世界80カ国から27万人もの子どもたちが参加する、世界最大規模のロボット競技会です。
どんな大会なの?
毎年「テーマ」がある
例えば2017年-2018年のテーマは「水」、2018年-2019年のテーマは「宇宙」で、そのテーマに沿ったロボット競技とプレゼンテーション競技が行われます。
ロボット競技
(参考資料:『ファーストレゴリーグ公式ガイドブック』鴨志田英樹 著、KTC中央出版)
プレゼンテーション競技
参加チームはロボットを作るだけではなく、テーマに対する調査が求められます。自分たちで調べる課題を決め、専門家にインタビューをしたり、場合によっては自分たちで実験を行うなど、まさに「研究」ともいえるものです。
プレゼンテーション競技では、自分たちの「研究」の成果、ロボット競技の戦略、そしてチームワークについてをプレゼンテーションします。伝わることが重視されるため、ポスターや動画を用意したり、小道具を使ったりすることも認められています。なお、国内大会では日本語で発表できますが、世界大会に進出した場合、使用する言語は英語です。プレゼンテーション競技は600点満点で、ロボット競技の約1000点とあわせて評価されます。
地区大会、日本大会、そして世界大会へ
FLLとFLL Jr.の違いは?
FLL Jr. International Open Japan
共通言語は英語とレゴ
式が終わり、アクティビティが始まります。「チーム以外の誰かに挨拶をする」というもの。当然、言語は英語。おいおい、参加しているのは小学校1年生から3年生だよ、本当にできるの? と思いましたが、意外や意外、なんとなく意思疎通ができているのです。で、でも、名前と国を言うくらいなら、小学校低学年でもできるかな……?
次のアクティビティは「なんとなく」では取り組めません。「違う国同士の2チームが合同で、月面基地をレゴブロックで作る」というもの。どのようなものを作るのか、イヤでも他国のチームと話をしなければなりません。本当に子どもたちにできるのでしょうか?
子どもたちのパワー
そんなことを考えながら準備の様子を眺めていると、“Excuse me?” と声がかかります。チームの子どもたちです。
「私たちのチームの調査についてお話しさせてもらってもいいですか?」
「私たちが作ったモデルに対して何か質問はありませんか?」
「私たちの国のおみやげをもらってください」
子どもたちは積極的に「海外の人」に話しかけ、交流を図ろうとしています。もちろん、なかなか英語がしゃべれずに、途中で引率の大人に助けを求める子もいます。それでも素晴らしいと感じたのは、まずは自分から話しかけようとする姿勢。よく「日本人に足りない姿勢」と言われますが、いやいや、なかなかどうして。少し腰が引けている子もいるものの、他チームの引率者や他チームの子に積極的に話しかけている姿は心強いものがありました。しかし一方で、海外の子たち――特に東南アジアの子たち――の「必死さ」「自然さ」は驚くべきものです。過去の一時期、日本の「パワー」は世界を席巻しました。しかし気がつけば東南アジアの国々が背後から迫ってきて、部分的には抜かれてしまっているのが現実です。すでに日本は「世界第2位の経済大国」ではありません。海外の子どもたちの姿を見るに、このままではいけない! という思いにもなりました。その意味では、この大会に参加した日本の子たちは幸せです。そんな「海外勢のパワー」を目の当たりにすることができたのですから。
プレゼンテーション
「審査の様子を見せてください!」
お願いをして、プレゼンテーションの審査を特別に見学させていただきました。私が見学した審査室は、日本の方とマレーシアの方がペアになって審査員をしていました。当然、共通言語は英語。発表する児童も、英語でプレゼンを行います。「自分たちの思いが伝わる」ためであれば、着ぐるみなどを使った演出も可。自分たちの作ったモデルと、調査結果と、チームワークについての発表です。
これでいいんだ!
これが、偽らざる心境でした。英語が公用語となっているインドは別として、日本のチームも中国のチームも、「英語でのコミュニケーション」には苦労していました。引率の大人が通訳する場面も見られました。
それでもいいんです。
「この発音では、日本人審査員には通じるけど、マレーシアの方には伝わらないよなあ……。」
それでもいいんです。
大事なのはそんなことではなく、何を調べたのか、何を作ったのか、そしていかにして自分たちの思いを伝えようとしているのかという点です。審査ポイントは、「減点」ではなく「加点」。どのような点が優れていたのかを評議し、それぞれのチームを審査していきます。
レゴランド
炎天下のレゴランド。日差しにやられそうな大人を尻目に、子どもたちの元気なこと!
レゴランドに集まった目的は、もちろん「レゴランド体験」もあるのでしょうが、レゴランド内で表彰式を行うため。2時間弱の自由時間のあと、集合がかかります。
FLL Jr. International Open Japan を観戦して
科学技術の発達により、世界は「より狭く」なってきています。隣にいるのが同国人であることが当たり前ではなくなってくるのでしょう。生まれた国で一生を過ごすことが当たり前ではなくなってくるのかもしれません。そんな時代だからこそ、英語ができるのは当然のこととして、「母国」のことをきちんと知る必要があるのでしょう。同時に、他国のことをきちんと知る必要があるのでしょう。科学技術のことをきちんと知る必要があるのでしょう。そして、自分たちが知っていることをきちんと伝える必要があるのでしょう。この大会では、小学校低学年の子たちに、このようなことを教えていたように感じています。
FLL / FLL Jr. に参加するには、チームを編成して臨む必要があります。Z会プログラミング講座 with LEGO® Education の受講者にはその点で少しハードルの高い大会ですが、このような機会を与えたい。そのようなことを考えさせられる大会でもありました。
2018-2019年度の国内予選もこの冬より始まります。興味を持たれた方はお近くの予選会を覗いてみてはいかがでしょうか。