大学院の募集は、一般的には秋と春の年2回行われ、以下のような流れになります。

では、院試対策をどのように行えばよいのか、6つの段階に分けて見ていきましょう。

大学院を受けるには

目的を明確に!

大学院は単に「教えてもらう」だけの場所ではなく、自ら学び、研究を行う場所です。何を研究するかは自ら考え決定しなければなりません。意義のある大学院生活を送り、さらに大学院で学んだことを活かし人生を豊かなものにするためには、何よりもまず「目的を明確に」することが大切です。

「何のために大学院に進学するのか、何を研究したいのか、研究成果をどう活かしていきたいのか」自らに問いかけ、答えを導き出していきましょう。

情報収集と志望校決定

貴重な時間を費やして大学院に進学するからには、入ってから後悔することのないようにしたいものです。自分の目的に適った大学院を見つけるためにも、時間の許す限り多くの情報を集めることが大切です。

教授陣の研究テーマ、カリキュラム、施設・設備、研究室の実績に加え、社会人の場合は通学のための立地条件も重要なポイントになるでしょう。

研究計画書の書き方

研究計画書の提出

大学院を受験するにあたっては、願書、大学の成績証明書・卒業証明書、健康診断書、推薦書、写真、検定料などとともに、「研究計画書」の提出が求められます。

「研究計画書」は、大学院で何を研究したいのか、またそのための研究計画の概要、研究の方法などを記すものです。分量は大学院や専攻・コースによって異なりますが、2,000〜5,000字程度となっています。学部からそのまま大学院に進学する場合は卒業論文のテーマを発展させた形にすることが多いのですが、社会人の場合は自分が現在携わっている仕事に関連したテーマを設定するのが一般的です。

研究計画書はこのように読まれる

提出された研究計画書はどのように読まれるのでしょうか。進学希望者を受け容れる大学院側、つまり研究計画書を読む側の立場から、研究計画書を作成する際に必要なものを考えてみましょう。

(1)どんな研究に関心があるのか
(2)どんな学問的素養があるのか
(3)研究意欲はどれくらいなのか

研究計画書を書く際には、このような読み手が知りたいことを意識して書く必要があります。

研究計画書はどのように書くべきか?

それでは、実際にはどのように書けばよいのかを考えてみましょう。細かいルールは大学院あるいは研究科によって異なりますが、ここでは研究計画書に盛り込むべき基本的な項目を挙げておきましょう。

(1)研究テーマ
修士課程の期間内で取り組める、具体的で明確なテーマを選びましょう。

(2)テーマ選定の背景
社会人の場合は実務経験を交えてまとめれば説得力が増すでしょう。しかしそれだけに終始せず、学術的に意味付けをする姿勢が大切です。

(3)研究の狙い・目的
研究の社会的・学問的な意義を明示しましょう。

(4)具体的な研究方法
詳細については入学後に指導教官と決めていけばよいのですが、研究方法の「構想」は示しておく必要があります。

(5)期待される成果
どのようなアウトプットを目指しているのかを示します。研究の「結論」が求められているわけではありませんので、混同しないよう注意してください。

(6)先行研究・参考文献
本文中では自分の意見と参考文献からの引用をきちんと区別して書くよう心がけてください。

研究計画書を完成させるために

大学院における研究と向き合う最初の機会、それが研究計画書の作成です。研究計画書の作成は、受験時よりむしろ進学後に大きな価値を持つようになるでしょう。文章力や表現力はもちろんのこと、自分自身の「研究計画」を慎重に検討することが大切なのです。

英語試験の傾向と対策

進学後は英文の専門書を読む機会が多くなるため、ほとんどの大学院では専門科目の他に英語の試験を設けており、英語の試験は、合否の分かれ目と言えるほど院試の中で重要な位置を占めています。

しかも、院試の英語は、専門的な内容の英文の和訳・要約などが中心で大学入試の英語とは出題形式等に違いがありますし、英語力というのは一朝一夕で身につくものではありません。院試英語をクリアするためには、院試の傾向に沿った効果的な勉強を継続して行うことが重要なのです。

英語試験の傾向

大学院入試の英語問題では、専門的な内容の英文を題材とした、和訳、要約、内容説明問題が主流です。専門科目の場合は専攻別に問題が分かれていますが、英語の場合は研究科内の共通問題であることが多いため、受験生としてはある程度幅広いジャンルの英文を読んでおく必要があります。

また、英文の量・記述する量が多いため、すばやく要旨をつかんで解答にとりかかる必要があります。辞書使用を許可している大学もありますが、実際にはいちいち辞書で確認している時間はありません。速読速解力と語彙力は必須です。

どうやって対策すればいい?

(1)基本的な文法・構文の確認を!
英文の骨格である文法・構文が理解できていなければ、英文を正確に訳すことはできません。文法書を最初から読み返す必要はありませんが、大学受験の際に使った参考書などを手元に置いて、折りに触れ確認するように心がけましょう。

(2)様々なジャンルの英文を読みこなす!
上でも述べましたが、英語問題は研究科内の共通問題であることが多いため、自分が専門とする分野の英文を読むだけでは不十分です。志望校の過去問や他大学院の過去問などを利用して、幅広いジャンルの英文に触れることが大切です。

(3)実際に全訳を作る!問題を解いてみる!
英文を読んでなんとなく理解できた気になっても、いざ全訳や要約を作ろうとするとうまく表現できない、というのはよくあることです。普段から実際に訳文や要約を書く練習を積んでおきましょう。最初のうちは、時間がかかっても自分でできる最高の解答を作るように心がけてください。徐々に時間を意識してスピードアップをはかるようにしましょう。

(4)第三者のチェックを受ける!
ひとりよがりの解答では、大学院入試には通用しません。採点者が読んで理解できるような解答を作成する必要があります。自分で作成した解答を第三者にチェックしてもらい、自分では気がつきにくい弱点を把握しておくことをおすすめします。

英語力は大学院に入ってからも必ず必要になってきます。「大学院入試」という目の前の目標に向かって勉強することはもちろん大切ですが、それだけにはとどまらない本当の英語力を磨いておきたいですね。

 

専門科目試験の傾向と対策

一口に専門科目試験と言っても、範囲は膨大で、そのすべてを勉強することは困難ですし、大学院によって出題傾向や範囲に大きな違いがあります。したがって、志望大学院の過去問を分析することは必須です。

また、英語と同様、専門分野に関する知識を広範囲に問われるため、大学入試の時のような勉強法では太刀打ちできません。知識を詰め込む勉強ではなく、自分の「研究」をするための勉強。そのことを念頭におくことが大切です。

専門科目試験の傾向

大学院入試の専門科目は、大学院や研究科によって傾向が異なり、問題数・出題分野・出題形式も実に多様です。しかし、基本的に求められる力は2つです。

1つは「専門分野の体系的な学問知識」で、学部レベルの専門分野を総合的に理解しているかどうか、そしてもう1つは「論理的な文章構成の力」で、進学後に修士論文等を執筆する能力が備わっているかどうかです。

また、専門科目においては「一般入試」と「社会人入試」で試験傾向が大きく異なっています。「一般入試」では学部で習得した内容が前提とされ、解答に専門的な技術が要求されることもあります。一方「社会人入試」では一般的・時事的なテーマの論述を要求されることが多く、また社会人としての経験から得た知識・見解を求められることもあります。

どうやって対策すればいい?

(1)過去問を解く!
志望大学院・研究科の過去問を解くことが何よりも重要です。出題傾向が把握できる、時間配分ができるようになる、自分の弱点がわかる…など、数多くの利点があります。

(2)体系的な知識を身につける!
言うまでもなく大学院は、専門的な研究を行なうために進学する場所です。専門科目を体系的に学習しておくことは、試験対策のみならず、進学後の研究のためにも必要なことです。学部時代のテキストを読み返すことはもちろん、専攻以外の内容でも基本事項をおさえておくことが理想です。

(3)論述力を養っておく!
進学後、自分の理解度を他人に伝え、自分の研究成果を他人に過不足なく提示するため、専門科目試験ではその能力が試されます。ですから、専門科目試験の対策としては、論述力を身につけることは必須です。そのためには、アウトプットを実際に作成し、第三者の指導を受けることが有効です。合格答案の基準を知り、自分の弱点を把握する。実戦力を養うためにも、将来の研究に必要な論述力を身につけるためにも、こうした訓練を積んでおくことをおすすめします。

大学院進学後の研究を考えてみると、どんな科目も決しておろそかにしてはならないことがわかります。進学後も見据えて、しっかりした力を自分のものにするような学習方法を選択しましょう。

 

口述試験の傾向と対策

院試の最後に行われるのが口述試験(面接)です。試験形式は大学院により様々ですが、数人の教員(入学後に指導してもらう教員を含む)が面接官となって行うところがほとんどのようです。記述試験とは異なり、一度口に出してしまったら訂正できないのが口述試験。だからこそ事前に十分な準備を行い、万全の態勢で臨みたいものです。

口述試験の傾向

口述試験での質問の多くは、自分がやりたいことに関するものです。例えば、先行研究の状況・その中での自分の研究内容や位置づけ・研究方法といった、研究計画書を前提とした質問や、卒業論文に関する質問などです。社会人の場合、それまで行ってきた仕事との関わりに関する質問もあります。

つまり、口述試験とはいえ、事前の準備がカギになってくるのです。また、これらの質問は答えやすいものばかりではなく、突っ込んだ質問を受ける場合もあります。答えにくい質問をされてもあせらず、その場で論理的に自分の意見を主張する力を身につける必要があると言えるでしょう。

どうやって対策すればいい?

(1)院・教授に関する情報収集をしっかり行う!
受験する院を選択する際には、設置科目や教授の専門分野に関する情報収集をしっかり行いましょう。その際、指導を希望する教授の専門分野を詳しく調べ、著書や論文が出ている場合は、自分の研究との関わりも考えながら、そのうちの一冊(一本)は読んでおくことが望ましいでしょう。

(2)自分のやりたいことを整理し、研究計画書を完成させる!
口述試験での質問の多くは、自分が研究したいテーマに関するものです。研究したいことが整理された形で明確に記されているものが研究計画書なのですから、この研究計画書がしっかりと練られたものであれば、面接はそれほど難しいものではありません。また、面接前に提出する研究計画書の内容によって、受験生の専門に近い教授が面接官として割り振られますし、面接官は研究計画書によく目を通した上で突っ込んだ質問を投げかけてきます。よい研究計画書を作成することが面接を成功させる秘訣だと考えてよいでしょう。

(3)論理的に自分の考えを主張できる力を養成する!
このような力は、一朝一夕に身につくものではありません。自分が何をやりたいのかを考え、文章にしていくことによって初めて、研究したいテーマや、その中での自分の考えが論理的に明確になってくるのです。したがって、研究計画書を作成する過程で、十分に参考文献を読み、考えることが大切です。その作業をしっかりと行うことが、口述試験をクリアするポイントとなってきます。ただし、口頭で自分の主張を述べることに関しては、人によってはある程度の慣れが必要かもしれません。また、他人に自分の考えを聞いてもらい、質問に答えることで頭が整理でき、論点が明確になるということは多々あります。予想質問による模擬面接を行う、家族や友人に自分のやりたい研究に関して話を聞いてもらうということも有効でしょう。

(4)試験当日は、とにかくはきはきと自分の意見を述べる!
試験当日は、わからないことを聞かれても黙り込んでしまうのは避けましょう。明るく、ここで研究をしたいのだという意欲を見せることが大切です(ただし、あやふやな部分に関して適当な答えを返してはいけません)。教授と意見が対立しそうな場合でも、自分の主張を論理的に述べることが大切です。大学院で行う「研究」では、正解が一つとは限りません。面接者が受験者の意見を否定するようなことを言う場合、面接者は意見を否定したいのではなく、なぜその意見に至ったのかという思考過程を聞くことで、その人がきちんと考えているのか、どこまで勉強しているのかを見ようとしていることが多いのです。

 

受験後の進学準備

進学前に、もう一歩先へ

大学院受験後から進学までの期間は意外に重要なものです。この期間にどれだけの準備をしたかで、その後の大学院生活が大きく変わってくる可能性もあるのです。大学院での研究を有意義なものにするためにも事前準備は怠りのないようにしたいものです。

「院に受かる」レベルと「院でやっていける」レベルは違う

大学院で研究を行なうために必要な力を身につけるために、合格後の勉強がいかに重要なものであるかは、想像していただけるでしょう。英語であれ専門科目であれ、自分に足りないものは積極的に習得しないと、進学後に苦労することは明らかです。

充実した研究生活を目指して

しかし逆に言えば、合格後の過ごし方次第では、進学後の一歩をスムーズに踏み出すことができ、充実した研究生活を送ることも可能なのです。そのために必要なのは、やはり進学後にすすめる研究と改めて向き合ってみることでしょう。研究計画書や学部時代のテキストを読み返すのもよいですし、先行研究や有名論文を予め入手し、目を通しておくのもよいでしょう。また、大学院の先輩に入学までにどういった勉強をしたらよいか尋ねてみるのもよいでしょう。

本気で研究に取り組みたいから進学する、そういう気持で臨めば、大学院での研究生活は非常に充実したものになるでしょう。進学前の準備は様々な方法でぬかりなく進めておきたいですね。

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