先輩奨学生は、Z会奨学金を利用しながら、いまどんな取り組みをして、将来どんなことをしたいと思っているのでしょうか。
同じ京都大学、同じ農学部に奨学生の1期生から3期生まで在籍しているにも関わらず、コロナ禍でこれまでリアルで会うことができなかった3名の奨学生に集まっていただき、グループインタビューを行いました。果たして先輩奨学生は何を語ったのか。ぜひ御覧いただき、今後の応募の参考にしてください。
※先輩奨学生は、2023年2月時点の奨学生となります。
参加してくれた先輩
2020年度奨学生(一期生):石田さん(京都大学農学部資源生物科3年生) ※以下、石田
高校生の時から一貫して土壌から食料問題と環境問題の解決に貢献したい。高校2年時は科学の甲子園全国大会に出場し銅メダル獲得。語学習得も熱心でインタビュー中には、コロナ禍で取り組んだ語学勉強の事例を紹介。
2021年度奨学生(二期生):北尾さん(京都大学農学部森林科学科2年生) ※以下、北尾
河川の治水・環境保護について、地元住民を巻き込んで環境意識の醸造もふくめたアプローチで解決を志す。小1で始めたテニスを継続し、大学に入っても体育会テニス部に所属。合間を縫って自費で都道府県を巡り、淡水魚フィールドワークも実行する等、研究熱心。高校2年生のとき、『科学の甲子園』に出場経験あり。
2022年度奨学生(三期生):土田さん(京都大学農学部応用生命科学科1年生) ※以下、土田
生物全般に興味があり、温室効果ガスによる地球温暖化問題への解決を目指しつつ、大学入学後、教育など幅広いテーマに関心を広げている。小学生からのバスケ好き。高校時代は生徒会書記局長、高校2年生のとき、『科学の甲子園』に出場経験あり。
Z会奨学金応募きっかけ、選考に向けた取り組み
土田:
家庭の経済状況から、母親に「奨学金を受けてほしい」と言われていました。そこで学校にあった奨学金一覧の中から自分に合うものを探していたときに、Z会奨学金を見つけ応募を決めました。募集期限が早めだったのも逆に私にとっては良く、仮にZ会奨学金に合格しなかったとしても、他の奨学金の検討もしやすかったというのもあります。
北尾:
淡水魚に触れられそうな農学部に行きたいなぁとなんとなく思っていましたが勉強は全然足りていませんでした。高校時代も別の奨学金を受けていましたので、将来どうしようかと考えていたときにZ会奨学金のポスターを学校で見つけました。
受かるためには小論文を書いたりする必要があるのですが、自分のしたいことを整理したり、進路を考えたりする、とてもよい機会になりました。Z会奨学金の選考を通して、勉強のモチベーションにつながりました。
石田:
私の場合は、2人と違って、Z会の通信教育の中学小論文対策を受けた経験があった縁もあって、Z会で奨学生を募集していることを親が教えてくれました。私も選考を通して自分の将来を深く考えるよいきっかけになったと思います。
北尾:
Z会奨学金は面接選考もありましたが、進路を考えるのが苦手な自分にとって、自分の将来を考えるいいチャンスでした。面接の2〜3週間前くらいは多少緊張していましたが、整理されていくにつれて緊張しなくなりました。「選考」じゃなくて、面接官とおしゃべりをしに行く、みたいな感覚でした。
石田:
私もそうでしたね。自分の夢を話すのは楽しいし、私が話す夢に興味をもってくださってしっかりと聞いてくださるのは嬉しいことでした。
土田:
私もZ会奨学金の選考が、進路について真剣に考える良い機会になりました。
私は高3の春まで自分の将来をきちんと考えたことがなかったのですが、奨学金の課題論文を書くために、京大の気になった助教の方に直接アポイントをとってZoomでお話することができ、大変参考になりました。ダメ元で研究室のページからメールして、「先生の研究と経歴に興味があるのですが、詳しくお話を聞かせていただけませんか?」とお願いしたところ、「いいですよ」と返事がきて驚きましたね。
その先生は、博士号を取得されているだけでなく、省庁に勤めたり、国連で勤務された経験もおありで、とてもアクティブな方で、そんな就職先もあるのかと勉強になりました。きっかけは奨学金論文のためでしたが、自分から動いたことで視野を広げることができました。
大学入学後の取り組み
土田:
私は今教育関係の出版社でアルバイトをしています。このアルバイトを通じて新たに教育について関心を深めています。私は高校時代に経済的な事情があり塾に通っていなかったこともあって、大学に入ってから自分が受けた教育と他の人が受けた教育のギャップを感じました。教育格差問題を少しでも軽減するために何ができるんだろう、といつも考えています。
高校では時間や行動の制約があって、自分の好きなことがしづらかったのですが、大学になって自由に行動できる環境になってからは、それまでの反動が出て、もっとアクティブに動き回りたい、という気持ちになっているのかもしれません。
また、奨学金をいただいているおかげで、時給優先ではない自分の今後に役に立ちそうなアルバイトを選択できる余裕ができているのは大きいと思います。奨学金がなかったら、時給優先でアルバイトを選択していたでしょうし、こんな心の余裕はなかっただろうと思います。
北尾:
大学入学後は、自由な時間を有効活用しています。夜行バスに乗って、関西圏一円はじめ、北は宮城県、南は沖縄県まで全国の河川に赴いて淡水魚探しをしています。事前に図鑑やインターネットで生態を調べたり、リアルタイムの情報を収集したりしながらですが、お気に入りの図鑑がボロボロになりました。コロナ禍でも人のいないところに行くので、問題なかったです。
淡水魚は海を介した移動ができないので地理的な制約を受けやすく、その土地に根ざした固有種ができやすいのです。固有種は環境の影響を受けやすく、保全の対象になっている魚や、絶滅危惧種に指定されている魚もいます。
自由に動ける学生の間に実際の魚を探して、自分の目で見て、環境を考察して、将来の活動に生かしたいと考えています。なかなか出会えない魚が少なくないので、見つけられるとうれしいです。普段のフィールドワークの成果を活かして、論文を発表し魚類のオンラインジャーナルに掲載されました。
石田:
私は大学入学時点からコロナがまん延したため、前期は全滅、後期はほとんどオンライン講義で、殆ど大学に行けず、クラスの人もわからない、サークルもないので正直おかしくなりそうでした。『こうなったら自分で動くしかない!』と思って、1年生の夏からキャンパス近くにある日仏学館で開催されている当時唯一対面で行われていたフランス語授業に参加するようになりました。フランス語の作文練習を兼ねて日記ノートを提出するのですが、先生が直筆で血の通ったコメントをくれて、それが心の支えになっていました。有料だったのですが、奨学金があったので、通うことができました。
他に大学在学中にどうしても留学に行きたくて、二度行ってきました。一度目は3年生のときに大学で行われている短期留学のプログラム(キングフィッシャーグローバルリーダーシッププログラム)で、選考で合格してワシントンに行くことが出来ました。世界銀行や起業家支援する団体を訪問したり、政府関連のシンクタンクをまわり、リーダーシップや自分のキャリアを考えるというものでした。アメリカでは博士号をとった後に起業する人も普通にいて、私自身が研究者になるかどうか迷っていたこともあり、研究者だけの道ではなくそこから広がる道もあるんだ、と視野が広がりました
それが面白かったので、学部生のうちに、専門ではないことをやりたいと思って、サンフランシスコに行って実は昨日帰ってきたばかりです。一度目は団体からお金が出ていたので渡航費も不要だったのですが、今回は自費ですので実際にかかる費用を見たときにためらいました。でも以前から行きたいと考えていたことですし、奨学金もいただいていたので、思い切っていくことができました。今回はデザイン思考やLGBTQのこと、前科のある人のことなど多様なことを学ぶことができました。
未来への取り組み
石田:
私は二度の留学の経験から、ずいぶんと視野が広がって、最先端の研究が、必ずしも研究対象となっている現場で生かされてはいない、と知りました。私はさらに広い視野をもって、農学分野の研究と現場との架け橋になる存在になりたいな、と思っています。
土田:
今関心のある分野の一つである教育について掘り下げていきたいです。
私はZ会奨学金での経験や受験、それに1年弱の大学生活を経て、「考えること」の大切さに気付きました。これは、どんな学びにも必要だと思うんですね。例えば、「考えること」を可視化できれば、その価値を広く児童や生徒に伝えられるんじゃないか、じゃあその方法はどうしたらいいか、私は何をしていけるのか、なんてことを最近は考えはじめています。
北尾:
私はこのまま淡水魚への愛を深めていきたいんですが(笑)。そのためには、魚ばかり見ていても成果は挙げられそうにないことに気付き始めました
生態系や環境への理解、それに地域特有の事情や文化、地元住民の意識や習慣等など、幅広い知識と理解を得てやっとやりたいことができるんだなという考えに至りました。子供への啓発活動など、幅広く活動していきたいです。
具体的な将来像は相変わらずぼんやりとしていますが、今できることをもっとアクティブに進めていきたいですね。
インタビューを終えて
先輩奨学生からはコロナ禍で会えなかったこともあり、今回初めて縦のつながりができた、お互いががんばっている姿や研究内容にとても刺激を受けた、このつながりを大切にしたいという感想が出ました。終了後、他のエリアにいる別分野の研究をしている奨学生と実際に会って話をしてみたい、という希望もいただきました。事務局としても奨学生どうしの縦のつながりを大切にしていきたく、今後その機会をつくっていきたいと思います。
(Z会奨学金事務局)
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