論理の力を鍛えよう:組み合わせをすべてあげる

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの? まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。
(執筆:小田敏弘先生/数理学習研究所所長)


こんにちは、最近トマトジュースを飲み始めた小田です。1日1杯飲んでおけば、多少健康に気をつかったふうになるかと思いまして。納豆のときもそうでしたが、結構むかしにも一度試したりはしていて、結局続かなかったんですけどね。歳を重ねて健康への意識がよりリアルになったのかもしれませんが、意外と、単純にむかしより美味しくなっただけなのかもしれません。食品開発に携わるみなさまの努力には、まったく頭が上がらないなと思いながら日々を生きています。

さて今回は、組み合わせをすべてあげていく問題です。いくつか見つけるだけならそう難しくないと感じるかもしれませんが、“すべて”あげるとなると、結構難しかったりしますね。その難しさを楽しみながら、ぜひチャレンジしてみてください。

それではさっそく行ってみましょう。

 

 

Stage75:論理の力を鍛えよう

1から5までの数字が書かれたカードが、それぞれたくさんあります。この中から3枚を選んで、書かれた数の合計が7になるようにしたいと思います。選ぶカードの組み合わせとして、考えられるものをすべて答えてください。

まずは、問題の意味の確認からですね。3つの数字を足して7になるような組を作っていけばいいでしょう。カードは「それぞれたくさんあります」となっているので、同じ数字を繰り返し使って構いません。(1,1,5)と(1,5,1)のように、順序だけ入れ替えたものは同じ組み合わせと考えます。いくつか自分で見つけられていれば、問題の意味は理解できていると考えていいでしょう。あとは、いつも通り温かく見守ってあげてください。

お子様がすべてあげ終えた様子なら、実際にあげられているかどうかに関係なく、一度「ほかにはもうない?」と聞いてあげてください。それを受けて再度探し始めるなら、また温かく見守ってあげましょう。それを何度か繰り返し、お子様から「もうない」と返ってきたら、そこで答えの確認をしていきます。まずは合計が7になっているかを確認し、なっていないものがあれば、「これは6になっているね」などのように伝えます。順序を入れ替えただけのものがあれば、「これとこれは同じだよ」と伝えてあげてください。そういったものもなく、不足しているものもなければ、正解です。誤りなどはないものの、足りないものがある場合は、「まだあるよ」と伝えてあげましょう。

「全部で何個」「あと何個」というのは、基本的には伝えなくて大丈夫ですが(むしろ、最初のうちは伝えない方がいいでしょう)、何度も探してもどうしても見つからず、心が折れそうになっていたら、そこで伝えてあげても構いません。


難度別に3段階の問題を掲載しています。ぜひ、親子で挑戦してみてくださいね。


▲画像クリックで拡大します(PDFファイル)


解答はこちら 


「ほかにもないか」を考えることが論理の第一歩

推理もののドラマや小説などで、犯人が最後に「こうするしかなかったんだ!」と言うとき、視聴者(読者)としては「いや、ほかにもやりようはあったでしょ」と思ってしまいますね。人が誤った結論に至ってしまう原因のひとつは、やはり「ほかの可能性を見落としてしまう」ことでしょう。これは算数でも同じで、問題を解いていて「間違った答え」にたどり着いてしまうとき、その背景に「思い込み」や「決めつけ」があることも多いです。

「論理的思考」というと、「AだからB、BだからC」と順々につないでいくイメージがありますね。確かに、すでに組み立てられた「論理」は結果的にそういった「つながっている」形をしています。しかし、自分で「論理」を組み立てる段階では、その「つなげていく」イメージではうまくいかないことが多いでしょう。それっぽくつなげていくだけでは、人は自分に都合のいい“物語”を作ってしまうだけだからです。

正しく論理を組み立てられるようになるためには、「本当にそうなるか」を検証する姿勢を身につける必要があります。そのトレーニングの第一歩が、今回の問題のような「考えられるパターンをすべてあげる」という練習なのです。「足して7になる組み合わせ」を、いくつか見つけるだけであれば、それほど難しくありませんね。しかしいくつか見つけたあと、「本当にほかにはもうない?」と聞かれると「もうないような気はするけど、そう言われると自信はない」となるのではないでしょうか。そして実際、「もうないような気はしたけど、よくよく調べればまだほかにあった」ということもよくあるでしょう。そういった「実は意外と見落としはある」という経験を積み、「もしかするとほかにもあるかも」と慎重に確認する姿勢をまずは身につけてほしいというのが、今回の問題の狙いです。

もちろん、実際に過不足なくすべてあげられるようになるためには、「どういう順に書いていくか」「何に注目して整理するか」などの工夫は必要でしょう。そういった技術的な部分を身につけていくことも、算数の学習の重要な要素です。しかし、そういった工夫も、「自分では全部見つけたと思ったのに、実際にはまだほかにあった」という経験があってこそ、身につけていく気にもなるでしょう。なかなか上手く全部をあげきれないお子様の様子を見ていると、歯がゆく感じる場面も多いと思いますが、まずはその「難しさ」に共感することで、「難しく感じる気持ち」が正しいことであると伝えてあげてください。

 


いかがでしょうか。

最近、フライパンを買い替えました。テフロン加工のフライパンって、本来寿命は3年程度なんですね。食材が焦げ付くのが面倒だな、そろそろ買い換えようかな、と常々思いつつ、なんだかんだでずっと使っていた気がします。買い替えてみたら焼いたり炒めたりのストレスがかなり軽減されたので、もっと早く買い換えればよかったなと思いました。これからはもう少し楽に料理できるといいですね。

それではまた来月!

 

文:小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習”」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

公式サイト:http://kurotake.net/

主な著書


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