みなさんは「デコ活」をご存じでしょうか。2023年に生まれたばかりのまだ新しい言葉なのですが、今後、身近なものになっていく可能性があります!
「デコ活」とは何か
2020年10月、日本政府は2050年までにCO2の排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。また、翌2021年4月には、2030年度のCO2排出量を2013年度に比べて46%削減するという目標も掲げています。これらの目標を達成するには多くの国民の協力が必要になりますので、2022年10月、政府は「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」をスタートさせました。
しかし、この名前はいくらなんでも長すぎ…。というわけで、2023年に覚えやすい愛称が一般公募され、寄せられた8000件以上の案から選ばれたのが「デコ活」なのです。
「デコ活」の「デ」(de)は「取り除く」という意味を示す接頭辞で、「コ」はCO2を表します。加えて、脱炭素(Decarbonization)という意味も含んでおり、「デコ」=「二酸化炭素を減らす」ですが、同時に環境によい「エコ」という言葉にも重なります。また、 「就活」「婚活」「ポイ活」…など、「○○活」という言い方はかなり なじみ深いものになっていますから、「デコ活」も覚えやすいですよね。
政府・環境省が国民運動として掲げた言葉が広く使われるようになった例としては、すでに「クールビズ」があります。「デコ活」もこれから定着していくのか、注目されます。
デコ活が必要なのはなぜ?
試算によると、2030年のCO2排出量を2013年比で46%削減するためには、私たちの家庭での排出量を66%も削減しなくてはなりません。つまり、私たち一人ひとりがふだんの生活で排出を大幅に減らせるかが目標達成のカギを握ります。
しかし、2022年に行われた調査によると、9割以上の人々が「脱炭素」という言葉を知っていますが、日頃から「脱炭素」を意識して行動している人は全体の3分の1にすぎません。実際の行動に移す人をもっともっと増やす必要があることから、デコ活の呼びかけが始まったのです。
人びとの行動変容を促すため、デコ活が「より豊かで、より自分らしい快適・健康な暮らし」につながるという点が強調され、組織や個人単位で「デコ活宣言」を行うことが呼びかけられています。(企業や自治体などの組織は「製品、サービス、取組展開を通じてデコ活を後押しします!」と宣言し、個人は「生活・仕事の中で、デコ活を実践します!」と宣言します。)
その他、
*ポータルサイトで「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを支える取組・製品・サービス」の登録を受け付ける
*登録されたものをポータルサイトやSNS等で発信する
*日々のデコ活の取組を「#デコ活」としてSNS等で発信することを呼びかける
…など、インターネットやSNSの活用を重視するのも「デコ活」の特徴です。
デコ活の具体的なメニュー
具体的な取組事例としては3分野、計13種類の「デコ活アクション」が示されています。
分類 | アクション | ||
---|---|---|---|
まずは ここから |
住 | デ | 電気も省エネ 断熱住宅(電気代をおさえる断熱省エネ住宅に住む) |
住 | コ | こだわる楽しさ エコグッズ(LED・省エネ家電などを選ぶ) | |
食 | カ | 感謝の心 食べ残しゼロ(食品の食べ切り、食材の使い切り) | |
職 | ツ | つながるオフィス テレワーク (どこでもつながれば、そこが仕事場に) | |
ひとりでにCO2が下がる | 住 | 高効率の給湯器、節水できる機器を選ぶ | |
移 | 環境にやさしい次世代自動車を選ぶ | ||
住 | 太陽光発電など、再生可能エネルギーを取り入れる | ||
みんなで 実践 |
衣 | クールビズ・ウォームビズ、サステナブルファッションに取り組む | |
住 | ごみはできるだけ減らし、資源としてきちんと分別・再利用する | ||
食 | 地元産の旬の食材を積極的に選ぶ | ||
移 | できるだけ公共交通・自転車・徒歩で移動する | ||
買 | はかり売りを利用するなど、好きなものを必要な分だけ買う | ||
住 | 宅配便は一度で受け取る |
もちろん、デコ活がこれらの取組に限るというわけではありません。私たちの暮らしが豊かになり、脱炭素などに貢献していく活動はすべて「デコ活アクション」とされています。でも、この表だけでも、「デコ活」の中身が多岐にわたることがよくわかりますね。ざっと見ると、すでに日頃から心がけていることもあるし、なかなか実践できていないこともありそう。
「脱炭素化」と言うと、まずは「使っていない部屋の電気は消す」「エアコンの設定温度を下げる(上げる)」など「省エネ」がイメージされやすいかも。しかし、「地元産の食材を選ぶ」「宅配便を一度で受け取る」…などの行動も「脱炭素」につながります。(これらの行動をとる人が増えれば、モノの輸送に使われる燃料の消費が減らせますからね。)
デコ活から学べること
脱炭素の取組には、実にさまざまな学問が関わります。
温暖化のメカニズムや環境に与える影響は主に地球科学、生物学の分野で研究されていますが、脱炭素に役立つ素材や装置を開発するのは化学や工学の研究者たち。さらに、脱炭素化を可能とする政治や経済、社会のあり方の研究も欠かせません。世界が直面する重大な課題を解決するには、多種多様な学問分野を横断的、総合的にとらえる視点が求められるのです。
現行の学習指導要領では、そのような社会に対応できるよう、「知識・技能の習得」だけでなく「思考力・判断力・表現力」や「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」が非常に重視されています。それにともない、大学入試でも、既存の教科の枠を超え、私たちの生活の身近な局面や他者との具体的な関わりの中で課題をとらえさせ、広い視野で解決を模索させる……そんなスタイルの問題が増えてきました。
みなさんがいまデコ活について考え、行動してみることは、教科横断的な視点を獲得する良いきっかけになると思われます。その経験は大学入試ばかりでなく、その先にある学びにもきっと活かされるでしょう。
参考:
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/
こちらが環境省の「デコ活」ポータルサイトです。デコ活の概要を知ることができるだけでなく、登録された「取組、製品・サービス」や「デコ活宣言」を行った団体なども、このサイトですべて検索し、調べることができます。
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