教科「情報」をどう学ぶ? 第1回

2025年度入試より、大学入学共通テストで「情報Ⅰ」が新設科目として加わりました。それに先がけ、小学校では2020年よりプログラミング教育が必修とされ、中学校でも2021年より技術・家庭科の情報分野の内容が拡充し、高校では2022年度より「情報Ⅰ」という科目が必修となっています。
このように、「情報」は比較的新しくすべての学生が学ぶことを求められることになった教科ですが、新しいからこそ、どのように学ぶべきかわからないという声が多いようです。そこで、この記事では、2024年2月に中高生のZ会員に実施したアンケートを元に、「情報」とどのようにつきあい、どのように力をつけていけばよいのか、3回にわたり考えていきます。

 

Z会員は、「情報」が得意? 苦手?

次のグラフは、Z会員の中高生が「情報」という科目にどのような印象をもっているのかを聞いたものです。

Q.「情報」は、得意科目ですか?

「得意」な人の意見

  • 内容を理解して、活用ができているから。(得意・高2・萩★)
  • 小学生のころからプログラミングに興味があり、プログラミングの知識があるから。数学が得意で2進数の計算などは得意だから。(得意・高1・しらぽん)
  • 楽しいと感じているし、プログラミングの仕組みを理解することができているが、難しいと感じるため。(どちらかといえば得意・中3・SHIZUKUナナ)
  • 授業で課されたプログラミングの課題は時間をあまりかけずできたから。けれども、授業以外では学んだことがないため自分のスキルがどの程度かわからない。(どちらかといえば得意・中3・37631647)

 

「苦手」な人の意見

  • 楽しさがわからないから。(苦手・中2・32498191)
  • IT機器を使うのが苦手だから。(どちらかといえば苦手・高1・うめ)
  • 実際にコードを書くときと違って、紙面上でプログラミングのコードを書こうとすると混乱するのでペーパーテストの点数がなかなか伸びない。(苦手・高1・きい)

 

「得意」「どちらかといえば得意」という人が約47パーセント、「苦手」「どちらかといえば苦手」という人が約25パーセント、「得意でも苦手でもない」という人が約28パーセントという結果となり、Z会員は、約半数が「情報」に対して「得意」という印象をもっていることがわかりました。
しかし、「得意」という人であっても、「授業の内容は理解できているけれど、本当に自分のスキルは十分なのだろうか?」という疑問をもっているようです。
では、「苦手」傾向の人は、どのような点で、苦手と感じるのでしょうか?
寄せられた意見からは、デジタル機器への苦手意識・難しそうという印象をもってしまっている人がいる一方、ある程度知識がある人でも、学校でのテスト形式に戸惑いがある、という様子がわかります。

なぜ「情報」を学ぶのか

改めて、なぜ「情報」は、すべての人が学ぶ必要のある教科となったのでしょうか。
一つに、これからの時代、情報や情報技術を使いこなす「情報活用能力」が、だれにとっても必要になると考えられるからです。
今の時代、インターネットを使わずに生活することは想像できないほど、情報と情報技術は生活に不可欠なものとなりました。また、「今ある仕事のおよそ半数は、今後AIに取って変わられる可能性がある」という説も聞かれます。
こういったインターネットとともに生きる暮らしや、AIによって行われる仕事が増えるということは、「情報」や「情報技術」を使いこなす力があたりまえのものとなり、より重要視されるということです。
そこで、2017年から改定が進められた「新学習指導要領」では、「情報活用能力」は、「学習の基盤となる資質・能力」であると位置づけられ、小学校から高校にかけてプログラミング教育を充実させる内容となりました。
「情報活用能力」とは、コンピュータなどを使って情報を収集・整理・比較・発信・伝達したりする力のことであり、コンピュータなどを操作することは当然のこと、プログラミング的思考や情報モラル・情報セキュリティ、統計などに関しても理解することが求められています。
インターネットやAIに使われるのではなく、使いこなす力をきちんと身につけるため、これらを体系立てて学ぶこととなったのです。

 

第2回では、学校の授業や学校外でZ会員がどのように「情報」を学んでいるのかというデータを元に考察します。

 

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